食べたいけど痩せたい【専門家監修】甘いもの好きに捧ぐギムネマの効果

コクハク編集部
更新日:2024-03-08 06:00
投稿日:2024-03-08 06:00
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、ちょっとした有名人。でもって、タヌキか妖怪の噂も囁かれるなか、健康に関する知識はズバ抜けている――。
 そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。

1. 最近彼からおなかの肉を摘まれたけれど、甘いものがやめられない…

 本日は、ひとみさん(38歳女性/仮名)からこんなご相談をいただきました。

「聞いてください。この前彼氏におなかの肉をつかまれて「太ったな」って言われたんです。

 でも、私甘いものが大好きでやめられなくて、痩せなきゃという気持ちと甘いものをやめられない嫌悪感で苦しいんです…」

 ひとみさんは、暗い顔で思いつめたように話します。

「私も甘いものは大好きよ。大好きなものを断つのはつらいし、ストレスがたまるわよね」

「そうなんです。それにプラスして痩せないといけないというストレスもかかって、気持ちがどんどん落ちてしまって。自分の意志の弱さにもまた落ち込んで嫌になって、自分のことが嫌いになりそうです」

 ひとみさんは、ついに泣き出してしまいました。

 これは放っておけません!

2. 食べてしまったあとは、後悔せず血糖値のコントロール!

「ダイエットはストレスが大敵だから、甘いものを楽しみつつ自分に合った方法で頑張ることが成功への近道よ!」

「具体的にはどうすればいいですか?」

「ズバリ! 食後の血糖値コントロールよ!」

「なぜ、血糖値のコントロールがダイエットにいいんですか?」

 ひとみさんは不思議そうに尋ねます。

「糖質を摂取して血糖値が急激に大きく上がると、血糖値を下げるためにインスリンがたくさん分泌されるの。

 インスリンは糖を脂肪に変換することで血糖値を下げるから、インスリンが多く分泌されるとそれだけ脂肪に変わりやすくなるのよ」

「なるほど。だから血糖値の急上昇によって太りやすくなるんですね!」

血糖値をコントロールするには?

 ひとみさんは、納得した顔で大きく頷きます。

「そう。だからたくさん甘いものを食べてしまったとしても、血糖値のコントロールさえできれば太りにくくなるわ」

「血糖値のコントロールはどのようにすればいいですか?」

「血糖値をコントロールするには、糖質を摂る前に野菜やきのこなどで食物繊維をたくさん摂取する、食後に運動する、ギムネマなどのハーブを取り入れるといった方法があるわよ」

「どれもそれほど難しい方法ではないので、実践できそうです! でもギムネマって聞いたことがないのですが、どんなものなんですか?」

「今から説明するわね!」

3. ギムネマって?

 ギムネマとはどのようなハーブなのかを解説します。

3-1. ギムネマとは?

 ギムネマは正式には「ギムネマ・シルベスタ」という名前のハーブで、インドや東南アジアなどの亜熱帯地域に自生しています。

 原産国であるインドでは、糖尿病や利尿、健胃、強壮に効果があるハーブとして愛用され、天然物により病気の治療を行う伝承医学に用いられてきました。

 その歴史はなんと約2000年にも及びます。

 現在では、日本でもギムネマを主成分としたサプリメントが多く市販されており、ドラッグストアなどで購入可能です。

3-2. 効果効能

 ギムネマには、

●食後の血糖値の上昇を抑える効果
●肥満・虫歯・便秘の予防効果

 があるとされています。

<食後の血糖値の上昇を抑える効果>:ギムネマには、小腸で行われる糖の吸収を抑える働きがあるため、食後の血糖値上昇を抑制する効果が期待できます。

<肥満の予防効果>:糖の吸収を抑制する作用により、過剰摂取された糖が中性脂肪としてからだに蓄積されにくくなるため、肥満の予防効果が期待できます。また、余分な糖を体外へ排出する役割も果たします。

<虫歯の予防効果>:虫歯は、酵素が砂糖からグルカンを合成し、歯の表面のエナメルやリンを溶かすことが原因です。ギムネマには虫歯菌によるグルカンの合成を抑制する働きがあるため、虫歯を予防する効果が期待できます。

<便秘の予防効果>:ギムネマによって糖の吸収が抑制された際、吸収されなかった未消化物が不溶性食物繊維と類似の働きをします。そのため、ギムネマには便の量を増やし便秘を予防・改善する効果が期待できるのです。

3-3. 飲み方

 サプリメントでギムネマを摂取する際、とくに決まったタイミングはないため好きなタイミングで飲んで問題ありません。

 ただ、食後の血糖値の上昇を抑制したいのであれば、食事の前に飲むほうがいいでしょう。

 また、ギムネマを摂取する際の飲み物は水またはぬるま湯にしましょう。

 お茶やコーヒーなど別の飲み物で摂取すると成分が変質し、効果が得られない可能性があります。

3-4. 注意点

 ギムネマは鉄分の吸収を阻害する作用があるため、貧血ぎみの人や生理中、妊娠中の人にはおすすめできません。

 加えて、血糖値の上昇を抑制する作用があるため、インスリン注射などの血糖値を下げる薬を使用している人や低血糖がある人は、血糖値が下がりすぎて吐き 気やめまいを起こす恐れがあります。

 また、サプリメントを摂取したあと、人によっては腹痛や下痢、胃の痛み、おなかの張りを感じるケースもあります。

 体調不良を感じたらサプリメントの摂取を中止し、医療機関を受診しましょう。

4. 甘いものが好きな人はギムネマで血糖値コントロール!

