14歳の平手が欅坂46お見立て会で語ったアイドルとしての決意

こじらぶ ライター
更新日:2020-02-05 00:29
投稿日:2020-02-04 17:05

先輩グループ「乃木坂46」生駒里奈の重圧

 この連続センターとそれに対する叩きへの苦しみについては、先輩グループの乃木坂46・生駒里奈(24=18年5月、同グループを卒業)が、12年2月のデビューから5作連続センターを務めた後、13年4月に6thシングルで白石麻衣(27)へセンターが交代される発表を受け、ステージ上で気絶し天を仰ぐようにバタンと倒れ込んだことからも分かる。

 生駒本人も後に度々述懐しているが、センターから降ろされたショックのためではない。重圧からの解放で脱力したのだ。後に彼女は心からの笑顔でスキップをして「やったー!」と喜んでいたことからも強がりではなく、本当にセンターの苦しみから解き放たれた喜びだったことが分かる。

 生駒が5作連続センターを務めたのが1年あまり。平手は8作連続センターで4年半。乃木坂46と、その成功を受けて妹分としてデビューした欅坂46の状況が同じわけではないので単純に比較はできないが、それでも4年半はひとりの少女が全てを抱え込むにはあまりにも長い時間だった。

 握手会の具体的な出来事こそ彼女は口にすることはなかったが、ネット上のものを含めた叩きについてはテレビや雑誌でもたびたび苦しめられてきたことを明かしている。

「『僕は嫌だ』はもう私の心の叫びかな」

 17年4月のNHK「SONGS」では、当時4作連続センターに選ばれていた彼女が、ずっと自信がないままセンターに選ばれ続けていることに葛藤し、パフォーマンス含め自分の全部が嫌だ、センターはできない、欅坂46を辞めたいと思ったことがあると語っている。

 それに続けて「(不協和音のセリフの)『僕は嫌だ』はもう私の心の叫びかなって思ってますね。(ずっと)センターっていうのはあるし。やっぱりいろいろファンの人からも言われたり。それはやっぱり傷つくし」と素直にその辛さを述べた上で、「でもそれには負けていられないので、だったらもうやってやるって思ってます」とまだ力を振り絞り笑顔で前を向こうとする彼女がいた。

 残念ながら、この放送からしばらくして握手会襲撃事件も起き、それ以降握手会に立てなくなったり、ストーカー・つきまとい行為にも遭い、彼女をさらなる闇に突き落とすことになる。これらのことはファンにとっても本人にとってもとても辛い出来事であまり触れるべきではないと当然思う。

 しかし彼女がその後、精神的に不安定になり思うようなパフォーマンスができなかったり、握手会などのイベントを欠席したりするようになったことをただ「やる気がない」、「サボり」、「センターで優遇され天狗になっている」と揶揄されたり、カメラが怖くうまく笑えなかったり俯いていたりすると「無愛想」、「生意気」などと叩かれることが非常に多い。筆者は、そのような人々に事情を知って欲しいという思いと、いまだ女性アイドルが危険な目に晒されることが続いており事件を風化させてはならないと願っており、ご理解いただけたらと思う。

アイドルの先輩TOKIOに尋ねた“ネットバッシング”問題

 またネットの叩きについて話を戻すと、18年9月放送の「TOKIOカケル」(フジテレビ系)では芸能界、アイドルの先輩であるTOKIOに対し、平手は「(昔の芸能界は)今の世代より自由でしたか?」と尋ねている。加えて、「年齢の上の方とお話すると、『今の子たちって大変そうだね』とか『窮屈そうだね』(と言われる)」、「ネットが、結構、今の子たちにはキツいというか……それこそ“いじめ”とかも出てきちゃう」と吐露し、暗にネット上の彼女に向けられた叩きを“いじめ”のように感じているような発言もあった。

 さらに「Numéro TOKYO」(20年3月号)では、今年1月23日にあった脱退発表の数週間前に行われたインタビューにおいて「たぶん、いろいろ言われているんだろうなと思うんですけど。そこは気にせず……と言っても気にしちゃう。性格的には気になっちゃうタイプです。さすがにエゴサとかはしませんが、スマホを開くとパッと自分の名前が出てきたりするので。それを詳しく読んだりはしないけど、なんとなく、内容はわかるから」とデビューから4年半経った今でもネット上の叩きに苦しんでいる胸の内を明かしている。

 この叩きは、脱退発表を受けての悪意ある報道により現在もなお加速している。その身を削って欅坂46をトップアイドルに押し上げた功労者にたいしての報いとしてはあまりにも酷すぎるほどに。

 まだ18歳の女の子に、大人が事実無根の話を作り上げたり、小さな事実を歪曲して大ごとに仕立て上げ、ネット上の叩きを煽る。これをいじめといわずしてなんといおうか。

 握手襲撃事件やストーカーの件もあるが、このネット上の叩きという言葉の刃こそ彼女を慢性的に苦しめ続けてきたものだ。しかし、彼女は欅坂46をさらなる高みへ押し上げるために、良い作品をファンに届けるために、懸命に闘い続けたのである。

