単位制高校を中退、27歳で科学技術学園高校に入り直した井ノ原快彦の信念

更新日:2025-10-11 18:08
投稿日:2025-10-11 18:05

【続・あの有名人の意外な学歴 】#5

 井ノ原快彦(元V6)

  ◇  ◇  ◇

「旧ジャニーズ事務所の良心」(制作会社幹部)とも称されるイノッチこと井ノ原快彦(49)。2年前、子会社ジャニーズアイランド社長(当時、以下同)として「ジャニー喜多川性加害問題」の記者会見に登壇。ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子前社長や東山紀之社長と比べ、一切の隠し事をしないという姿勢が徹底されていた。「イノッチがいなければ、あの会見は紛糾し乗り切れなかった。誠実な人柄にジュリー氏らは救われた」と同幹部は振り返る。どうやって、こうした誰からも信頼されるキャラクターは出来上がったのだろうか。

 東京・浅草生まれ。小学校に上がる頃に、品川区のマンモス団地に引っ越した。小中とも地元の公立。スポーツは万能だが、勉強は苦手という少年だった。小学校6年の時にジャニーズ事務所に入った。以降の井ノ原の歩みは“ウサギとカメ”の後者だった。

 学年が一緒で入所が1年早い香取慎吾は11歳でSMAP入り。やはり同学年で入所は1年後の松岡昌宏は遊び仲間だったが、歌手デビューでは大きく差をつけられた。松岡がTOKIOでデビューするのは17歳の時。井ノ原より入所が2年半後のKinKi Kids(現DOMOTO)の2人のバックで踊ることもあった。後輩にも追い越され焦りが募っても、やめることは考えなかった。20歳の誕生日まであと半年に迫った時、ようやくV6としてステージの前面に立つことができた。

 芸能活動だけではない。高校以降の学歴もまさにカメ人生そのものだった。入学した東海大付属望星高校は単位制で、授業は月火木金の4日。時間割も生徒自身で決めるユニークなシステムを採用していた。ドラマにはいろいろ出演していたが、通学する時間は十分、確保できた。だが、生来の勉強嫌い。3年間で必要な単位を取ることができず、高校生活は4年目に突入した。状況を変えようと、同校の通信制に移り卒業を目指したが、結局、中退した。

 高校をやめるかどうか迷っていた時、父と相談した。このままではすべてが中途半端になると心配した父は「今は仕事一本に絞れ」とアドバイスした。ただ、条件をひとつだけ付けた。「高校は卒業しろ。30歳ぐらいまでにはな」と──。

 父から与えられたミッションが井ノ原の頭の中にずっと残っていた。仕事は忙しくなる一方だったが、27歳の時、一念発起。科学技術学園高校の通信制に入学し直した。高卒の肩書がほしかったわけではない。父との約束を守るのもさることながら、急に勉強がしたくなったのだという。事務所のサイトでエッセーなども手がけ、さまざまな方向にアンテナを張り巡らすようになると、知識欲がぐっと、もたげてきたのだ。望星高校で取得した単位がそのまま生かされたので、1年で卒業することになったが、この時の経験は井ノ原を人間として大きく飛躍させたのだった。
(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...
「僕じゃ駄目かな」あすなろ白書のキムタクを想起、優三渾身のプロポーズ
 寅子(伊藤沙莉)は、弁護士として社会的な信用を得るためにお見合いをさせて欲しいと直言(岡部たかし)とはる(石田ゆり子)...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
事件はいつも「あの階段」で起こる! 岩ちゃん演じる花岡もう婚約
 晴れて弁護士になったが、女性であることを理由になかなか依頼をしてもらえない寅子(伊藤沙莉)。「女の幸せより大事なものか...
桧山珠美 2024-05-20 15:02 エンタメ
炎上芸人・粗品は松本人志にビビってない!キンプリへの暴言も計算済み?
 2018年にコンビとして『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)のチャンピオンとなり、2019年にピン芸人として『R-1ぐ...
堺屋大地 2024-05-15 06:00 エンタメ
「握手」の演出に伏線?寅子と花岡は友情の証、優三のそれとは真逆だった
 寅子(伊藤沙莉)の1年先を行く花岡(岩田剛典)は司法修習後の試験に合格。どうしても早く伝えたいと寅子に電話をしてきたの...
桧山珠美 2024-05-14 16:00 エンタメ
あぶ刑事ヒットならドラマ化も?柴田恭兵の“枯れた老人”は世を忍ぶ仮の姿
 先月までNHK-BSで放送していた「舟を編む~私、辞書つくります~」はなかなか素敵なドラマでした。  三浦しをん...
映画『広末涼子』(仮)の鳥羽氏は中盤キャラ?スキャンダル史まだ続く説
 昨年6月、人気シェフ・鳥羽周作氏とのダブル不倫が報じられ、無期限の謹慎処分を受けていた広末涼子。その後、夫だったキャン...
堺屋大地 2024-05-11 06:00 エンタメ
花岡(岩ちゃん)、寅子に匂わせプロポーズ!?でも黄色いバラの花言葉は…
 とうとう合格した寅子(伊藤沙莉)、先輩の久保田(小林涼子)、中山(安藤輪子)。そして寅子と合格者が3人も出たことで、廃...
桧山珠美 2024-05-10 15:30 エンタメ