今や深夜ドラマは、レディースコミックの進化版…ドロドロ作品が毎シーズン百花繚乱の背景

更新日:2025-07-29 17:03
投稿日:2025-07-29 17:00

 近年、深夜ドラマが“レディコミ化”している。レディコミとは、90年代から2000年代に一時代を築いたレディースコミックの略で、不倫や対人トラブル、復讐など愛憎劇や感情の闇を描いたナマナマしさが特徴。最近ではデジタルコミック化で根強く人気を保っている。

 7月期は、トリンドル玲奈(33)演じる夫に捨てられた妻が、元夫と寝取った親友に復讐する「レプリカ 元妻の復讐」(テレビ東京系)、鈴木おさむ(53)脚本のドロキュンシリーズの最新作「奪い愛、真夏」(テレビ朝日系)などが放送中だ。

 前期は、安達祐実(43)、相武紗季(40)、磯山さやか(41)の妻3人が夫殺害を計画する「夫よ、死んでくれないか」(テレビ東京系)、夫以外の子供を産もうと考える「子宮恋愛」(日本テレビ系)、麻生久美子(47)演じる仕事のできる女性弁護士が不倫、DVなど愛と欲望に溺れる「魔物」(テレビ朝日系)、社内結婚で二股をかけられた女性が主人公の「復讐カレシ~溺愛社長の顔にはウラがある~」(MBS・日本テレビ系)などが放送された。

 松本まりか(40)は、代表作となった「ホリデイラブ」(テレビ朝日系、18年)以降、「夫の家庭を壊すまで」(テレビ東京系、24年)、そして今クールの「奪い愛、真夏」(テレビ朝日系)に出演。不倫夫役にはクズ役の帝王との呼び声高い竹財輝之助(45)がたびたび起用されるなど登場人物が重複し、どの作品がどのカップルだったか分からなくなるほどだ。

ゴールデン枠は小説原作、深夜枠はマンガ原作が多い

 なぜこれほど、レディコミ系作品が増えたのか。コラムニストの桧山珠美氏がこう言う。

「ゴールデンタイムのドラマがネット炎上回避のために品行方正になりすぎたせいで、レディコミやVシネ的な振り切った作品の受け皿が深夜枠になり、百花繚乱状態になっています。ゴールデン枠は小説原作、一方の深夜枠はマンガ原作が多いというのも特徴的かもしれません。深夜枠の視聴者層は20代前後がメーンで、紙の時代のレディコミを知らない若年層です。レディコミが懐かしいというよりは、ドロドロ系、復讐劇などが好きだという層が一定数いて、さらにレディコミに馴染みのある中高年層も加わっていると言えます」

 ドロキュン分野ならではの特徴もあるそうだ。

「ドロドロ系は一度見たらハマりやすい要素があり、話がわかりやすいのも特徴。途中から見ても、1回見るのを忘れてもあまり問題ない気軽さもある。“チャレンジ枠”要素が高く、俳優も深夜枠で頭角を現しゴールデンや朝ドラで活躍するなど、若手の登竜門にもなっていて、青田刈り的視点で見る楽しみもあります」(桧山氏)

 エッジのきいた作品揃いの深夜のドロドロ愛憎劇ドラマ。今期も目が離せない。

  ◇  ◇  ◇

「奪い愛」シリーズを振り返る。関連記事【もっと読む】ドロ沼恋愛ドラマ「奪い愛、冬」 担当Pが語る制作の裏側…も合わせて読みたい。

エンタメ 新着一覧


まるでコント!寅子との恋フラグは立たず、崖から落ちる花岡(岩ちゃん)
 親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡(岩田剛典)たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子(伊藤沙莉)...
桧山珠美 2024-04-24 14:35 エンタメ
ガンちゃん登場! 目の前にビール瓶2本…寅子の酒豪ぶりは母のはる譲り説
 本科と呼ばれる明律大学法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たち。法改正が行われ、女子も正式に弁護士になるための試験を受けら...
桧山珠美 2024-04-22 15:40 エンタメ
「366日」、髙橋海人「95」学生服コスプレ繚乱!関口メンディー何留?
 新ドラマを見ていて気づいたことがあります。それは過去と現在を行き来するドラマで、俳優さんたちがそのまま高校時代や大学時...
すわ、嫁姑戦争勃発か!? 月のもので結束力まで描く脚本の妙
 実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子(伊藤沙莉)たち。すると涼子(桜井ユキ)が急に謝罪したいと...
桧山珠美 2024-04-19 15:50 エンタメ
「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い
 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを...
桧山珠美 2024-04-18 16:50 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