「甘いものを食べたときは、とくにギムネマや運動などで食後の血糖値をコントロールすることを意識してみてね」

「ありがとうございます! 私、ダイエットを頑張れそうです!」

「また気になることがあったら、いつでもサロンへいらっしゃい」

 笑顔で帰って行くひとみさんを、えりのボスは微笑みながら見送るのでした。

★サロン「コクハク」のオーナー えりの

 顔と口調は若いものの、年齢不詳。タヌキか妖怪の噂も囁かれる謎めいた主人だが、ココロやカラダ、健康に関する知識はズバ抜けており、何気にハイスペック。ムスメ時代に苦労してるため、自分より“後輩”の女にはしあわせになって欲しいと願っている。愛称は、えりのボス。

(漫画/腹肉ツヤ子

  ◇  ◇  ◇

<この記事の監修者>

医療・健康ジャーナリスト 後藤 典子(ごとう・のりこ)

 一般社団法人日本サプリメント協会理事長、賢く選ぶ食と健康プロジェクト統括。同志社大学文学部を卒業後、編集プロダクションを経て、医療・健康ジャーナリストに。「ヘルスデザイン」をテーマに掲げ、健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス- Youtubeチャンネルでは、健康リテラシー向上のための情報を発信している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」の統括も行う。

Sフードプロジェクト

あんしん漢方(オンラインAI漢方)

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ビューティー 新着一覧


30代でもう更年期?【薬剤師監修】原因不明のイライラモヤモヤ…「プレ更年期」の症状と軽減方法
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
聞こえづらさの“元凶”はあのイヤホン!? 【薬剤師監修】老化以外に考えられる意外な原因の正体
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代の“愛されボディ”ってなに? 自分をもっと好きになるための美習慣&エクササイズ
 40代になると、どうしても筋肉量が落ちてきたり、たるみが気になったりと20代と同じにはいきません。  でも、40代な...
40代の“好印象デート”はスニーカーorヒール、どっちが正解? 賢い選び方と注意点
 40代女性がデートをする時、スニーカーとヒール、どちらが男性から好印象を抱いてもらえるのでしょうか?「デートといえばヒ...
あー、「髪のうねり」で見た目も不満も爆発寸前! 薬剤師が紹介する毎日の簡単ヘアケア&セットテク
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
毛剃りといえば貝印!VIO専用電動シェーバー2種を徹底比較。本田真凜のように肌の上を美しく滑るのか?
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
JK界隈で流行りの「seju顔」とは何ぞ? アラフォーでも“違和感ゼロ”なメイクのコツ
 seju顔とは、インフルエンサーやタレント、モデルなどが所属する芸能事務所「Seju」が由来になっている言葉。元テレビ...
キスに集中できん!彼氏の塩対応はいやーな口臭のせい?【薬剤師監修】口の臭いの原因・セルフチェック・対策
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
老け疲れ顔の原因No.1目の下のクマ! 種類別、ヒアル顔回避の治療法は?【目元の美容専門医師が解説】
 東京・赤坂にある「イートップクリニック」院長の増田えりかと申します。この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、...
【美容のウソ・ホント】ほうれい線がマッサージで消えるって本当? 医師3人の答えは/専門家監修
 SNSやYouTubeにさまざまな情報が溢れている昨今。美容について発信するアカウントも多く存在し、なかには同じテーマ...
更年期のセックス「痛いから演技しちゃう…」【薬剤師監修】性交痛対処のイロハ&おすすめの漢方薬
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
運動不足を5つの工夫で解消! 忙しいワーママの美BODYゲット大作戦
 体を動かすのが好きな人やダイエットをしたい人、健康になりたい人にとって、運動はとても大切ですよね。でも「忙しいワーママ...
「目が死んでる」アラフォー女性の“大損”アイメイク。20代女性が僭越ながら再現してみました
「目は口ほどに物を言う」ということわざの通り、目元が周りに与える印象は大きいですよね。  ですが、アイメイクのせい...
食欲の秋ですが! ダイエット失敗談“あるある”6連発、そりゃ痩せないよね…
「ダイエットをしても、いつも必ず失敗してしまう」と、痩せられないことに悩む人は多いようです。なぜ、みんななかなか痩せられ...
歳は取るもの、尿はちょい漏れるもの!? 40代向け尿漏れ対策に取り入れたいセルフケア【薬剤師解説】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...