“やらかし俳優”吉沢亮にはやはりプロの底力あり 映画「国宝」の演技一発で挽回

更新日:2025-06-29 17:03
投稿日:2025-06-29 17:00

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

 最近、会う人会う人に「『国宝』見た?」と聞かれる。いかにすごい映画かを話したくて仕方がないという感じだ。

 映画「国宝」は確かに予告編の段階で、これは見なくてはと思わせる迫力があり、気にはなっていたが、3時間の長丁場に耐えられるのか不安で二の足を踏んでいたが、遅ればせながら今週末に見に行く予定だ。

 公開17日(6月6~22日)で観客動員数152万人、興収は21.4億円。公開3週目にして、週末興収ランキング1位を獲得。どんなにゴリ押ししてもダメなものはダメ。逆にいい作品であれば、勝手に広がっていくのが証明された形だ。

 歌舞伎の世界を壮大なスケールで描き、主人公の立花喜久雄を演じたのは吉沢亮。長崎の任侠の一門に生まれ、父を抗争で亡くした後、上方歌舞伎の名門の長である花井半二郎(渡辺謙)に芸の才能を見いだされ、歌舞伎の世界に。

 世襲が当たり前の歌舞伎界で才能を武器に希代の女形として脚光を浴びていく……。

 吉沢とライバル役の横浜流星はこの役に挑むため、1年半かけて日本舞踊や歌舞伎の所作の稽古を積んできたという。

 蒸し返すようだが、吉沢は昨年12月、深夜に泥酔状態でマンションの隣室に無断侵入する騒ぎを起こした。被害者とは示談が成立し、不起訴になった。

 隣室の住人にしてみれば、深夜に知らない人に部屋に侵入されたら恐怖でしかないが、個人的にはこの報道を聞いてむしろ吉沢亮という俳優に親しみが持てた。

 それまで国宝級イケメンと持ち上げられ、話題はもっぱらイケメン界隈のことばかり。トークも
弾まず、人間的な魅力が伝わってこなかった。だが、そんなイケメンサイボーグがやらかし、逆に親近感が湧いた。

 ところで、間もなく吉沢主演「ババンババンバンバンパイア」も封切られる。元々2月公開の予定だったが、トラブルの影響で公開延期とされていたものだ。

 こちらは漫画原作で主人公の森蘭丸は450歳のバンパイア。彼が狙っているのは至高の味わいである18歳童貞の血。銭湯の一人息子・李仁(板垣李光人)が18歳になるまでその成長と純潔をそばで見守っているというドタバタコメディーだ。

「国宝」の神がかった演技とは百八十度違うコミカルな役柄で、その振り幅に驚かされる。これぞプロの俳優だ。やらかしたからといって周囲もネットの声にもうろたえなかったのがよかった。

■過剰反応の世の中は変だ

 それにしても昨今はネットの声を過剰に気にし過ぎ。田原俊彦のラジオでの不適切言動についても本人が反省して周りも許しているのだから問題ないと思っていたらNHKが「うたコン」への出演を見合わせたとか。

 最近では永野芽郁や田中圭もだが、ものにもよるが、やらかしで一発退場の世の中ってなんだか変。

(桧山珠美/コラムニスト)

エンタメ 新着一覧


「虎に翼」大団円へ…ブレない寅子、桂場、航一の名場面をありがとう
 桂場(松山ケンイチ)に真っ向から意見した航一(岡田将生)だが、心ならずも寅子(伊藤沙莉)にまで心配をかける事態に陥って...
桧山珠美 2024-09-21 06:00 エンタメ
悪評だらけの天才、平手友梨奈が遅刻やドタキャンを繰り返す本当の理由
 2022年12月に、鳴り物入りで韓国大手事務所「HYBE」傘下の「NAECO」に移籍したものの、今年8月、2年も経たず...
堺屋大地 2025-01-03 10:01 エンタメ
【写真特集】魔性の女こと葉月里緒奈の色っぽい流し目…
【この写真の本文に戻る⇒】真田広之も“シタ夫”経験者…裏切られたサレ妻が離婚後も「また一緒にいたくなる男」にある共通点
寅子フリーズ! 美佐江くりそつな美雪登場、意味深な微笑が恐怖をあおる
 元明律大学女子部の一同が、久しぶりに寅子(伊藤沙莉)の家で顔を合わせる。涼子(桜井ユキ)は司法試験に挑戦していた。皆、...
桧山珠美 2024-09-18 16:35 エンタメ
芸人はランジャタイ伊藤から学べるか 「地雷女」を避けるたった一つの方法
 ランジャタイ・伊藤幸司(38)が未成年との不適切な関係を持ったことを暴露され、芸能活動を休止した。過去を振り返れば、伊...
帽子田 2024-09-18 10:08 エンタメ
老眼鏡かける寅子。「最後はいい方に流れていく」発言にトラツバロス一歩手前…!
 香淑(ハ・ヨンス)は、原爆被害に遭った外国人への支援を始めることを決意する。一方、寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は...
桧山珠美 2024-09-16 14:00 エンタメ
秋元康との共通点も? 柏木由紀がすがちゃん最高No.1に惹かれた理由を考察
 9月11日、NEWSポストセブンが、元AKB48のゆきりんこと柏木由紀さん(33)と、お笑いトリオ・ぱーてぃーちゃんの...
伊藤健太郎は破局して正解! “小栗旬軍団”加入でバーター出演の機会にも恵まれる
 伊藤健太郎が帰って来ました。これは朗報です。あの不祥事からかれこれ4年。本人も充分反省しているようですし、そろそろ許し...
【写真特集】背中ぱっくりドレスを着こなす滝クリ。健康的な美脚も披露!
【この写真の本文に戻る⇒】滝川クリステルに「好きになれない」の声多数。バリキャリだけど同性ウケしないのはなぜ?
航一も明治生まれの男。娘に手を上げるのか!? と一瞬緊張が走ったシーン
 のどか(尾碕真花)の婚約者・誠也(松澤匠)が星家にやってくる。しかし、星家では航一(岡田将生)と優未(川床明日香)が優...
桧山珠美 2024-09-12 17:15 エンタメ
「東出昌大の再婚を叩いたら負け」なのか? SNS社会は彼に試されている…
 2015年1月、朝ドラ『ごちそうさん』で夫婦役を演じた杏と結婚して3人の子を授かるも、映画『寝ても覚めても』で共演して...
堺屋大地 2024-09-11 06:00 エンタメ
夫婦水入らずの何気ないシーンが描いたもの。爆速で進む物語、子どもたちは誰が誰やら…
 8年にも及ぶ「原爆裁判」を終えた寅子(伊藤沙莉)たち。竹中(高橋努)は渾身の記事を書き、よね(土居志央梨)と轟(戸塚純...
桧山珠美 2024-09-12 16:53 エンタメ
岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
この投稿をInstagramで見る 映画『ラストマイル』公式【大ヒット上映中】(@...
【写真特集】若っ!金髪姿の岡田将生。浴衣、くるんくるんパーマヘアも…
【この写真の本文に戻る⇒】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