「あの人が…なんで?」地味ママの“富豪人脈”に呆然。勝ち組を演じていた女の勘違い

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-09-13 11:45
投稿日:2025-09-13 11:45

【武蔵小杉の女・鈴木綾乃 35歳】

 綾乃は千代田区の高級マンションから武蔵小杉へ2年前に引っ越して来た。以前の土地では、富裕層中心のママ関係に居づらさをおぼえていたが、地に足着いた人の多いこの場所では常に目線を下に置けるのだった。【前回はこちら

【関連記事】千代田区民は“勝ち”だよね。通勤ラッシュを知らない自分は上流階級層の女【御茶ノ水の女・鈴木綾乃33歳】

 ◇  ◇  ◇

 初めて会って以来、たっくんママは積極的に綾乃のグループに参加するようになった。

 LINEグループには惰性で入れてあげたが、彼女は積極的に発言をするので仲間内の盛り上がりに一役買っている。しかも下手に出てくれるのでとても心地よい存在感だということに気づいた。

 ただ、笑顔で接しながらも、綾乃はどこか胸が痛かった。

 ――たっくんママ、私たちに合わせて無理をしているんじゃないかしら。

 同じマンションに暮らしているので、所得層は一定以上あるはず。だが、ところどころの所作やたまにタメ語になる乱雑な言葉遣いが気になった。

「たっくんママ」への警戒心と哀れみ

 あれから、彼女は綾乃たちと同じ赤ちゃん教室にも通い始めたが、講師の先生に渡すお月謝も、封筒ではなく裸で渡していた。

 何度も指摘が出かかったが、かつて千代田区に暮らしていた際、何気ない注意に自分が傷ついた経験があるため、心苦しかった。

 聞けば、彼女は地元・川崎出身で、小学校は公立だったとか。武蔵小杉は今でこそ高級マンションが立ち並ぶ街だが、この地域の20年前の私立中学在籍率は3%に満たなかったという。

 川崎、特にこの地域は工場が多く立ち並ぶ場所だったというから、彼女の家柄を聞かずとも察することができる。

 結局、お受験についての会話はあれ以来出していない。

 彼女といるとどこか警戒心を持ってしまう…。だから綾乃は同じグループの中でも視界には入れず、付かず離れずで接していこうと決めている。

 だが、そんなとき。改めて、LINEで個別に連絡があり、“例の話”をまた持ち出された。

『綾乃さん、今度、お受験について教えてくれませんか? 学校はもちろん、お教室とか、いろいろ伺いたくて』

 実を言うと、綾乃はお受験事情に詳しいというわけではない。

 ネットで調べた有名なお教室に間際になって駆け込み、追加課金で講師の言うがままに行動したようなもの。しかも、そのお教室は以前暮らしていた都内にあるため、この地域に住む人の参考にはならないはず。

 それもあってやんわり断ることにした。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


今年は自信をつけたい!残念な目標を上手な目標に変えるテク
 新しい年がスタートしました。早速ですがみなさん、今年の目標を決めましたか? まだなら、自信がつくような上手な目標を立て...
夜も更けてそろそろ眠くなってきた 2023.1.6(金)
 終わらせたい仕事があって、帰宅時間が遅くなった夜。冷えた空気の中、コートの襟を立てて帰り路を急ぐ。夜も更けてそろそろ眠...
【2022年アツかった記事】イオンのど真ん中にフェムテック専門店!「性」商品はタブーなんかじゃない
(2022年8月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ※  このところ、フェ...
【2022年アツかった記事】なるほど納得!「若さ」についてイヤミを言う人の残念な正体
【愛のスナック どろんぱ】 (2022年3月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)  ※  ※  ...
お腹も“たまたま”も出し惜しみなし! 解放感を満喫にゃん♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
デート中にやらかした…赤っ恥「トイレ失敗談」を告白します
 人間は、きっと誰でも人には言えない恥ずかしい「やらかし失敗談」を持っているはず。今回は数あるシチュエーションの中でも、...
花屋がお宅訪問で実感!「お金持ちになるための12の約束事」
 あけましておめでとうございます。  2022年が良い年だった方もそうでなかった方にも、2023年という新しい年が...
作家・重松清さんの愛情、時々イジリまじりのメッセージ
「日めくりコクハク」でおなじみ、写真家・Koji Takano(髙野宏治)さんの個展「めくりゆく日々」が1月7日~15日...
2023-01-04 06:00 ライフスタイル
この「動きたい」気持ちに素直になりたい 2023.1.4(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
「今の仕事、辞めます!」女性が退職を決める8つのきっかけ
 仕事をしていれば誰だって、一度や二度は「辞めたい」と思ったことがあるでしょう。一時の感情で収まればいいけれど、中には辞...
【2022年アツかった記事】何コレー! 天然オブジェの“最高峰”「旅人の木」は見たら即買い!?
【笑う花には福来たる】 (2022年10月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ...
何を感じ、どう動くかは自分次第 2023.1.3(火)
 2023年、自分もこうありたい。  銀座6丁目の交詢ビルにあるバーニーズニューヨーク銀座本店前、心躍るウィンドウ...
凍り付く空気の向こうに… 2023.1.2(月)
 雪化粧の富士山が見えた!!  空に向かって緩やかにそびえたつ、このシンメトリーな形に心が洗われる気がするのは日本...
【2022年アツかった記事】ステージ衣装用の真っ赤なランジェリーで“魔法”にかかった
【「イキてく強さ」】 (2022年11月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ※...
【2022年アツかった記事】“にゃんたま”御開帳はうれしいけど…スプレー行為にご用心
【きょうのωにゃんたま】 (2022年2月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)  ※  ※  ※...
あけおめ! 一休さんがこんなこと言ってたよ 2023.1.1(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...