松重豊は福岡の人気私立「西南学院」から明大文学部に 学費の問題で日大芸術学部は断念

更新日:2025-09-06 17:03
投稿日:2025-09-06 17:00

【あの有名人の意外な学歴】番外編

 松重豊(俳優/62歳)

  ◇  ◇  ◇

「福岡は昔から教育熱心な家庭が多く、中高一貫校や難関高校への受験が盛ん」と話すのは地元の学習塾経営者。県内偏差値トップの私立中高一貫校の久留米大付設はホリエモンこと堀江貴文氏やソフトバンク創業者の孫正義氏が在学していたことで知られる。高校から入った孫氏は2年の時に中退し、米国に留学している。なお、孫氏や堀江氏が在学していた頃は男子校だったが、現在は共学になっている。

 受験熱が高い福岡で久留米大付設とともに常に人気上位にくるのが俳優・松重豊(62)が高校から入学した私立中高一貫校の西南学院だ。松重が通っていた時代は男子校だったが、久留米と同様、共学化している。

 2012年から続くドラマ「孤独のグルメ」(テレビ東京系)でずっと主演を務め、押しも押されもせぬ大御所となった松重。その落ち着いた風貌からは想像できないが、かつてはパンクロック少年だった。福岡市の公立中学に通っていた時、友人から英パンクバンドのセックス・ピストルズのレコードを借り、すっかりはまった。中3ですでに身長は187センチあった。バンドを組めば目立っていたに違いないが、そうはならなかった。楽器も弾けず、歌も下手くそだった。くせ毛のために、セックス・ピストルズのシド・ビシャスのように髪の毛が立てられないのが本人は不満で、ミュージシャンへの道はあきらめた。

 西南学院高校に進学してからも、パンク少年の心意気だけは残っていた。「キリスト教系ながら、生徒の自主性を重んじる学校」(前出の塾経営者)として知られ、松重も自由を満喫した。3年の時に福岡出身の石井聰亙(現石井岳龍)監督の映画「狂い咲きサンダーロード」を見てパンク魂が揺さぶられた。

 映画監督になりたいと思った松重は、石井監督と同じ日大芸術学部に入ろうと考えたが、結局断念する。学費が想像以上に高かったからだ。そこで目指したのが、ずっと安く済む明治大文学部だった。同学部文学科演劇学の卒業生には日芸中退の石井監督と同じくらい尊敬する唐十郎がいた。ちょうど時代は小劇場ブーム。唐、寺山修司といったアングラ界のカリスマたちに憧れていた。

 無事、明治大に合格した松重はさっそく、自身の劇団を旗揚げ。まったく芽が出なかったが、この頃さまざまな人物と出会う。ザ・ブルーハーツを結成する前の甲本ヒロト、日芸の三谷幸喜……。法政大の学生だった甲本は下北沢の中華屋のバイト仲間。松重が初めて監督を務めた「劇映画 孤独のグルメ」(今年1月公開)では甲本の所属するザ・クロマニヨンズが主題歌を担当した。また、三谷が東京サンシャインボーイズを立ち上げる際には役者として参加した。

