進化するお供え花のこれから
「こちらのお店は何が一番売れますか?」と伺うと、恐らく多くのお花屋さんは「仏花」とお応えになると思います。
「仏花」はお花屋さんにとっては普遍のベストセラー商品。毎日この仏花を求めてさまざまなお客様がいらっしゃいます。季節の変わり目は亡くなるペットも多いようで、毎日のように泣きながら亡くしたペットに手向けるお花をお買い求めにご来店する飼い主さんがいらっしゃいます。
大概の方は止まらない涙を流しながら、太っているにもほどがある「さぶ店長」のマシュマロのように柔らかい肢体に触り、さぶ店長から発射するデブビームに慰められているようでございます。
店長!ナイス接客!デブでよかった!!
死者に花を手向けるという行為は、恐らく人間だけの特別な行為なのだと思われます。ご存知の方も割と多いお話で、最も古い手向けの花の痕跡は、イラクのシャニダール遺跡にて、大量に発掘されたネアンデルタール人のご遺体のそばで検出した、タチアオイなどの様々な種類のお花ではないかといわれております。
もちろん遺跡でございますから花こそ存在しませんが、洞窟の奥に手厚く埋葬された幼児の遺体の付近からもたくさんの種類の花粉が検出され、世界中が旧人類のこの「そうだったかもしれない」行為に驚いたと言われております。
現代の日本でさまざまなものが合理化されていく中であっても、葬儀の「装飾花」に関しては年々進化しているような気が致します。
白木の祭壇の代わりに多くの花を使う「花祭壇」や、プリザーブドフラワーや造花で作られたお供え花の種類の豊富さは目をみはるものがございます。
命の消えた物体を「ケガレ」と思う一方で、愛する人、愛する動物を亡くした時に、美しい花で最期は旅立たせてあげたいと思う人の優しさは、人間が旧人類と呼ばれていた古代より持ち合わせた、DNAのなせる行為なのかもしれません。
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