若手俳優の登竜門“スーパー戦隊もの”が消滅する衝撃…芸能界には大きな損失
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】
先日、衝撃のニュースが飛び込んできた。テレビ朝日が、放送中の「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」を最後に「スーパー戦隊シリーズ」を終了するというのだ。
その理由として巷間漏れ伝わるのは少子化による関連玩具の売り上げ減少やイベント収益の減少。一方で制作費は高騰するばかりで採算が合わないということだ。
スーパー戦隊のヒーローは強い正義感と勇気を持って悪と戦うことが使命。子供たちはそんな勇敢で正義感あふれるヒーローに憧れ、自分もそうなりたいと思うのだ。つまり、同シリーズはただの子供向けではなく、その人格形成の一助として社会的な意義を担ってきたわけで、テレビ局もその意義を感じ、放送していると思っていた。
それがグッズの売り上げが落ちたからやめま~すというのはにべもない、身もふたもない……。それで思い出すのが9月に「週刊文春」が報じた「ゴジュウジャー」出演者の不倫問題だ。主人公・ゴジュウウルフのスーツアクターを務めていた浅井宏輔とゴジュウユニコーンに変身する一河角乃役の今森茉耶の不倫関係が話題になった。
スーツアクターと新人女優の不倫、そのまま深夜のドラマになりそうな話だが、不倫即退場のご時世で許されず、クレームが殺到したとか。不倫報道が終了する理由ではないだろうが、一つの要因になったのではと考えられなくもない。
■テレビの「育てる力」が失われる
1975年の「秘密戦隊ゴレンジャー」から始まった同シリーズ。今から考えるとあの頃はわかりやすかった。アカレンジャーが主人公で、アオがサブリーダー、ちょっと太めのキレンジャーはカレーライスが大好きで癒やしキャラ、最年少のミドレンジャーに紅一点のモモレンジャー……。それが現在は多様性か、2022年「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」で、キジブラザー/雉野つよしの担当カラーがピンクになり、以降、女性がイエローやブラックになることも。昭和脳の人間には、男がピンク!? と若干の違和感が。時代の移り変わりとはいえ。
戦隊ものは若手俳優の登竜門でもあり、歴史の中で多くの若手俳優を輩出してきた。「侍戦隊シンケンジャー」の松坂桃李、「烈車戦隊トッキュウジャー」の横浜流星、志尊淳、「天装戦隊ゴセイジャー」の千葉雄大、「海賊戦隊ゴーカイジャー」の山田裕貴、「獣電戦隊キョウリュウジャー」の竜星涼……というように。彼らはスーパー戦隊での経験を通じて、演技の基礎を学び、俳優としての土台を築き、いまでは映画界やドラマ界を担う俳優に育っている。その学びの場がなくなるのは芸能界にとって大きな損失。
戦隊ものがなくなるのは単なる子供番組の終焉ではなく、テレビが「育てる力」を失いつつあるということだ。
(桧山珠美/コラムニスト)
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