歌手・秋元順子さん「トークショーがメインのミニライブをやっていきたい」

更新日:2025-09-15 17:03
投稿日:2025-09-15 17:00

【死ぬまでにやりたいこれだけのこと】

 秋元順子さん(歌手/78歳)

  ◇  ◇  ◇

 58歳でメジャーデビュー、「愛のままで…」の大ヒットで知られる秋元順子さん。今も超遅咲きの歌手として元気に活躍しているが、やりたいことも次から次に……。パワフルだ。

■「心の鷗」をリリース

 昨年のことになりますが、世界的なビジネス誌「Forbes」で「50歳以上のアジア人女性ランキング50」の一人に選ばれました。2005年にデビューした時が58歳。3枚目のシングル「愛のままで…」がヒット、08年に紅白歌合戦に紅組史上歴代最高齢で初出場し、翌09年にはオリコンチャート総合ランキング1位を最高齢で記録したことなどが選考の理由でした。

 50人の中に日本人女性は6人いましたが、まさか私の名前があるとは夢にも思わず、最初は半信半疑でした。でも、こうしていろいろな方が私を見守ってくれていることがわかり、とても励みになっています。

 6月に新曲「心の鷗」を出しました。作曲は浜圭介先生です。作詞は大津あきらさん。大津さんは中村雅俊さんの「心の色」や高橋真梨子さんの「for you…」などで知られる作詞家、奥さまは女優の根岸季衣さんです。大津さんは1997年に47歳の若さで亡くなられましたが、病床で書き残したものに、それを預かっていた浜先生が曲をつけたものです。人生という大海原を愛と夢で生き抜く雄大な世界観を歌にしたものです。「愛のままで…」とは異なる人生の奥の深さを感じていただけると思います。

 私がこれからやりたいことを書き出してみたのですが、いっぱいあり過ぎて、どれからやっていこうかと(笑)。やはり人生の残りの時間は歌に捧げたいです。

 もっともやりたいのはミニライブがついたトークショーです。たくさんやっていると思われるかもしれませんが、実はこれまで2回しかありません。最初は福岡・飯塚の江戸時代から伝わる有名な芝居小屋の嘉穂劇場です。「愛のままで…」がヒットした時に夫婦生活がうまくいく秘訣を60の言葉にした「夫婦の距離」という本を出したのですが、それをテーマに質問に答えるというトークショーで終わった後にピアノに合わせて歌うスタイルでした。メインはトークショーです。

 もう1回は九州の別の会場です。これは歌はなく、トークショーのみです。歌わないというと驚かれる方もいると思いますが、私はおしゃべりが大好き。実は「下町のダジャレ夫人」と呼ばれています(笑)。話しているうちにダジャレがポンポン出てきて笑う箇所がいっぱいあるんです。

綾小路きみまろが「共通点があるよね」と

 以前、綾小路きみまろさんと仕事でご一緒したことがあります。きみまろさんの話術は素晴らしいですが、その時に私と握手をしながら「私たちには共通点があるよね」と言ってました(笑)。また、きみまろさんにお会いしたいですね。

 デビューして2曲目の「雨の旅人」(07年)を出した時にラジオ日本で2年半ほどジャズの番組のパーソナリティーをやったことがあります。とても好評で、また、おしゃべりができる番組をやることができたらと思っています。

 歌に関しては小さなライブハウスでの活動ですね。大きな会場でコンサートがメインでしたが、大きくてもせいぜい80人くらいまでのところで。大きな会場はステージの私は小さくしか見えないので、観客のみなさんが会場の大きなモニターを見るのに横を向いている。ライブハウスはそれとは違ってお客さまとフェース・トゥー・フェースで接することができる。

 デビュー直前まで、上野・池之端にあるライブスペースで歌わせていただいていましたので、これからも続けたいと思います。ちなみにそこは車椅子でも入りやすい場所でした。8年前に久しぶりにライブをさせていただきましたら、お客さま同士が同窓会のように盛り上がっていました。

 それから、できればジャズのコンサートをやりたいですね。元々、ハワイアンバンドがスタートでジャズを中心に活動し、横文字の歌が私の原点ですので、これからもジャズオンリーのステージができたらうれしいです。

