官能小説を書く女性作家が分析してみました。
官能小説を書きたい女性は確実に増えている
性自認が女性の人のみ応募できる新潮社の「女による女のためのR-18文学賞」は24回目を迎え、2023年度の応募総数は798編。
性愛表現を描きたい女性が、それなりの数いることがわかります。
恋愛小説や歴史小説、またはBL(ボーイズラブ)など、他にも色々なジャンルがあるにもかかわらず、あえて官能的な小説を書きたいと志望する女性たち。
その数は、筆者がデビューした四半世紀前に比べ、明らかに増加しています。
私の「体験」を残したい!
女性が官能小説を書く目的の一つが、「私のいやらしい体験を小説にしたい(あるいはしてほしい)!」という欲求です。ダブル不倫体験や、推しに貢ぐために風俗に堕ちた体験など、「とてもドラマティックな経験をしたので物語にして残したい」と考えるのです。
今はオンライン投稿サイトもあり、作品のアクセス数や感想コメントも得られるので、やりがいを感じるのでしょう。
興味深いのは、SFなどと違い、官能小説は自分自身の体験を書きたいところから始まる人が多いようです。
私の「秘密」を告白したい!
禁じられた恋や女性用風俗利用などの、誰にも言えない秘密を、そっとどこかに打ち明けておきたい。それが官能小説を書き始めるきっかけになった人は少なくありません。
実体験がほとんどの私小説だとしても、話として面白ければ、もちろん問題はありません。
書いた本人も、ずっと胸にしまっておいた秘密を明かせるので、スッとするようです(個人が特定されないよう、多少設定をボカしたほうがいいとは思いますが)。
私の「妄想」を発信したい!
官能小説ではもちろん、実体験以外に自分のいやらしい妄想を発信することができます。
たとえば「温泉の混浴風呂で知らない男の人とエッチなことになっちゃった」とか、「テニススクールのコーチと、シャワールームで抱き合っちゃった」とか、自由に、本能の赴くままに理想のシチュエーションを綴って発散できるのです。
最初から妄想で書く人もいますし、最初は実体験を書いていて、次第に妄想を加えるようになる人もいます。
女性たちが描く官能小説では「王子様のような理想的な男性に一晩中愛されまくる」という夢のようなシーンはあまり出てきません。そうしたものはTL(ティーズラブ)と言われるジャンルに集まっていると思われます。
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