中学受験で慶応普通部に進んだ石坂浩二も圧倒された「幼稚舎」組の生意気さ 大学時代に石井ふく子の目にとまる

更新日:2025-12-19 17:03
投稿日:2025-12-19 17:00

【続続・あの有名人の意外な学歴】#5

 石坂浩二

  ◇  ◇  ◇

 戦後80年という節目を迎えた2025年。第一線で活躍する戦前生まれの芸能人もずいぶん減った。特に男優は数えるほどしかいなくなった。そうした中で今年も変わらず露出が目立ったのが石坂浩二(84)だ。NHK大河ドラマ「べらぼう」をはじめ、数々のドラマに主要な役で登場。さらには、リーグ優勝した阪神について多方面からコメントを求められた。

 石坂が熱狂的な阪神ファンになったきっかけは幼い頃に連れていかれた六大学野球の早慶戦。慶応大の主将だった別当薫選手のプレーに魅せられた。翌年、別当は阪神(当時、大阪タイガース)に入団。在籍したのは2年間だけだったが、石坂は以降も阪神を応援し続けた。

 銀座で生まれた石坂は祖母に手を引かれてたびたび浅草を訪れ、喜劇や落語を見たという。戦争が終わると、都内屈指の高級住宅地・大田区田園調布に移り住んだ。父はストアを展開する明治屋の取締役だった。小学校は地元の田園調布小。公立ながらレベルが高いことで知られ、区外からの越境入学も多かった。

 中学受験して慶応普通部に進んだ。石坂は自伝「翔ぶ夢、生きる力」(廣済堂出版)の中で慶応に行きだした頃のことを「幼稚舎から来る連中の生意気さに驚いた」と記している。「これは石坂さんの偽らざる気持ちでしょう」と話すのは慶応大の文系教授。小学校の幼稚舎から大学、大学院までずっと慶応で過ごした人物だ。

「幼稚舎から上がってきた生徒は自らを“内部”、中学や高校から入ってきた生徒を“外部”と呼ぶ。差別するつもりはないんですが、自分たちが慶応を体現しているという意識が強いんです」

 当初は不愉快な思いをしながらも、石坂はすぐに慶応の空気に溶け込んでいった。修学旅行で仲良くなった同級生たちと演劇部を創設した。慶応高校に上がると、ラジオのバイトを始めた。台本を書くだけでなく、DJも務めた。400円のギャラは交通費と食事代でその日のうちに消えた。

 慶応大法学部に内部進学すると、芥川比呂志らが立ち上げた新劇研究会に入部した。大学2年の時、芥川が明智小五郎を演じる舞台「黒蜥蜴」に端役で出演。楽屋に出入りするうちに、テレビプロデューサーの石井ふく子氏の目にとまり、人気ドラマ「七人の刑事」(TBS系)への出演が決まった。「慶応のプリンスは瞬く間にスターダムを駆け上がっていった」と証言するのは80代の元芸能記者だ。

「七人の刑事」の出演からまもなく、連ドラ「潮騒」の主演が舞い込んだ。ヒロインの加賀まりこと裸で抱き合うシーンもあった。のちに2人は舞台でも共演。ぐっと距離を縮め、実際につきあい始めた。「どちらもあっけらかんとしたもので、交際を隠すこともなかった」と元記者は振り返る。

 大河「太閤記」への出演も決まり、撮影の合間にキャンパスに顔を出すという状態に。結局、慶応を卒業するまでに6年かかった。

(田中幾太郎/ジャーナリスト)

