“清純系”女の視線にゾッ…地獄を見せるはずだったのに。29歳の妻が企んだ稚拙な復讐

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-08-10 16:29
投稿日:2025-08-09 11:45

母としての自信はある。女としては…

 女がのんびりしているところに慶士がやってくる。カンタや莉奈は、すぐに「パパー」「なんでいるの?」などと言って駆け寄るだろう。彼はその時どんな顔を見せるのか。私は偶然を装って何も気にしないふりをする。

 夫のことだから、女は無視して、私と、子供を選ぶだろう。妻として、母として自信がある。…女としての自信はないけれど。

「そういえば莉奈、置いて来ちゃった…」

 カンタが流れるプールの中でひとり遊んでいることを確認して、私はパラソルに戻った。

 女は再びサングラスをかけ、寝ころんでいる。莉奈はカンタの残していったジュースをおとなしくひとり、飲んでいた。

「ママー」

「ゴメンね、ひとりにさせちゃって」

「うん、だいじょうぶ。ねえママ、一緒にあそぼう」

 莉奈は私の手を小さな手でぎゅっと握る。平気そうな顔をして相当不安だったようだ。あの女は気になるが、ひとまずこの子を楽しませてあげたい、そう思った。

 自分が今、行おうとしている行動は正しいのか正しくないのかわからないけど、子供たちにはいつまでも笑顔でいて欲しい。

 私の一番はこの子たちなのだから。

彼は本当に大阪にいる?

「わかった。ちょっと待っていてね」

 防水のスマホケースを手に取ると、慶士からのLINEに気づいた。大阪万博のキャラクターのぬいぐるみの写真と共に『莉奈よろこぶかな?』とメッセージが入っていた。

『よろこぶんじゃない? あと、551も買ってきて』

『おけ。カンタ好きだからな。戻るのは明日の夜だけど、いい?』

 ためらいなど感じさせない、スムーズなやりとり。彼は本当に大阪にいるようだった。

「ママー?」

 莉奈は私に似たかわいらしい顔を斜めに傾げた。エルゴの中でスヤスヤ寝ている下の子を胸に、彼女の手をひいて、子供用プールに向かった。

 結局、このプールに来た意味はなかったようだ。

 燦燦照りの空の下。これからの時間は、私は子供の夏の思い出作りに自らを尽くそうと、気持ちを母親に切り替えた。

#3へつづく:“夫の「相手」と直接対決した結果…妻が抱いた不思議な感情。ベッドでありえない“未来”を夢想する夜】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「飲み=仕事」の時代を生きた酒豪おばさん、ついにリタイアか? 老化で変化した飲酒との付き合い方
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
花屋が一押し!敬老の日に「マリーゴールド」を贈りたい理由。長持ちさせるコツはある?
 今年もシビれるくらい暑い夏でございました。  最高温度は毎日のように体温超え。心配していたのは作物の生育。備蓄米...
賛成or反対? 職場にいる“2世社員”への本音。本人的には「バレたくない」ってなんで?
 あなたの職場に、親が会社の中心人物である「2世社員」はいますか? コネ入社ゆえに対応が厄介だったり、逆に出先では信頼さ...
「都合がいい時ばっかり!」未熟な若妻にイライラ…53歳の義母が下した“自己防衛”作戦
 息子が結婚をすれば、息子の妻(いわゆる「お嫁さん」)も家族の一員。だけど、“家族”だからこそ生まれる“摩擦”や“モヤモ...
業界人「あの子、お気に入り枠だから」の噂。芸能界に渦巻くタレント達の“自尊心と屈辱”のはざま
「この子、社長のお気に入りだから」  そういう一言を、私は何度となく耳にしてきた。現場に漂う空気は一瞬で変わる。誰...
ストレスとは「心のコップ」がたまること…自分からのSOSに気付く意外なヒント【専門家監修】
 2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
公園でのケガも学校のせい! ラスボス級“モンスター保護者”のヤバすぎる行動6選
 学校などに対し、自己中心的な要求をしたり理不尽に怒鳴り込みに行ったりするモンスターペアレント。そんな保護者に悩み、現場...
“イケにゃん”の貴重な大胆ポーズ♡ テレビ番組に夢中なプリンスの休日
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
部下の妻に恋をして…不適切な関係に焦がれた男の末路。色恋沙汰のスキャンダルの恐ろしさ
 職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
昼寝中の我が子がいない! 育児の恐怖体験エピソード。前世の記憶にゾッ…
 今回は、育児の恐怖体験エピソードを集めてみました。これらは誰にでも起こり得る出来事。育児真っ最中の方はぜひ参考にしてく...
【漢字探し】「嫁(ヨメ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
“クレクレ”ママがご降臨! 金持ちなのに「ランドセルもらえない?」って引くわ…ケチすぎLINE3選
 今回ご紹介するのは「ケチだな」と思ったLINE。ケチなのか、ケチではなくフェアなのか、人それぞれ基準は異なりますが、あ...
それ入れちゃう!?  我が家の「かさ増し食材」を大公開。節約×ダイエットにもベストな10選
 メニューの定番の食材を、別の食材で「かさ増し」させたことはありますか? 食費の節約、栄養バランスの調整、ダイエットなど...
「じゃ、誕プレとデート代返して」ってケチすぎない!? 相手の“本性”に幻滅したLINE3選
 あなたが信頼している彼氏や親友は、別の顔を持っているかもしれません。  もしも、そんな相手の本性を目の当たりにし...
「大金に手が震えた」若手芸人が打ち明ける“営業”の実態…VIP相手の席で抱いた違和感の行方
 世間を揺るがす芸能界の黒い噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われている芸...
推し活ロス、将来の不安…独女にこそ「サウナ」を勧めたい。暑苦しい場所が“居場所”に変わった理由
 外出もままならず、仕事も減り、推しにも会えない――そんなコロナ禍の真っ只中、アラフィフ独女の私が偶然出会ったのが「サウ...