「なめられてたまるか」出産直前、夫は女と沖縄へ…密会場所に乗り込む“元ギャル妻”の計画

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-08-10 16:29
投稿日:2025-08-09 11:45

カクテルを手にした女の笑顔…鉢合わせを試みることに

 更新は15分前だった。

『大磯のプールでプチリゾート気分♪』そんなコメントと共に、カクテルを手にした女の笑顔があった。

 その場所は、今暮らしている平塚の自宅から車を飛ばせば30分もしない場所にある。私は、自然に身体が動いていた。

「カンタ、莉奈、プール行こうか」

 散らかった部屋で寝転がっていた子供たちは飛び起きて目を輝かせた。

 ほぼ地元ではあるが、このリゾートホテルのプールに来るのは、実は初めてだ。

 いつか行きたい、いつか行きたい、と夏が来るたびに思っているのだけれど、入場料がそこいらのプールの10倍以上するので、結局いつも市民プールや海水浴で済ませてしまっている。

 慶士はいわゆる大手の商社マンで、収入はある方だと思う。だから、値段なんて気にしなくてもいい。だけど、借家暮らしの下流家庭で慎ましやかに育った私の意識がそうさせてしまうのだ。

 ここは、東京のお金持ちが行く場所だと思っていた。友達が何かの伝手で無料券をもらったと言っていた時はすごく羨ましかったくらい。

 ――彼も、最初は地味で庶民的だったはずなのに。

 私と夫との出会いは、江ノ島でのナンパだ。彼の人生はじめてのナンパが私だったという。

ギャルだった私、社会人デビューの彼

 当時私はギャルで、まだ高校生だった。慶士は大学の四年生。焼けた肌の集団の中で、ひとりだけ白い肌の彼が物理的に輝いていた。

 最初はなんとも感じなかった。だけど、時折出る方言や、純粋そうなところが憎めなくて、有名な大学だったこともあり結局私からグイグイ押すようになり、付き合いにこぎつけた。

 そして、彼が大手商社に就職し、私も高校を卒業するタイミングで運よく妊娠が判明した。もちろん、そのまま結婚。大手商社は駐在があるから、早めの結婚が喜ばれるらしい。

 ここまでは、順調だった。

 慶士は社会人デビューをしてしまった。

 雪国で生まれ育った彼は、2浪で大学に合格するまで勉強漬けだったと言っていた。大学時代は周囲の洗練された年下のチャラ系エリートたちの中のグループにいながらも、なかなか殻を破れないでいたようだった。

 入社後、しばらくは同僚たちに私の存在を隠していたそう。多忙や付き合いを言い訳に、合コンやキャバクラにも行っていたとか。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くない?
 歌手の倖田來未(42)が23日、自身のインスタグラムを更新。4月13日に開幕する『2025年大阪・関西万博』関連のイベ...
猫になりたい! 春の訪れを教えてくれる自由奔放な“たまたま”8連発
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 2025年2月にご紹介したもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかし...
「私もう〇〇じまいしました」解放感半端ない!40代女性がやめたこと6選
 あなたには「そろそろやめようかな」と思っている習慣はあるでしょうか? 今回は40代の女性たちに「やめたこと」を聞いてみ...
ゴミは減る、お金は減らない!100均の「使い捨てない」アイテム3つ。ティッシュ使いすぎ問題も解決かっ?
 ラップ、ウェットティッシュ、液晶クリーナーなど今までは使い捨てできるものを使っていましたが、何度も繰り返し使えるものに...
子供を傷つけるかもしれないNGワード7選。無意識に使いがち、SOSを見逃す可能性も
「愛する我が子を傷つける親はいない」と信じたいところですが、普段の何気ない一言で無意識に子供を傷つけてしまっている親がい...
オヤツ時間に3つの“たまたま”が大集合♡ みんな仲良くありがたま
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「春の恋愛運」爆上げの花は? 形状、色、花言葉、伝説…見るからにハッピーで素敵!
 春は出会いの季節。新しい恋の予感に胸を膨らませている方も多いのでは?  お花や開運に関する豆知識たっぷりの連載「笑う...
あなたの推しは何色ですか? 推し活するお客様から学んだ“推し色植物”のアンチエイジング
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋、閉店間近のある夕暮れのお話です。頻繁ではないものの、社用として花が必要な時に来店くださ...
そのマタニティハイ、白い目で見られているかも? プレママがウザがられる6つの理由
 初めて妊娠・出産をするプレママは、周りからウザがられる場合もあるといいます。高揚感から活発的な行動が増える“マタニティ...
おばさん特有の顔のたるみ対策。松たか子を目指し「ウ・イ・ス・キー」を唱えてみようじゃないか
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ウザ6連発! 高学歴、性悪…そんな義母とのLINEが苦痛で怒りの震えが止まらない
 みなさんは「義母とのLINEが苦痛…」と感じたりしませんか? 今回は、義母から届いたウザすぎる“性悪”LINEをご紹介...
2025-03-26 06:00 ライフスタイル
脱・風呂キャンセル界隈! メンタルどん底だった40女が「推し活」で浮上した話
 春バテ継続中で、相変わらずの低空飛行です。3月ももう終わりなのにね。欝々とした日々が続いています。  あんなに好きだ...
子どもが通う学習塾のもやもや5選。これって保護者の私がおかしいの?
 子どもを塾に通わせている保護者の中には、「これってどうなの?」と塾のやり方に不信感や疑問がある人もいるはず。あるいは塾...
愚痴の極み。最近「バカやろー!」と思ったことをアラフォー男女に聞きました
 2月28日は“バカやろーの日”だとご存じですか? それにちなんで(笑)、皆さんの愚痴を集めてみました。いつも笑顔の明る...
TVクルーがやってきた! 大興奮の青空“たまたま”フェスティバルに嬉しい悲鳴
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ママとの癒着が濃ゆ!! 韓国彼氏と付き合ったら「マザコンレベルチェック」を即実行すべきワケ
 韓国人の夫(30代後半)と韓国で暮らしている30代前半の筆者。最近なにかと「韓国人の彼氏がいるのでいろいろ教えてくださ...
2025-03-24 06:00 ライフスタイル