ドラマ『しあわせな結婚』の奇妙な違和感。松たか子らの“ちぐはぐさ”は計算どおりなのか?

小政りょう ライター
更新日:2025-08-14 11:45
投稿日:2025-08-14 11:45

松たか子は間違いなく「実力派」だけど…

 まず、幸太郎は果たして阿部サダヲさんでいいのだろうか? ということ。独身主義を貫いてきたひとり好きという部分は阿部さんのイメージとしてわかりますが、結婚が判明した際、女性のプロデューサーから「なんで私じゃないの!?」と悔しがられたり、女性人気が高かったり。

 立ち位置的にも『ひるおび』の八代英樹弁護士を思わせるため、役柄的に二枚目の俳優が相応しかったのではないかと感じてしまったのです。

 そう思うと、松たか子さんも、幸太郎が電撃的な出会いをして運命を感じるという点において、もっと別の何かを欲してしまう。

 ハッキリ言えば、松さんのような実力派の俳優さんよりも、美貌を売りにしている俳優さんのほうが、電撃的な出会いで結婚する説得力があるのではと考えてしまいます。ネルラのミステリアス感は彼女にしか出せない謎の雰囲気で、さすが実力派だと感心してしまうほどなのですが…。

 第1回の野呂佳代さん、戸塚純貴さんの出演も、どこかモヤモヤ…。1シーンのみゲスト出演ではもったいないほどの芸達者で知名度もある配役です。

 これだけの俳優さんが出るんだから、何か出るのではという期待しているのですが、4話経過時点ではそのヒントはまだない状態。このまま1話のみゲスト出演だけで終わったら、無駄遣いと言ってもいいキャスティングの印象です。

ミステリーなの? ホームコメディなの?

 ミステリーで引っ張りながら、夫婦愛や軽快な家族のやりとりもこの作品の魅力であります。幸太郎の義理の家族である寛(段田安則さん)、考(岡部たかしさん)、レオ(板垣李比人さん)などの個性的なキャラクターと幸太郎との掛け合いは、見ているだけで楽しい。


 中でも3話の旅行先でのカラオケ大会は、それぞれの役者さんの普段聴けない歌声を聴けるという点において貴重なものでした。幸太郎のネルラへの想いのモノローグもふんだんで、胸がキュッとなる恋愛要素もふんだんに盛り込まれています。

 しかし、一方で繰り広げられているのは警視庁捜査一課の刑事・黒川(杉野遥亮)の視点も絡んだサスペンス…。

 このドラマの考察をする視聴者もいますが、考察系とカテゴリするほど内容がミステリーに振り切っていないのも難点で、つまり、ホームコメディか、サスペンスか、夫婦間の人間ドラマなのか。

 あまりにもいろいろな要素が均等に盛り込まれすぎているので、視聴する際の心の置き場がわからず、没入ができないのです。

小政りょう
記事一覧
ライター
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「お月のもの」ネタ再び、寅子らの生理談議にマスターのヘンな気遣い
 よね(土居志央梨)は貧しい生い立ちを明かし、涼子(桜井ユキ)や寅子(伊藤沙莉)など、同級生らが恵まれていることに憤りを...
桧山珠美 2024-04-18 16:50 エンタメ
森香澄は“嫌われる女”を演じてる説 「女子アナ」抹消計画を進行中!?
 元・テレビ東京の「女子アナ」で、昨年3月に退社してフリーに転身後、バラエティ番組を中心に引っ張りだことなっている森香澄...
堺屋大地 2024-04-17 06:00 エンタメ
朝ドラ史上初の快挙!ヒロインの月のもの(生理)事情が描かれた
 生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため2年生の寅子(伊藤沙莉)たちは先輩の久保田(小林涼子)・中山(...
桧山珠美 2024-04-15 15:48 エンタメ
平野、神宮寺、岸のNumber_i返り咲きの春! 欲いえばもっともっと…
 さくら満開の春、Number_iがテレビに帰ってきました平野紫耀(27)、神宮寺勇太(26)、岸優太(28)、お久しぶ...
「ニャニャニャニャニャ」寅子の必殺技!いずれ強い虎になる“伏線”か?
 判決の日。寅子(伊藤沙莉)たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よね(...
桧山珠美 2024-04-12 18:20 エンタメ
不祥事芸人・フジモンの賛否両論の復帰劇!実は吉本への貢献度が抜群?
 昨年10月に当て逃げ事故を起こして活動自粛していたフジモンことFUJIWARA・藤本敏史が、3月23日放送の『さんまの...
堺屋大地 2024-04-12 06:00 エンタメ
寅子「あきらめたらそこで終わり」はもしや…名作漫画のイズムにニヤリ
 傍聴した裁判について尋ねた寅子(伊藤沙莉)に対し、穂高(小林薫)は皆で議論してみるよう促す。  暴力を振るう夫か...
桧山珠美 2024-04-11 15:25 エンタメ
トラコ入学、伊藤沙莉は表情筋を自由に操る女優…男装の山田よねにも注目
 昭和7年。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子(伊藤沙莉)のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子(桜井ユ...
桧山珠美 2024-04-08 18:38 エンタメ
“お騒がせ”青井実アナが心機一転、なにわ男子の道枝駿佑と似てるって⁉
 世の中の人がNHKに持つイメージといいますと、「真面目」「お堅い」「地味」といったところでしょうか。  そんな中...
逃げ恥の百合ちゃん役が“頭のいい女は頭の悪いふりをするしかない”発言
 穂高(小林薫)に出くわしたことで女子部への出願が母・はる(石田ゆり子)にばれてしまった寅子(伊藤沙莉)。  娘に...
桧山珠美 2024-04-05 15:30 エンタメ
「虎に翼」語りは尾野真千子 NHKアナと俳優のナレーションの違いは?
 寅子(伊藤沙莉)がお見合いに苦戦する中、親友の花江(森田望智)は寅子の兄・直道(上川周作)との結婚準備を順調に進めてい...
桧山珠美 2024-04-05 15:14 エンタメ
「虎に翼」シン・朝ドラの予感!わずか1話、たった15分で心つかんだ描写
 昭和6年・東京。女学校に通う猪爪寅子(伊藤沙莉)は父・直言(岡部たかし)、母・はる(石田ゆり子)から次々とお見合いを勧...
桧山珠美 2024-04-01 22:28 エンタメ
僥倖!世界に挑む赤西仁ほど「サムライマック」のCM向きな俳優はいない
 マクドナルドのCMにイケメンあり!  そんな声をちらほら耳にするようになりました。たとえば4月2日から全国放送さ...
平野らTOBEがドーム公演大成功の一方、暗雲立ち込める旧ジャニの逆転は
 3月14日から17日にかけて、滝沢秀明氏創設のTOBE所属アーティストによる東京ドーム公演「to HEROes ~TO...
こじらぶ 2024-03-30 06:00 エンタメ
ブギウギ最終回、水を差すようでスンマセン! 残念すぎる4つの演出と描写
 スズ子(趣里)のさよならコンサートが始まる。客席には懐かしい多くの面々がかけつけている。茨田りつ子(菊地凛子)、愛子(...
桧山珠美 2024-03-30 11:41 エンタメ
スズ子引退会見、“天敵の文屋”鮫島の「シャッポを脱ぐ」演出を読む
 歌手・福来スズ子(趣里)の引退会見の当日。スズ子は結局、羽鳥善一(草彅剛)とは話ができないまま会見に臨むことになってし...
桧山珠美 2024-03-27 14:30 エンタメ