なぜおばさんは“早朝ウォーキング”するのか? 運動音痴の私が中年になって実感した朝

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-09-17 11:45
投稿日:2025-09-17 11:45

おばさんにはセロトニンが必要だ

 歩き始めたのは8月の半ばからスタートして、1ヶ月ほど。きっかけはホルモン補充など、更年期の治療を始めてみたら、体調が良くなってきたからだ。加えてここ数年、仕事でもない限り、朝は全く起きられなかったのに、毎朝6時にはきっちり目が覚めるようになった。これがホルモン補充の効果だとしたら、奇跡に近いし、加齢のせいだろうか。ほら、年寄りは朝が早いじゃない。

 早朝起床が始まった頃は、なぜ自分が起きているのか皆目見当がつかず、逆にザワザワした。でもこれも薬が効いているのだと思ったら、動こうと意欲が湧いてきた。

(…歩いてみようかな)

 歯磨きだけして顔は洗わず、太陽の当たりそうな箇所に日焼け止めだけササッと塗り、水筒にお茶を入れて、タオルと日傘を持って家を出る。行き先は毎日違う。スピっているわけではないけれど、毎日サイトで吉方位を調べて、その方向に4〜5キロ歩く。毎日同じコースは性格的に飽きるだろうし、どうせ歩くなら良き方角の方がいいはず…が、私の判断だ。

 歩き始めた当初は8月半ばで、早朝とはいえど暑い。それでも日中のエアコンの効いた室内で仕事をしているよりは、風を浴びているととても気持ちが良い。マジで。酒を飲んで覚える恍惚感もいいけれど、朝日が気持ち良い中年になったのだ。そして歩いていると発見もある。ああ、こんな店もできたのか、この時期はこんな花が咲いているのか。思わず青山テルマの曲を口ずさみそうになる。

 帰宅してシャワーして朝ごはんを食べて(やや眠くなりがら)、仕事開始。こんな日々を常としているせいか、更年期で絶不調だった時期とは比べ物にならないほど体調がいい。

 ちなみに一昨年の年末も、自分の中性脂肪率を気にしてウォーキングをしていた。その時は「歩く」を主眼にしていたので、仕事を終えた夜に歩き、寒さに負けて継続とまではならなかった。

 今回は「歩く」よりも「動く」をメインにしているので、歩数はあくまで目安。それよりも一歩家を出て、太陽光による幸せホルモン=セロトニンとやらを浴びるのがいいらしい。今までセロトニンの存在をどこかで信じていなかったけれど、今はホルモン補充をして体調が良い身分。女性の体がいかにホルモンに差配されているのか、重々身に染みているので、セロトニン、深謝! の気持ちだ。

 …と、この健康話を同級生の友人に電話で話した。

「あ、私もねえ、旦那と最近毎朝6時に起きて歩いてるよ! 近所のお寺にお参りして帰ってくるんだけどね、朝、いいよねえ」

 やはりおばさんには朝が似合うのだと、実感した。明日も歩こう。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


好きな街、好きな時間。
 こんな街で、まだ日のあるうちに少し灯りがつく時間が好きだ。
【動物&飼い主ほっこり漫画】第90回「バランスゴロちゃん」
【連載第90回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【女偏漢字探し】「唱」の中に紛れ込んだ漢字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
友達、同僚、彼氏…重い話LINEの角の立たない返し方3選。会話できない時間を狙い、着信履歴を残す!
 友達や同僚、彼氏など、身近な人から重い話をされたとき、大抵は「力になってあげたい」と思うはず。  でも時間がなかった...
共学なんてバカじゃないの! 暴走するお受験妻が「娘の反抗」でようやく気付けたこと
 横浜に暮らす経営者の妻の愛子。小学生の長女・美愛と横浜山手御三家と呼ばれる女子校に狙いを定めて、中学受験に臨んでいる。...
東京の「Fラン大学」を出たママの誇り。お受験戦争の渦中、優秀な娘に人生を重ねる傲慢な願い
 横浜に暮らす経営者の妻の愛子。長女の美愛はまだまだ甘えん坊の小学生。横浜山手御三家と呼ばれるお嬢様女子校に狙いを定めて...
娘の名門合格を喜べない…男に依存してきた妻が「女子校進学」を強いる理由
 冬の突き刺すような西日が差すリビングに、不安げなマウスの音が響いた。  時計の秒針が12を指したことだけを確認し...
ウェブ連載なのにやり取りはイエデン? 64歳、超アナログおじさんの「何やら新しい現象」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
アルハラ回避! スナック嬢が実践する「酔わない飲み方」3つ。お酒嫌いは「あの飲み物」を垂らしてみて
 みなさんはお酒好きですか?もちろん種類によって好き嫌いがありますよね。実は私、水割りと呼ばれるものが苦手です。焼酎でも...
育休明けのフルタイム復帰、育児家事と両立できるか不安…。キャパオーバーの悲劇を回避する3つの方法
 育休明け、いざ職場にフルタイム復帰することになった時、ママたちの脳裏にはさまざまな不安が押し寄せますよね。子供のことや...
職場バレンタインのトホホなエピソード6選。今年はどうなる? あげても地獄、あげなくても地獄だよ…
 もうすぐ恋する女性の一大イベント、バレンタイン! 好きな男性や彼氏にどんなチョコレートを渡そうか、今からソワソワな女性...
また値上がり!? 40代主婦が物価高を痛感した瞬間と節約サバイバル術4選。買い物は私一人で行きますよ
 続く物価高で、家計のやりくりを頑張っている主婦は多いはず。それでも追いつかないくらいに、物価高の実感は日々高まるばかり...
ねこプロレス第2弾! 挑戦者の尊すぎる“たまたま”ぽろりに延長戦希望
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
春と幸運を呼ぶ「球根付き切花」を長持ちさせる意外な注意点。あー、見るだけでワクワクが止まらない!
 立春を迎え暦の上でも春。猫店長「さぶ」率いる我がお花屋の立地は神奈川の片田舎ですが、1月の終わりごろからど偉いエネルギ...
事例ありき? お役所仕事だな。街路灯ランプをLEDにするだけなのに、なぜかてんやわんや…
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ホットフラッシュvsニット。“セーター”に恋焦がれる更年期世代から「エアリズムニット」の提案
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...