梅宮辰夫の友思い…酒浸りの山城新伍に手作り弁当を
【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】
先日、知人から連絡があり、直腸検査を受けてポリープを切除したという話を聞いた。悪いものではなかったようだが、数日間、おかゆ中心で消化のよいものを食べるように言われたそうだ。
その話で思い出したのが、故・梅宮辰夫さん(2019年.81歳没)のことだ。一時期、娘の梅宮アンナの羽賀研二との交際のこともあって何度も取材した。ある時、カメラチームを連れて東京・渋谷の自宅へ行くと、ちょうど梅宮さんが家を出てきたところで、すぐに声をかけてみた。手にはなんとカップ麺を持っていて、割り箸を割ってすすり始めた。
「食べ終わるのを待ちましょうか」と言うと、「いやあ、かまわないよ。今日、検査を受けてポリープを取ってきたんだ」と話し、「ゆうべから何も食べてなくて、腹が減っちゃって……」と続けた。聞けば、毎年、検査のたびにポリープを切除していて、もう慣れっこで食事に神経を使う必要もないそうだ。
梅宮さんといえば、食通で料理がうまいことで知られていた。それなのに庶民派のカップ麺なので笑ってしまったが、頓着がない様子だった。
彼は映画やドラマで活躍したほか、テレビで海外の「秘境で魚を釣る」番組にも定期的に出演していた。本人はたいへんだったが、同行するディレクターやカメラチームは本当にロケを楽しみにしていた。というのも、現場近くにレストランがなくても、梅宮さんが3食すべて完璧に作ってくれたのだという。日本から持っていける材料や調味料、包丁などの器具も持参し、現地の市場に出かけて新鮮な食材を買い出し調理したものをみんなにふるまった。
そんな梅宮さんは、離婚した故・山城新伍さんが1人暮らしで体調を崩しているというのに酒ばかり飲んでいると聞くと、たびたび手作りの豪華な弁当を持っていき食べさせていたという。ふたりでどんな話をしていたのだろうか。
実は、その梅宮さん自身も30代半ばにがんを患っている。以来、あれほど遊んだ銀座通いをふっつりとやめた。酒浸りの上に女性でも名をはせたものだが、病気と闘い始めてからはそんな生活から手を引き、料理を楽しみにしてきたのだ。
有名な話だが、自分でぬか漬けを作っていて、毎日、ぬか床をかき混ぜる必要があるので、別荘に行くときも車のトランクにぬか床を入れて運んでいたという。
そんな食通の梅宮さんがカップ麺というのでおもしろかったが、本当の意味で自然体の人だった。
(城下尊之/芸能ジャーナリスト)
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