 次回以降も、数々の困難と闘いながらも、誰よりもグループを想い奮闘した“欅坂46・平手友梨奈”の姿をお届けする。

※記録と記憶に残るデビュー曲「サイレントマジョリティー」MV

こじらぶ
記事一覧
ライター
STARTO ENTERTAINMENT、秋元康系女性アイドル、ローカル、地下アイドル等数々の現場を経験。Xでもご意見を募集しております。

エンタメ 新着一覧


ゴンベエ(宇野祥平)の素性が明らかに…上方新喜劇ばりの人情劇がグー
 ツヤ(水川あさみ)が亡くなり、スズ子(趣里)は梅吉(柳葉敏郎)と今後のはな湯をどのようにしていくか相談する。  ...
桧山珠美 2023-11-24 16:11 エンタメ
母ツヤ(水川あさみ)笑顔の最期、「ナレ死」に救われた
 大阪に戻ってきたスズ子(趣里)は病床のツヤ(水川あさみ)と再会する。ツヤの病状のことを受け止めきれないスズ子は、梅吉(...
桧山珠美 2023-11-23 16:05 エンタメ
六郎役・黒崎煌代の将来性、母ツヤとやり取りに泣けて泣けて笑える
 六郎(黒崎煌代)の出征の日がせまり、六郎は頭を丸め恥ずかしそうにしている。相変わらず体調が悪いツヤ(水川あさみ)は専門...
桧山珠美 2023-11-21 17:30 エンタメ
「下剋上球児」で“令和のキムタク”になりそうなイケメン俳優は?
 2019年のドラマ、「3年A組-今から皆さんは、人質です」(日本テレビ系)を覚えていますか?  菅田将暉が教師役...
「らんまん」のデジャヴ? ヤバ藤化するダンサーの中山、秋山逃げて~
 内緒の話があると松永(新納慎也)から呼び出されたスズ子(趣里)は、梅丸のライバルである日宝に一緒に移籍しないかと誘われ...
桧山珠美 2023-11-14 16:15 エンタメ
木下優樹菜から迸るガチヤンキー魂!前言撤回、TV再登場するタチの悪さ
木下優樹菜様(元タレント・35歳)  やっぱりユッキーナ(木下優樹菜)様のヤンキー魂には惚れ惚れしてしまいます。 ...
堺屋大地 2023-11-14 06:00 エンタメ
市川染五郎は眉毛、堅あげポテト、ラ・マンチャの男なくしては語れない
 先日、歌舞伎で「ルパン三世」をやることが報じられました。題して、新作歌舞伎「流白浪燦星(ルパン三世)」。  ルパ...
上原多香子は不倫を繰り返す“恋愛単発ドラマ”の女王!続編不要体質の業
上原多香子様(女優、美容家・40歳)  元SPEEDの上原多香子様は、あまり役者業のイメージはないと思いますが、す...
堺屋大地 2023-11-14 16:23 エンタメ
スズ子覚醒!茨田りつ子(菊地凛子)と渋谷のり子の表情がオーバラップ
 歌うコツを掴んだスズ子(趣里)は、羽鳥善一(草彅剛)とのレッスンを続け、その歌声はぐんと熱を帯びてきていた。  ...
桧山珠美 2023-11-10 14:30 エンタメ
“おぼこ娘2人”の初々しい恋バナ! つよぽん演じる羽鳥は「まさに笑う鬼」
 スズ子(趣里)と羽鳥善一(草彅剛)の厳しいレッスンは相変わらず続いている。しかし、羽鳥はスズ子の歌に相変わらず満足しな...
桧山珠美 2023-11-09 15:46 エンタメ
BLACKPINKの再契約なるか?「7年目のジンクス」結末に4つのシナリオ
 世界的なK‐POPブームの昨今。「コクハク」読者の中にも、K-POPにハマっている方も多いのではないでしょうか? ...
2023-11-09 06:00 エンタメ
「マイホームヒーロー」を嗜む!なにわ男子高橋“俳優武者修業”に高好感度
 すっかり忘れていました。佐々木蔵之介(55)の存在を。最後の独身大物俳優などと言われ、過去には、小野真弓や丸山桂里奈な...
大和玲子(蒼井優)の戒名に「礼」と「優」、位牌の細部にまで抜かりなし
 スズ子(趣里)たちは、大和礼子(蒼井優)が出産後に病院で亡くなったと知らされる。スズ子はお別れの会で、大和が梅丸少女歌...
桧山珠美 2023-11-03 14:30 エンタメ
スズ子のナレ出世、股野のナレ求婚…感動のシーンを描いて欲しかった!
 昭和12年、スズ子(趣里)が香川から戻ってきて3年。梅丸少女歌劇団は、秋山(伊原六花)のタップダンスとスズ子の歌を二本...
桧山珠美 2023-11-01 15:37 エンタメ
SMILE-UP.(旧ジャニ)俳優部の演技&将来性、飛躍の片鱗見せたの誰?
 嵐の二宮和也(40)がSMILE-UP.(旧ジャニーズ)からの独立を発表しました。  中丸雄一、山田涼介、菊池風...
平手友梨奈に平野紫耀ら事務所移籍組が躍動!俳優と歌手の二刀流はあるか
 平手友梨奈(22)が出演するドラマ「うちの弁護士は手がかかる」(フジテレビ系)が好評を博している。  平均世帯視...
こじらぶ 2023-10-28 06:00 エンタメ