中年の会話は「あれ、あれ」のオンパレード。それでも“物忘れ”は悪くないと感じた女同士のとある会話

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-08-06 13:31
投稿日:2025-08-06 11:45

「あれ」「それ」でつながるおばさんトーク

 自分の物忘れがひどくなるのなら、同年代も同じだ。最近、同級生と集まって話していると「あれ」「それ」の指示代名詞オンパレードになる。先日も同級生と1時間近く電話をしていたけれど、実る話しはほとんどなく、1時間の半分のワードは指示代名詞で埋め尽くされていた。

「昔さ、一緒に食べたじゃん。あれ、なんだったけ?」

「あ〜、あれだよ、あれ、あれ、あれ」

「ねえ、私らの会話、ほとんど、あれそれじゃん」

「笑っちゃう」

 実は同級生、子どもの病気や、家庭問題で悩んでいた。何かしてやりたいと思ったけれど、独身は解決策に導けない。私は敢えて問題には触れず、慰めになればと昔話やバカ話ばかりを続けた。何を話したのか事細かに伝えろ、と言われるとその結果が「あれ」「それ」に終わるとはなんとも情けないけれど、同級生の気持ちが和んでくれたならそれでいい。ちなみに「あれ」「それ」でも二人の会話は成り立っていて、相手の言わんとすることを理解できている。

中年こそ、本番力の見せどころ

 ただ物忘れおばさんも“本番”には踏ん張りが効くらしい。

 今、FM静岡の『K-MIX GOOD-TIE!』という番組で、準レギュラーを務めている。トーク内容の大半は私の人生の十八番であり、得意ジャンルとなったテレビドラマについて。台本にネタは仕込んでいくけれど、トークでは俳優名や過去作タイトルがボンボン飛び出す。その饒舌ぶりは物忘れなんぞ全く感じさせず、指示代名詞も出てこない。パーソナリティーのアナウンサーや、スタッフのフォローもないとは断言できないが、なんとか放送は成立している。これも楽しみにしていてくれるリスナーを落胆させまいとするプロ根性だろうか。

 思えば司会者やラジオD Jこそ、中高年が多く担当している。記憶力こそ低下するけれど、本番力は年齢を重ねれば重ねるほど、高まるのかもしれない。そんな期待を込めつつ、次回は8月13日(水)11:30〜から、先述の番組に3時間半生放送で出演予定だ。ご興味ありましたら、ぜひ『radikoプレミアム』でおばさんドラマトーク、お聴きください。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


我が子なのになぜ? 娘と気が合わない3つの理由と子育てが楽になる考え方
 人間同士には相性があり、親子だって相性が合わないこともあるでしょう。とくに、娘は母親と同性なので、余計に気になるのかも...
お地蔵さんのパワー
 街道の片隅で、どれだけの仏が力を合わせれば良い世の中になるのだろう。  日本全国津々浦々でも足りないの?
四字熟語「人三化七」読める? くれぐれも使い方にはご注意を
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
「大谷翔平です」はアレンジOK!? 初対面から好印象を抱いたLINEの面白い挨拶3つ
 LINE交換をしてから最初に送る内容は、意外と大切かもしれません。だって、ただの挨拶よりも面白い挨拶を送れば好印象を抱...
自分の年齢を言いたくない時は「98歳になるよ!」もアリ。困った時のスマートなかわし方6選
 40代を超えると、年齢はあまり言いたくないものになりませんか?(苦笑)年齢を聞かれた時には、スマートなかわし方を身に付...
幹事は多めに払うべき? 同窓会で見たちょっと切ない「友情とお金」の話
 ずっと続く友情っていいものですよね。大人になっても昔の友だちと飲みにいけるなんて幸せなことだなと思います。だけどスナッ...
【ゼクシィ付録】結婚予定はないけど買ってみた!「アフタヌーンティー」ポーチの実力は?
 結婚の「け」の字すらない状況なのに、こんなことをしていいのでしょうか。付録目当てでゼクシィを購入してしまいました!(汗...
メルカリか永久引き出し奥か。女友達からのいらない誕生日プレゼント6選
「誕生日プレゼントってもらえるだけで嬉しい♡」と、どんなものにも感激していたかわいい時代は、遥か昔。アラサー・アラフォー...
男社会で出世する女性は何が違うの? 特徴&今すぐ身に付けたい3つの習慣
 女性の社会進出はかなり進んできましたが、まだまだ男社会で出世する女性になるのはたやすい話ではないでしょう。では、どのよ...
「鏡も見たくなかった」対人恐怖症の筋肉マッチョが自分を好きになるまで
 日本で唯一のコンテスト主催団体による“生涯現役で魅力ある存在を目指す”ミスターコンテスト「Mr. Phoenix(ミス...
出費額は100万円!? なぜ筋肉マッチョは「ミスターコンテスト」に挑むのか
 女性の外見や内面の美を競うミスコンテスト(以下、ミスコン)。ルッキズムの議論が広がる昨今、ミスコンの意義を問う議論が絶...
記憶鮮明な阪神・淡路大震災発生前夜の“異変”。冬眠モードのカメが突然大騒ぎして…
 8月8日16時42分ごろ、日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生。その後、気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報(...
“たまたま”チェックに余念のない茶トラ君♡ 写真集の表紙になれるかな?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「妊娠アウティング」経験者たちのエピソード 悲劇はどうすれば防げたのか
 皆さんは、「妊娠アウティング」という言葉を知っていますか? もしかしたら、実際に被害を受けたことがある人もいるかもしれ...
あの人気観葉植物が地震を予知!? 植物の異変から事前兆候を察知する話
 テレビ画面に映し出される南海トラフの「巨大地震注意」の文字…。不安で心が押しつぶされそうになりますな。ワタクシが生...
アプローチ中のおんにゃの子は塩対応? “たまたま”の恋の行方にドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...