しかし、企業で加入する健康保険には「傷病手当金」というとても手厚いケアがついているのです。
4枚1セットの書類だけ! 傷病手当金の申請はとても簡単
入院や自宅療養で仕事に行けない! こんなとき、会社が加入している健保組合に「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出すれば傷病手当金が支給されます。請求書は4枚1セットになっていて、本人が書くページ2枚、事業主が書くページ、担当医師が書くページがあります。
事業主というのはあなたの勤務する企業ですが、これは直属の上司ではなく、総務課など社会労務を担当する部署に書いてもらいます。傷病手当金を請求したからと言って、新たに会社に費用請求が行くようなことはないので、安心して申し込んでください。
申請も会社の総務課などがやってくれますが、健康保険傷病手当金支給申請書の様式は、全国健康保険協会のホームページでダウンロードすることもできます。また、傷病手当金の時効は2年なので、受給できたのに知らずに退職してしまった人も、後から請求が可能です。当時勤めていた会社が所属している健保協会に申請します。
医師に書いてもらうページは「療養担当者記入欄」と言い、病気やケガにより仕事ができない状態かどうかを確認するために必要です。会社を続けて休みはじめた最初の3日間は「待期期間」と言い、4日目からが支給の対象です。いつまで支給されるかと言うと、一つの傷病につき最長1年6カ月です。健康不安を抱えて働いている人も、18カ月は療養に専念できると思うと安心できるのではないでしょうか。
こんな場合は? 傷病手当金が支給されるさまざまなケース
でも、いつどんな病気やケガをするのかは誰にもわかりませんよね。「こんな場合も支給されるの?」といういくつかの疑問について予習しておきましょう。
支給されるのは手術や入院の時だけ?
療養担当者記入欄で勤務できないことが確認できれば、自宅療養でも支給されます。適応障害や鬱病などの精神的な疾患でも、医師の証明(申請書の療養担当者記入欄)さえあれば認められます。
ハラスメントに遭って精神的に患い、出社できなくなった人も受給しています。健康保険を支払っていた人の当然の権利なのです。
受給後に復職してまた休むことになった
たとえば乳がんの手術に成功して、いったん復職。その後、放射線治療のために再び入院する、というような場合がそうです。一つの病名について1年6カ月を限度に支給されますから、最初の受給開始日から18カ月のあいだは再び受給できます。
2度目の入院が別の病名なら、2度目の休職が始まった日から新たに1年6カ月をカウントします。あくまでも1病名につき1年6カ月なのです。
療養&受給期間中にそのまま退職した
逆に、残念なことですが、復職できるまでに回復しない人もいます。こういったケースでも、1年6カ月までは傷病手当金が支給されます。
通勤途中に交通事故に遭ってケガをした
傷病手当金は業務以外の病気やケガ(私傷病)に対して補償するものです。業務災害や通勤災害については傷病手当金ではなく、「労働者災害補償保険」(労災保険)が適用されます。労災保険は会社の住所地の労働基準監督署が担当します。
国民健康保険の人は傷病手当金の代わりになる備えを考えて
働く人にとって、傷病手当金はとても頼れる命綱なんですね。急に働けなくなったときには傷病手当金があることをぜひ覚えておいてください。
一方、専業主婦の人、働いていても国民健康保険の人は、病気に備えて何らかの備えを考えておくことが必要だと思います。医療保険や生命保険の入院特約、所得補償保険や収入保障保険などを活用するといいでしょう。病気の快癒には精神的なストレスが少ないことがとても重要です。お金の心配を少しでも減らして療養に専念したいですよね。
医療保険については、次回に続きます。
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