磯村勇斗も生徒役も地味なのに…“キラキラ”封印の学園ドラマ「ぼくほし」が大人に刺さるワケ

更新日:2025-08-02 17:03
投稿日:2025-08-02 17:00

 刑事、リーガル、医療ものと並んで連ドラの定番的ジャンルの学園ドラマ。今期も、かるた部の青春を中心にした王道「ちはやふる-めぐり-」(日本テレビ系=水曜夜10時)をはじめ、かなり変化球の高校教師とホストの恋愛がメインの「愛の、がっこう。」(フジテレビ系=木曜夜10時)、そして“スクールロイヤー”(学校が雇った弁護士)を描いた「僕達はまだその星の校則を知らない」(カンテレ・フジテレビ系=月曜夜10時)がある。

「学園ドラマは昔から生徒と同世代の視聴者をメインターゲットにしていたんですが、最近は表向きはそう見えても、実際にはその親世代がターゲット。今の40代、50代にとっては青春を振り返る場でもあり、今どきの子供の実情を知る手段でもあるんですね」(テレビ誌ライター)

 そんな学園ドラマだが、磯村勇斗(32=写真)の民放での連ドラ初主演作「僕達はまだその星の校則を知らない」(ぼくほし)は、従来の学園ドラマとは一線を画す存在のようだ。「ぼくほし」は、《磯村演じる独特な感性の臆病な弁護士が少子化による共学化で揺れる私立高校に派遣され、法律や校則では解決できない若者たちの青春に、必死に向き合っていく学園ヒューマンドラマ》(公式サイトから抜粋)だ。

 これまで3話放送されているが、SNSでは《法律を学校に持ち込んで、今どきの問題を取り上げようとするのはわかるけど、問題解決があっさりしすぎ》《どうもテンポが違って面白さが伝わらない》など辛口の声が目立つ。レビューサービスFilmarksでは5点満点で平均3.4(8月1日現在)と極端に悪くはないものの、世帯視聴率やTVerのお気に入り登録数は、今期の夏ドラマの中では下から数えたほうが早い。

 テレビコラムニストの亀井徳明氏は「クセつよ教師と今どき高校生という定番をちょっと崩した感じかなと思ったら、全然違いました」と、こう続ける。

「生徒よりもこじらせた感のある大人たち、全体に漂う文学臭など、これまでの学園ドラマでは見たことのない空気感。何より突出してキラキラした生徒がいない。生徒さんたちの自然さは昨年の夏ドラマ『クラスメイトの女子、全員好きでした』(日本テレビ系)に匹敵すると思って見ています。こちらは深夜ドラマだし中学生なので異論はあるかもしれませんが、制服の着こなしや髪形、ちょっとしたしぐさなど、いずれも“いかにも学園ドラマの生徒役”じゃないところが、ドラマの空気をつくっている重要なポイントだと思うんです」

 ただ、その独特なテンポと空気に“違和感”を覚えて受け入れられない層もいるということか。

「そこに切り込んだところがカンテレの月10ドラマらしいと思うし、それにハマる人もいる。ただ残念だったのが、第3話で“実は盗撮じゃなかった”と判明した時の女子生徒のセリフ。《友達に伝えてこよっと》って言うんですが、このセリフだけが通常のしゃべり言葉じゃなくて、ずっこけました。生徒にリアリティーがあれば、他はある程度ファンタジーであってもいいと思っていただけに、もうちょっと言葉を選んでほしかった」(前出の亀井徳明氏)

 磯村演じる“異分子”と、堀田真由(27)演じる“普通の教師”という学園ドラマのセオリーともいえる組み合わせを凡庸にしないのは、現在NHKで好評の綾瀬はるか(40)主演「ひとりでしにたい」も担当している大森美香氏の脚本と、キラキラしすぎていない生徒たちの魅力。視聴率は苦戦しているかもしれないが、グッと来ているオジサンは少なくないはずだ。

  ◇  ◇  ◇

 堀田真由は業界では“カメレオン女優”と呼ばれているという。関連記事【もっと読む】堀田真由“カメレオン女優”の「女優っぽくない」意外な素顔…では、その変幻自在ぶりについて伝えている。

