「あんぱん」のぶの“嵩の二倍好き”に見える負けず嫌いっぷり…。ノロケを聞く八木、いい人すぎるよ!

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-07-26 11:23
投稿日:2025-07-26 11:23

説得力のある蘭子の言葉

「うちは、どんなに思うても、もう気持ちを伝えることはできんがです」と。愛する人を失った蘭子の言葉には説得力があります。

「戦争で死んだ人の思いを、うちらぁは受け継いでいかんといかんがやないですか。人を好きになる気持ちとか、そんなに好きな人に出会えたこととか、なかったことにして欲しゅうないがです。なかったことらぁにせんといてください」

 という蘭子の言葉に覚醒した嵩。徹夜で表紙の絵を描き上げ、あの赤いハンドバッグを持って東京ののぶのところに向かいます。

 それにしても、月刊「くじら」の表紙は毎号毎号、のぶって私物化が甚だしいのでは!? 東海林編集長(津田健次郎)、そこは怒っていいところだと思うのですが……。

居場所がわかったのは恋のチカラか

 そして、舞台は東京へ。のぶの居場所がすぐにわかったのは、恋のチカラでしょうか。

 ようやくハンドバッグを受け取って貰った嵩、「もう1つ、大事な話が……」と意を決して切り出します。「若松のぶさん、僕は朝田のぶの頃から、あなたが好きでした。勝手に失恋したり、怒られたり、いろいろあったけど……」。

 嵩にそう言われ、「ごめん」と素直に謝るのぶ。

「いいんだ。どんなに怒られても、僕はそのまんまののぶちゃんがどうしようもなく好きだから。これからもずっと僕はあなたを、愛しています」と長年ののぶへの想いをぶつけました。

「やっと言えた」と満足そうに去っていこうとするところはいかにも嵩です。結局、のぶが「たっすいがーはいかん」と嵩の背中に声を掛け、駆け寄って抱きつきました。

「好きや。嵩の二倍、嵩のこと好きや」とのぶ。ここにものぶの負けず嫌いが出ていますね。とにもかくにも、やっとふたりの想いが通じ合い、めでたしめでたしの回でした。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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