コロナ禍がきっかけで市場が拡大
「コロナ禍で結婚式ができなくなったことをきっかけに、ウェディングフォトに注目が集まりました。それまでは一部の上手な写真家による限定的な市場でしたが、広告業界出身のフォトグラファーが新規参入し、業界全体のクオリティが底上げされたんです」
通常の結婚式ができるようになった後も、「写真の大切さ」への認識は継続しているという。フォトウエディング・前撮りの日本最大級のクチコミ情報サイト「Photorait(フォトレイト)」の調査では、70.4%のカップルがウェディングフォトを実施しており、もはや当たり前のサービスとして定着している。
「昔はアルバムをお渡ししていましたが、今のお客さんは写真集を求めています。モデルの写真集のような完成度を期待されるんです」(里見氏)
高級ホテルでの撮影、100万円プランも
同社では都内の高級ホテルでの撮影で差別化を図っている。さらに富裕層向けには100万円の写真集も用意。見開きA1サイズで、印刷実費だけで30万円かかる超高級品だという。
里見氏は人間の本質的な特性についてもこう語る。
「人間は重要な節目に必ず『式』を求める動物です。卒業式、入園式、入社式など、式を通過しないと次のステージに進めない心理があります。結婚式も同様で、その記録写真には特別な価値があるんです」
技術面でも機材の小型化・高性能化が進み、屋外での高品質ライティングが可能になった。AI技術の導入により画像処理能力も向上し、1枚の写真を「作品」として完成させる技術が飛躍的に向上している。
SNS文化との相乗効果もある。普段からインスタグラムで特別な世界観の写真を発信する世代にとって、ウェディングフォトも「自慢したくなる写真」である必要があるのだ。
今回の炎上騒動は、ウェディングフォト市場の活況ぶりと顧客の真剣度の高さを図らずも浮き彫りにしたのだろう。
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