 CMソングを歌うという夢もあります。デビューしてからこれまで一度もないんですよ。CMソングはその商品を売るための歌です。私が歌ったら商品が「すごく売れました」「あの歌のおかげで商品が売れた」という話を聞きたいですよね

■5年前から紋別市のPR大使を務め、東京からのツアーを企画

 5年前から北海道紋別市のPR大使を務めています。私は東京生まれですが、紋別でコンサートやイベントに出演させていただいてからご縁ができました。私のステージとトークを見て、地元の方が大変気に入ってくださいました。そしてその時にPR大使がちょうど交代の時期ということでお話をいただき、「よろしくお願いします」と即答しました(笑)。

 私の場合、現地の行事に参加するだけではなく私自身が企画して東京からファンの方を紋別にお連れするツアーを組みました。秋でちょうどコスモスの花が何万本も咲き誇っている季節でした。みなさん感激して帰られました。紋別の担当の方からはPR大使自ら、このようなツアーの企画をしてお客さまを連れてくる人は初めてだとおっしゃっていました。

 デビューする前にもこういった企画をさせていただきました。新潟の美術館の館長さんと知り合いになって、「ここ(美術館)でディナーショーを開催しませんか」と頼まれました。そのホールにはヨーロッパ製の立派なピアノがありました。私はマイクロバスをチャーターして15人をお連れして、館長さんもたくさんの方を集めてくださいました。帰りは新潟の寺泊漁港に立ち寄って。私はツアーガイドを務めトーク全開です。「買い物をして時間まで戻らなければ、バスはいませんよ」なんてみなさんを笑わせながら、楽しい時間が過ぎていきました。

 私はこういう人を楽しませるイベントが大好きです。これからもいろんな方にお声がけしてやっていきたいですね。

団塊の世代。60になっても新しいことを始めることができる

 18歳でハワイアンバンドを始め、石油会社にお勤めもして、結婚して子供を産んで子育てもしながら音楽に携わって59年になります。58歳でデビューして今年は21年目です。

 生まれた時の「ウギャー」という声が男の子みたいだったそうです。今はハスキーという言葉がありますが、当時はガラガラ声と言われ、私にとってコンプレックスになっていました。小学校の時にコーラスに参加して一人だけ声が飛び出しているので、「あなたは抜けて」と言われたこともありました。

 ところが、前に出て1人で「月の沙漠」を歌うように先生に言われた時のこと。先生から「いい声ね」と褒められた。クラスのみんなも拍手してくれて。「キレイな声」とか「美しい声」ではなく、生まれて初めて「いい声」と言われ本当にうれしかったです。

 そんな私が58歳でデビュー、「愛のままで…」がヒットした。あの一番の理由はその歌詞を読んでその内容を理解することができる年齢だったことです。30代ならばあのようには歌えていなかったと思います。さらにそれがヒットして人の人生までも変えてしまう、こんなエピソードもあります。ある時、友人から電話がかかってきました。

「順子さん、離婚の話をしようと思って、夫と2人だけになるために車で出かけたの。その時にラジオからあなたの歌が流れてきてね。2人で聴いているうちに涙があふれだして、離婚をやめようとなって。離婚を取りやめにしたからね」

 そんな話をしたら「離婚防止ソング」なんて言われましたけど(笑)。

 私はちょうど団塊の世代です。「愛まま」でデビューした時は同世代の方が定年を迎えてこれからどうしていこうかと悩んでいるような時期でした。でも、60歳近くになっても新しいことを始めることができるというメッセージが伝わったと思います。「あなたは死ぬまで歌うことが使命」と何度か言われたけど、歌うことでそういう方々に元気で喜んでいただけることができたら幸せです。

 (聞き手=峯田淳)

▽秋元順子(あきもと・じゅんこ)1947年6月、東京・深川生まれ。2005年「マディソン郡の恋」でデビュー、08年「愛のままで…」が大ヒット。キングレコード所属。6月に新曲「心の鷗/北の防人」リリース。10月21日「ランチ&ディナーショー プレミアムライブ」(午後2、7時、池之端ライブスペースQui)

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