エンタメ 新着一覧


【写真特集】ゆきぽよ、涙の水着謝罪&体重5キロ増の等身大パネル
【この写真の本文に戻る⇒】 ゆうちゃみの「オジサン転がし」を嫌悪するな。藤田ニコルも辿った一流ギャルタレントへの道
ゆうちゃみの「オジサン転がし」を嫌悪するな。藤田ニコルも辿った一流ギャルタレントへの道
 今をときめくギャルタレントである古川優奈こと「ゆうちゃみ」。『Popteen』モデルを経て『egg』の専属モデルを長年...
堺屋大地 2024-08-19 06:00 エンタメ
セレブとはなんぞや? 日本版「スカイキャッスル」の楽しみ方と“伸びしろだらけ”俳優
 本家韓国版「SKYキャッスル」に比べてチープ過ぎる、と酷評されている「スカイキャッスル」(テレビ朝日系)ですが、私は毎...
【写真特集】♥田辺誠一と大塚寧々の結婚発表会見♥(2005年撮影)
  【この写真の本文に戻る⇒】セレブとはなんぞや? 日本版「スカイキャッスル」の楽しみ方と“伸びしろだらけ”俳優
蠢く2組の恋模様。“台所公開プロポーズ”で攻める航一、漢・轟太一は堂々のカミングアウト
 直明(三山凌輝)と花江(森田望智)はそれぞれの同居に対する思いを語る。猪爪家を離れるのが寂しいと言う直明に対し、花江は...
桧山珠美 2024-08-17 06:00 エンタメ
論破王ひろゆき氏ばりに反論!直明の婚約者、放送終了間際でも爪痕を残す
 結婚しても同居を続けたいと主張する直明(三山凌輝)と、同居に反対する花江(森田望智)の対立は続いていた。どちらの気持ち...
桧山珠美 2024-08-15 16:20 エンタメ
再び東京編で“嫁姑”。花江はサザエさん、寅子はこんもりマダムヘアーに
 寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)は、互いの思いを確かめ合う。  そして昭和30年、東京に戻ることになった寅子は...
桧山珠美 2024-08-12 17:00 エンタメ
中丸雄一はいつまで地下に潜む? “アパ丸君のざわめく時間”を描く日は来るのか
 いやあ、驚きました。人は見かけに寄らないというか。KUT-TUNの中丸雄一(40)のことです。  女子大生とのア...
【写真特集】ぎらついていた時代のKAT-TUNメンバーたち
  【この写真の本文に戻る⇒】中丸雄一はいつまで地下に潜む? “アパ丸君のざわめく時間”を描く日は来るのか
朝ドラ史上に残るラブシーン。インテリはこれだからー!視聴者をやきもきさせた深夜の本庁トーク
 優未(竹澤咲子)から、思わぬところに優三(仲野太賀)の手紙が入っていたことを教えられた寅子(伊藤沙莉)。寅子のことばか...
桧山珠美 2024-08-10 08:58 エンタメ
寅子と航一どうなる? 花江訪問、涼子忠告、優三ラブレターの“一押し”3連チャン
 予想していなかった人物の突然の訪問に、喜びを爆発させる寅子(伊藤沙莉)。優未(竹澤咲子)と稲(田中真弓)も加わり、4人...
桧山珠美 2024-08-08 17:00 エンタメ
フワちゃん炎上で再評価? 竹内涼真ら「誤爆」で好感度が上がった芸能人
 タレントのフワちゃん(30)がお笑い芸人のやす子(25)に向けて放った暴言が大きな騒動を巻き起こしている。8月4日、X...
「じゅん散歩」のロケに突然、朝ドラ女優が登場! しかも黒髪から“ファンキーヘア”になっていた
 リモートワークの日は、羽鳥さんのモーニングショーからそのまま「じゅん散歩」(月〜金曜9時55分、テレビ朝日系)を見るの...
【写真特集】懐かしい!16年前の渡辺梓さん
  【この写真の本文に戻る⇒】「じゅん散歩」のロケに突然、朝ドラ女優が登場! しかも黒髪から“ファンキーヘア”になって...
「クソばばあ」に「クソ小僧」、涼子のリアクションにも注目
 寅子(伊藤沙莉)は、戦争によって航一(岡田将生)が背負った苦しみに寄り添いたいと思う。  一方、寅子から「よりど...
桧山珠美 2024-08-08 16:37 エンタメ
早くも“NHK御用達俳優”の片鱗が?「虎に翼」出演の岡部ひろきはそんじょそこらの2世俳優とは違う
 1日放送「ダウンタウンDX」(日本テレビ系・読売テレビ制作)に故・西城秀樹さんの息子・木本慎之介(20)が出ていました...