エンタメ 新着一覧


“桃尻”といえば佐野勇斗!? 翔也の何十倍も生き生きと見えた「あさイチ」出演でのはっちゃけぶり
 14日放送の「あさイチ」(NHK総合)の「プラチナトーク」は、朝ドラ「おむすび」でヒロイン結(橋本環奈)の夫・翔也役を...
【おむすびにモヤっと】コロナ禍を描いた1週間。結の不可解な言動が目につく中、ピークだったシーンは?
 結(橋本環奈)は職場で、医療従事者の子どもたちが学校で除者(のけもの)扱いされる現状を同僚たちと嘆く。  それを...
桧山珠美 2025-03-15 06:00 エンタメ
NHKの峰不二子・中川安奈のフリー転身で恐れる女子アナら。森香澄との「あざと女」対決で勝つのはどっち?
 3月いっぱいでNHK退局を発表している「NHKの峰不二子」こと中川安奈アナウンサー。  彼女が世間から注目を集め...
堺屋大地 2025-04-03 10:41 エンタメ
【おむすびにモヤっと】コロナ禍でもスタンドプレイの結。本編以上に“制作の舞台裏”に興味が湧くばかり
 コロナによる緊急事態宣言で飲食店が営業自粛に追い込まれる中、ヘアサロンヨネダを営む聖人(北村有起哉)は店を開けていいの...
桧山珠美 2025-03-12 18:59 エンタメ
審査員・粗品とM-1審査員の決定的な違いは? 忖度しない芸人ゆえの「ブレない目線」と「ムカつかれる覚悟」
 若手芸人の登竜門である「ytv漫才新人賞」(読売テレビ)が3月2日に開催された。霜降り明星の粗品が初めて審査員を務め、...
帽子田 2025-03-12 06:00 エンタメ
Kōki,が鼻につくのは宿命か。両親から学んだ「2代目キムタク」としてアンチを無視するブランディング
 木村拓哉と工藤静香の次女という“十四光り”で注目を集めて来たKōki,。先月は主演映画『女神降臨』の宣伝を兼ねて、『世...
堺屋大地 2025-03-12 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】弁当開発に「病院の管理栄養士」の売りはもう不要? “新型コロナ編”にも懸念が…
 新型コロナウイルスの感染が日本で初めて確認されて病院で警戒感が漂う中、コンビニ弁当の開発をしないかという幼なじみの菜摘...
桧山珠美 2025-03-10 17:30 エンタメ
火曜深夜が熱い!FANTASTICS冠番組の対抗馬は純烈? 映画ぼくまほの八木勇征は大スクリーンで観るべき
 映画『僕らは人生で一回だけ魔法が使える』(ポニーキャニオン配給)を観て来ました。タイトルに“魔法”がつくと、まるで魔法...
【おむすびにモヤっと】なっちゃん抜け駆けで「栄養はエエヨ~」は結(橋本環奈)に相談しなかった?
 コンビニ弁当の開発案を豊岡部長(隈本晃俊)にプレゼンする菜摘(田畑志真)は、今の説明ではダメだと言われ、結(橋本環奈)...
桧山珠美 2025-03-08 06:00 エンタメ
「芸人=女とギャンブル」の時代は終わった。M-1王者・高比良くるまの謹慎がもたらすもの
 吉本芸人の相次ぐ「オンラインカジノ」問題。M-1王者令和ロマンをはじめ、ダイタクや9番街レトロなど劇場の人気者たちが次...
帽子田 2025-03-07 06:00 エンタメ
【おむすびにモヤっと】商品開発7年目なのに、なっちゃんの知識不足設定と結への謝罪が不憫すぎる
 結(橋本環奈)と菜摘(田畑志真)は、考案したコンビニ弁当がなぜダメだったかを製造担当の管理栄養士から聞き、開発を断念す...
桧山珠美 2025-03-05 18:15 エンタメ
【おむすびにモヤっと】変顔炸裂の第22週。名も無き管理栄養士が大手コンビニで商品共同開発の“ミラクル”
 結(橋本環奈)は仕事柄、栄養指導をする立場にあるため、患者から怖いとか厳しいと言われ、そのことに複雑な気持ちになってい...
桧山珠美 2025-03-03 17:30 エンタメ
大倉忠義“授かり婚”でますます追い風…イクメン俳優花盛り! 林遣都は赤ちゃん言葉で子育て奮闘
 大倉忠義(39)、結婚! またひとり独身イケメンが旅立ってしまいました。お相手は<一般女性>とのこと。またしても<一般...
【朝ドラおむすび】通夜の親族席最前列に知らない中年女2人…永吉の娘? 一言の台詞もなく忽然と姿を消した
 聖人(北村有起哉)の大学進学用のお金を勝手に人に貸した永吉(松平健)の行為が、米田家の呪いである人助けだったのかどうか...
桧山珠美 2025-03-01 06:00 エンタメ
【朝ドラおむすび】気の毒過ぎる委託会社の栄養士・柿沼。大鶴義丹チョイ登場で気になる“大鶴の恩返し”
 結(橋本環奈)は、聖人(北村有起哉)に永吉(松平健)が大学進学用のお金を何に使ったのかを話し始める。結は米田家の呪いの...
桧山珠美 2025-02-26 17:30 エンタメ
SNSで目立つ「新生timelesz」への厳しい声 オーディション番組なぜ荒れる? マニアでも予想不能な展開に
 話題のオーディション番組『timelesz project -AUDITION-』(Netflix)が最終回を迎え、待...