今なら炎上必至も…大多亮プロデューサーのリアルな言語感覚

更新日:2025-08-20 18:08
投稿日:2025-08-20 18:05

【あの頃、テレビドラマは熱かった】

「愛という名のもとに」(1992年/フジテレビ)

  ◇  ◇  ◇

 バブル景気が崩壊し、就職氷河期の入り口でもあった1992年。この年の1月、フジテレビの月9と並んで高視聴率ドラマを連発していたフジ木10の“木曜劇場”で放送されたのが、「愛という名のもとに」だ。

 前年1月期の月9「東京ラブストーリー」でヒロイン赤名リカを演じ、一躍人気女優となった鈴木保奈美(59)が主演。脚本は「101回目のプロポーズ」などで月9を牽引した野島伸司。大学のボート部だった男女7人が卒業から3年後に再会するところから始まる青春群像劇である。

 主題歌は浜田省吾の「悲しみは雪のように」。挿入歌やサブタイトルに至るまで“ハマショー”で固められた構成も話題になった。いまやNHK大河主演俳優となった仲野太賀の父・中野英雄が演じた“チョロ”の衝撃的な場面、そしてラストシーンのイチョウ並木──当時の若者=今の50代後半を中心とした世代にとっては、鮮烈な記憶として刻まれているだろう。

 このドラマでハマショーにハマった人も多い。ものすごく怒る人もいるかもしれないが、この世代にとって刺さるのは尾崎豊よりも断然、ハマショーなのだ。おっさんが「もうひとつの土曜日」をスナックで熱唱してヒンシュクを買っても、構わないのだ。

 それはさておき、このドラマのプロデューサーは、月9をはじめ数々のトレンディードラマを手がけてきた大多亮。ドラマ放送の少し前、ブイブイ言わせていた頃の大多さんが語っていたのをふと思い出す。

「僕らがターゲットにしているのは、小田急線の各駅が止まる、経堂とかの1Kで家賃6万~7万円くらいのアパートに住んでるOLさん。生活は苦しくても都会に憧れて、ちょっと背伸びしたいような子」

 今なら炎上必至の“決めつけ”ぶり。でも、生々しくて誰の頭にも浮かぶリアルなたとえだ。当時は「デキるプロデューサーの言語感覚」として確かに説得力があった。それに腹落ちしたスタッフは一丸となってそこに突き進み、トレンディードラマは隆盛を極めたのかもしれない。

 だから、こないだの“中居問題検証番組”で話題となった「女子アナは上質なキャバ嬢」発言も、ある意味、大多さんらしいと妙に納得してしまった自分がいる。いや女子アナさんも世間も許さないだろうけれども。

 そうそう、キャバ嬢といえば、チョロが夢中になるのもよく分かるくらいチャーミングだったルビー・モレノは今、どうしているだろうか。

(テレビコラムニスト・亀井徳明)

エンタメ 新着一覧


りつ子スパークのラインダンス必見!ワクワクズキズキと笑顔が溢れる回
 羽鳥善一(草彅剛)作曲二千曲記念ビッグパーティーの日が近づいてくる。羽鳥はスズ子(趣里)たちに、パーティーで余興をして...
桧山珠美 2024-03-11 15:30 エンタメ
“ユーミンドラマ”で見せたクソ女の夏帆、そして金子大地と中島歩に注目!
この投稿をInstagramで見る 【公式】「ユーミンストーリーズ」オムニバス夜ド...
真木よう子“まっけんセクハラ発言”はわざと?昭和の価値観をエンタメ化説
 ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』(2007年/フジテレビ系)や『最高の離婚』(2013年/同)などでの演技が好...
堺屋大地 2024-03-09 06:00 エンタメ
第111回ブギウギの“三大なぁぜなぁぜ”…畑仕事する農家の手じゃない!
 梅吉(柳葉敏郎)が亡くなった。葬儀では松吉(木内義一)が号泣しながら、遺影の自慢をする。  そんな中、スズ子(趣...
桧山珠美 2024-03-08 15:50 エンタメ
死の間際までユーモア忘れず、父娘で歌った「父ちゃんブギ」
 久しぶりに香川に戻ったスズ子(趣里)は、梅吉(柳葉敏郎)が写真館を切り盛りし、繁盛していた話を聞く。梅吉が大切にしてい...
桧山珠美 2024-03-07 15:40 エンタメ
NHKさん、経費削減のあおりですか?スズ子の米公演シーンは写真だけ
 アメリカ行きを決めたスズ子(趣里)だったが、愛子(小野美音)は置いていかれることにすねてしまう。  旅立ちの直前...
桧山珠美 2024-03-05 15:35 エンタメ
“電撃婚”大谷翔平の心を射止めた妻はプロ中のプロ彼女。目標はダル夫婦?
 2月29日16時42分のことでした。NHKで衆院政治倫理審査会(政倫審)の中継を見ていたら、<大リーグ・大谷翔平選手 ...
【台湾ルポ】台湾人の祈り方「拜拜」が酔狂的でエキセントリックすぎる!
 日本からのアクセスも良く、週末や連休を利用して旅行が楽しめる海外として人気の「台湾」。台湾グルメを満喫したり、観光スポ...
2024-03-07 18:24 エンタメ
「買い物ブギ」圧巻のステージ!“キングカズ長男”覚醒、スズ子の虜に
 ワンマンショーに向けて稽古や衣装合わせが続く中、スズ子(趣里)は新しいマネージャーのタケシ(三浦獠太)の様子を見て不安...
桧山珠美 2024-03-01 14:30 エンタメ
タナケン「業界」発言に違和感 喜劇界でも演劇界でもないワードチョイス
 タナケン(生瀬勝久)が入院したと聞き、山下(近藤芳正)とスズ子(趣里)は、タナケンの見舞いに行くことにする。  ...
桧山珠美 2024-02-27 15:05 エンタメ
NHKさん、スーパー家政婦・大野さんのレシピ本出版のご予定は?
 大野(木野花)が家政婦としてスズ子(趣里)の家に来て半年、愛子(小野美音)はニンジンを食べられずにスズ子を困らせていた...
桧山珠美 2024-02-26 16:00 エンタメ
芦田愛菜が少し嫌いになりそう…「さよならマエストロ」本筋以外が楽しみ
 イケメンの息子はやっぱりイケメンです。TBS日曜劇場「さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~」を見ながら、確信...
恐るべし、大野さん! おてんば愛子を“瞬殺教育”、白い割烹着は信頼の証
 茨田りつ子(菊地凛子)の紹介で、大野晶子(木野花)がスズ子(趣里)の家政婦として働くことになる。  この日のスズ...
桧山珠美 2024-02-24 13:55 エンタメ
錦戸亮“主演抹消過去”もバネに復活!山ピー、平野ら民放地上波で続々躍動
 2月23日、「不適切にもほどがある!」(TBS系、以下「ふてほど」)に錦戸亮(39)がゲストで登場し、大反響を巻き起こ...
こじらぶ 2024-02-24 16:04 エンタメ
痛快すぎるりつ子のひと言、“眼鏡会計ババア”でざわつかせた女優登場!
 スズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)に新曲にはブギの歌を書いてほしいとお願いする。  はじめは、ブギが続けば面白...
桧山珠美 2024-02-22 15:05 エンタメ
デカッ!急成長を遂げた2歳の愛子にびっくり、愛助さん似?
「東京ブギウギ」に続き、「ジャングル・ブギー」もヒットさせたスズ子(趣里)は、仕事に育児に大忙しの日々を送っている。 ...
桧山珠美 2024-02-19 17:00 エンタメ