手術や入院だけじゃない!傷病手当金は働く人のピンチを救う

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-10-09 17:33
投稿日:2020-09-13 06:00
 毎月の給与明細を見ると、ゴッソリ引かれている健康保険料。正社員の人はもちろん、夫の扶養を外れたり、パート勤務にも社会保険が適用されるようになったり……。で、急に「厚生年金+健康保険+雇用保険」の3点セットが発生した人は手取りが少なくてガッカリするかも知れません。
 しかし、企業で加入する健康保険には「傷病手当金」というとても手厚いケアがついているのです。

4枚1セットの書類だけ! 傷病手当金の申請はとても簡単

 入院や自宅療養で仕事に行けない! こんなとき、会社が加入している健保組合に「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出すれば傷病手当金が支給されます。請求書は4枚1セットになっていて、本人が書くページ2枚、事業主が書くページ、担当医師が書くページがあります。

 事業主というのはあなたの勤務する企業ですが、これは直属の上司ではなく、総務課など社会労務を担当する部署に書いてもらいます。傷病手当金を請求したからと言って、新たに会社に費用請求が行くようなことはないので、安心して申し込んでください。

 申請も会社の総務課などがやってくれますが、健康保険傷病手当金支給申請書の様式は、全国健康保険協会のホームページでダウンロードすることもできます。また、傷病手当金の時効は2年なので、受給できたのに知らずに退職してしまった人も、後から請求が可能です。当時勤めていた会社が所属している健保協会に申請します。

 医師に書いてもらうページは「療養担当者記入欄」と言い、病気やケガにより仕事ができない状態かどうかを確認するために必要です。会社を続けて休みはじめた最初の3日間は「待期期間」と言い、4日目からが支給の対象です。いつまで支給されるかと言うと、一つの傷病につき最長1年6カ月です。健康不安を抱えて働いている人も、18カ月は療養に専念できると思うと安心できるのではないでしょうか。

こんな場合は? 傷病手当金が支給されるさまざまなケース 

 でも、いつどんな病気やケガをするのかは誰にもわかりませんよね。「こんな場合も支給されるの?」といういくつかの疑問について予習しておきましょう。

支給されるのは手術や入院の時だけ?

 療養担当者記入欄で勤務できないことが確認できれば、自宅療養でも支給されます。適応障害や鬱病などの精神的な疾患でも、医師の証明(申請書の療養担当者記入欄)さえあれば認められます。

 ハラスメントに遭って精神的に患い、出社できなくなった人も受給しています。健康保険を支払っていた人の当然の権利なのです。

受給後に復職してまた休むことになった

 たとえば乳がんの手術に成功して、いったん復職。その後、放射線治療のために再び入院する、というような場合がそうです。一つの病名について1年6カ月を限度に支給されますから、最初の受給開始日から18カ月のあいだは再び受給できます。

 2度目の入院が別の病名なら、2度目の休職が始まった日から新たに1年6カ月をカウントします。あくまでも1病名につき1年6カ月なのです。

療養&受給期間中にそのまま退職した

 逆に、残念なことですが、復職できるまでに回復しない人もいます。こういったケースでも、1年6カ月までは傷病手当金が支給されます。

通勤途中に交通事故に遭ってケガをした

 傷病手当金は業務以外の病気やケガ(私傷病)に対して補償するものです。業務災害や通勤災害については傷病手当金ではなく、「労働者災害補償保険」(労災保険)が適用されます。労災保険は会社の住所地の労働基準監督署が担当します。

国民健康保険の人は傷病手当金の代わりになる備えを考えて

 働く人にとって、傷病手当金はとても頼れる命綱なんですね。急に働けなくなったときには傷病手当金があることをぜひ覚えておいてください。

 一方、専業主婦の人、働いていても国民健康保険の人は、病気に備えて何らかの備えを考えておくことが必要だと思います。医療保険や生命保険の入院特約、所得補償保険や収入保障保険などを活用するといいでしょう。病気の快癒には精神的なストレスが少ないことがとても重要です。お金の心配を少しでも減らして療養に専念したいですよね。

 医療保険については、次回に続きます。

神田つばき
記事一覧
女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

ライフスタイル 新着一覧


今年は自信をつけたい!残念な目標を上手な目標に変えるテク
 新しい年がスタートしました。早速ですがみなさん、今年の目標を決めましたか? まだなら、自信がつくような上手な目標を立て...
夜も更けてそろそろ眠くなってきた 2023.1.6(金)
 終わらせたい仕事があって、帰宅時間が遅くなった夜。冷えた空気の中、コートの襟を立てて帰り路を急ぐ。夜も更けてそろそろ眠...
【2022年アツかった記事】イオンのど真ん中にフェムテック専門店!「性」商品はタブーなんかじゃない
(2022年8月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ※  このところ、フェ...
【2022年アツかった記事】なるほど納得!「若さ」についてイヤミを言う人の残念な正体
【愛のスナック どろんぱ】 (2022年3月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)  ※  ※  ...
お腹も“たまたま”も出し惜しみなし! 解放感を満喫にゃん♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
デート中にやらかした…赤っ恥「トイレ失敗談」を告白します
 人間は、きっと誰でも人には言えない恥ずかしい「やらかし失敗談」を持っているはず。今回は数あるシチュエーションの中でも、...
花屋がお宅訪問で実感!「お金持ちになるための12の約束事」
 あけましておめでとうございます。  2022年が良い年だった方もそうでなかった方にも、2023年という新しい年が...
作家・重松清さんの愛情、時々イジリまじりのメッセージ
「日めくりコクハク」でおなじみ、写真家・Koji Takano(髙野宏治)さんの個展「めくりゆく日々」が1月7日~15日...
2023-01-04 06:00 ライフスタイル
この「動きたい」気持ちに素直になりたい 2023.1.4(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
「今の仕事、辞めます!」女性が退職を決める8つのきっかけ
 仕事をしていれば誰だって、一度や二度は「辞めたい」と思ったことがあるでしょう。一時の感情で収まればいいけれど、中には辞...
【2022年アツかった記事】何コレー! 天然オブジェの“最高峰”「旅人の木」は見たら即買い!?
【笑う花には福来たる】 (2022年10月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ...
何を感じ、どう動くかは自分次第 2023.1.3(火)
 2023年、自分もこうありたい。  銀座6丁目の交詢ビルにあるバーニーズニューヨーク銀座本店前、心躍るウィンドウ...
凍り付く空気の向こうに… 2023.1.2(月)
 雪化粧の富士山が見えた!!  空に向かって緩やかにそびえたつ、このシンメトリーな形に心が洗われる気がするのは日本...
【2022年アツかった記事】ステージ衣装用の真っ赤なランジェリーで“魔法”にかかった
【「イキてく強さ」】 (2022年11月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)   ※  ※  ※...
【2022年アツかった記事】“にゃんたま”御開帳はうれしいけど…スプレー行為にご用心
【きょうのωにゃんたま】 (2022年2月に公開したものを一部変更し、再掲した記事となります)  ※  ※  ※...
あけおめ! 一休さんがこんなこと言ってたよ 2023.1.1(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...