三谷幸喜がスポーツ強豪校だった世田谷学園を選んだワケ 4年前に理系コースを新設した進学校

更新日:2025-09-13 17:03
投稿日:2025-09-13 17:00

【あの有名人の意外な学歴】番外編

 三谷幸喜(脚本家/64歳)

  ◇  ◇  ◇

「少子化が進み、多くの中高一貫校が苦境におちいる中、逆に伸びている学校もある。その代表格が私立男子校の世田谷学園」と話すのは大手学習塾の幹部。4年前に理系コースを新設し、躍進の原動力になっている。

「高校ならともかく、中学から理系に特化したクラスを設けたのがミソ。特に子どもを医学部に入れたいという家庭から注目を集めています。世田谷区という場所柄、裕福な層が多いのもプラスに働いている」(同)

 受験界では新興進学校の位置付けだが、かつてはスポーツ強豪校として知られていた。とりわけ有名なのは柔道だ。古賀稔彦、吉田秀彦、滝本誠、大野将平と4人もの五輪金メダリストを送り出している。進学校となる前のこうした時代にはスポーツとは別の大物も輩出。その一人がエンターテインメントの世界で活躍する三谷幸喜(64)だ。今年は主宰する劇団「東京サンシャインボーイズ」を30年ぶりに復活させ、「蒙古が襲来」を上演。話題を呼んだ。

 小学校と中学は地元・世田谷区の公立。10歳の時に実業家の父を亡くすが、母、祖父母、叔父、叔母らに囲まれ、にぎやかな環境で育った。小学生の幸喜少年はすでに天才の片鱗を見せ始めている。母・直江さんの誕生日に人形劇を披露。部屋いっぱいに人形を配置し、工夫を凝らした照明や音楽をバックに物語を展開する大作だった。

 小学4年の時、母と2人で半月間、欧州旅行。チャップリンの家やシャーロック・ホームズの下宿のモデルとなった場所を訪ねた。三谷の自著「仕事、三谷幸喜の」(KADOKAWA)に寄稿した直江さんは「地図も経路も全部自分で調べて連れていってくれた」と明かしている。プロデュース能力の高さはこの頃にもう備わっていたのだ。小遣いも正月に1年分をまとめて渡していたという。

 世田谷学園高校への受験も全部、自分で決めた。母は一切、口を出さなかった。高校時代は映画を撮るのに熱中。ミステリー物がほとんどだった。喜劇に傾倒するのは日大芸術学部演劇学科に入ってから。

「面白いヤツがいると早くから評判になっていた」と振り返るのは日大の元教授。三谷に限らず、日芸演劇学科には才能あふれる人材がそろっていた。三谷の3年後輩には爆笑問題の太田光と田中裕二の2人がいた。何より驚くのは元キャンディーズで水谷豊夫人の伊藤蘭が在学していたことだ。日大第二高校から演劇学科に入学したのは73年。しかし、江古田キャンパスに顔を見せることはほとんどなかった。それまでアシスタント的な仕事が多かったキャンディーズだが、その年の9月に歌手デビュー。一気に忙しくなり結局、大学は中退した。

 伊藤の7年後輩ということになる三谷は在学中に東京サンシャインボーイズを旗揚げ。当初は客が入らず赤字続きだった。劇場代を借りようと母・直江さんに泣きついたが、右から左にカネを渡すようなことはなかった。代わりに、本人名義で銀行から借りる算段をつけるのを手助けしただけだった。母の甘やかさない教育が希代の喜劇人をよりたくましくしていったのである。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」なんて贅沢!今が旬、河合優実の“目で語る”表現力と色気に驚く。俳優・ソニンのEE JUMP感を消した演技も見事
 なりたい夢を見つけたのぶ(今田美桜)は、女子師範学校合格に向けて猛勉強をし始めるが、成績が思わしくなく頭を抱える。同じ...
桧山珠美 2025-04-21 14:23 エンタメ
怪演・市原隼人に「ヤバい超大物」2人が熱烈ラブコール。迫真すぎる“ガンギマリ”の演技がモテる理由か
 大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)にて、盲目の大富豪にしてゾクッとする異様な雰囲気を放つ鳥山検校を怪演...
堺屋大地 2025-04-21 06:00 エンタメ
ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