 明治大を卒業した松重は蜷川幸雄が主宰する劇団に入団。在籍したのは3年半だけだった。当時の蜷川は若い劇団員を「3年で野に放つ」方針をとっていた。劇団を出された松重は建設会社に就職。現夫人との結婚資金を貯めるためだった。役者仲間の勝村政信から説得され、再び芝居の世界に舞い戻ったのはその1年半後だった。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」薪鉄子が持つ“小道具”の細かさに気づいた? すれ違いコントは見なかったことにします
 鉄子(戸田恵子)からの電話に出た東海林(津田健次郎)は、ひとり考え込んでいた。鉄子がそんなに怒っていたのかと、慌てて謝...
桧山珠美 2025-07-16 17:31 エンタメ
もはや『M-1』は芸人だけのものじゃない? 万博、地方創生…吉本が目指す“次のフェーズ”
 6月25日、漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2025』(テレビ朝日系)の開催会見が東京・渋谷よしもと漫才劇場で開かれ...
令和ロマン・高比良くるまが“騒動”で得た「天下を獲る」ために必要な武器
 オンラインカジノ問題をめぐって活動を休止していた令和ロマンの高比良くるまさんが4月28日、約2か月ぶりに復帰しました。...
田原俊彦よ、「※ただしイケメンに限る」はもう通用しない。世のオジサンは彼の“勘違い”から学ぶべし
 6月15日放送の『爆笑問題の日曜サンデー』(TBSラジオ)にて、ゲスト出演した田原俊彦が、女性アナウンサーにセクハラを...
堺屋大地 2025-07-14 11:50 エンタメ
【募集】夏ドラマ何見る? 期待してる&ガッカリを教えて!『ひとりでしにたい』『ちはやふる』『しあわせな結婚』etc
 コクハクでは2025年名夏ドラマを対象としたアンケートを実施します。7月よりスタートする夏ドラマ、「期待している」「面...
「あんぱん」嵩らの“腹痛”は史実とちょっと違う? 懐かしい2人の登場には狂喜乱舞! 生きていてよかった…
 東京に到着したのぶ(今田美桜)たちは、さっそく聞き込みを始めるが「ガード下の女王」はなかなか見つからない。みんなで屋台...
桧山珠美 2025-07-11 18:33 エンタメ
「あんぱん」メイコ、夢はお嫁さんでいいのか? 健太郎(高橋文哉)ともう1人の“三角関係”を妄想する
 東京出張の前日。みんなで取材する代議士の資料を確認していたのぶ(今田美桜)は、岩清水(倉悠貴)が話す「ガード下の女王」...
桧山珠美 2025-07-10 18:34 エンタメ
timelesz、新体制が“古参ファン”に受け入れられる日は来るのか? 旧ジャニ「シャッフルメドレー」不参加の賛否
 7月5日、櫻井翔(43)が総合司会を務める音楽特番「THE MUSIC DAY 2025」(日本テレビ系)が放送され、...
こじらぶ 2025-07-10 11:50 エンタメ
石田ひかり53歳、今を生きる女性に伝えたい“楽しく生きていく”ためのメッセージ|映画『ルノワール』
 1986年のデビューから、映画『ふたり』『はるか、ノスタルジイ』や、連続ドラマ『悪女』、連続テレビ小説『ひらり』、『あ...
望月ふみ 2025-07-10 11:50 エンタメ
『あんぱん』ツダケンの“にゃあ”が秀逸だにゃあ!「月刊くじら」には色々とツッコミどころもあるが
『月刊くじら』創刊号は2日で2000部を売り切り、好調な滑り出しを見せる。嵩(北村匠海)は『月刊くじら』編集部に異動に。...
桧山珠美 2025-07-09 17:00 エンタメ
【10万いいね】鈴木えみ、20年前→現在の比較写真が“美しすぎる”と絶賛「変わらなすぎ!」「今の方が可愛い説まである」
 ファッションモデルから俳優業まで、幅広い分野で活躍する鈴木えみさん(39)。2025年7月7日に自身のInstagra...
春ドラマの評判を調査!本命『最後から二番目の恋』は2位。1位は意外な快進撃。日常系が人気、刺激疲れか?
 2025年の春ドラマが、次々とフィナーレ。今期はSNSでバズった顔ぶれも多く、ドラマファンからしても楽しいシーズンだっ...
「あんぱん」嵩は受かるのか…って次週予告編でネタバレか? アンパンマン声優の姿もチラリ
 のぶ(今田美桜)の家で暮らすことになったメイコ(原菜乃華)は、夢に向かって一歩を踏み出す。そしてのぶも、月刊誌の刊行に...
桧山珠美 2025-07-05 08:00 エンタメ
『あんぱん』のど自慢といえば「ひよっこ」有村架純を思い出す。メイコが歌うのはどの歌なのか?
 夕刊の話がなくなり、時間を持て余すのぶ(今田美桜)だったが、夕刊の代わりに月刊誌を出せることに。岩清水(倉悠貴)と歓喜...
桧山珠美 2025-07-03 18:11 エンタメ
TOKIO 国分太一騒動で危うい“料理イケメン”たち「男子ごはん」での気になる発言
 またひとり、旧ジャニーズのタレントが消えてしまいました。今度はTOKIOの国分太一(50)です。今月20日、無期限の活...
東海林(津田健次郎)はエラいのかポンコツなのか? ともあれ“ツダケン”の魅力的な演技に惚れ惚れ
 高知新報が夕刊発行の申請をし、のぶ(今田美桜)は編集長を任された東海林(津田健次郎)と先輩記者の岩清水(倉悠貴)と共に...
桧山珠美 2025-07-01 18:19 エンタメ