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ストリップの新作「電マの新井」が大好評!
『電マの営業・新井です!』(略して「電マの新井」)という新作が大変好評だ。
書店員にとっての新作といえば「新しく出版された本」のことだが、現在の私はストリッパー。新作といえば、自身の新しい演目を指す。
数年に1作しか出さない人もいれば、毎月新作を出す人もいる。そういうところは、作家に近い職業と言えるかもしれない。
新作に込めた思い
1回のステージは約15分。その間に服を脱ぎ、観客を楽しませることができるなら、何をやってもいいのがストリップだ。
バレエやヒップホップをひたすら踊ってもいいし、演劇をしてもいいし、コントをやってもいいのである。
私は比較的ストーリーものを作ることが多く、シリアスな内容になりがちだ。実在の小説を自分なりの解釈でステージにしたものもある。
そういった演目は、構成や音作りに時間がかかるし、演じる側も観客にも負荷がかかるため、たまには息抜きが必要だ。
不真面目でPOPで、頭を空っぽにして楽しめるものを作ろう。そうして生まれたのが、件の新作なのである。
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「電マの新井」の気になる制作費
ステージで使う衣装や小道具、練習のためのスタジオ代などは、すべて自己負担だ。凝った新作を出せば出すほど、生活は苦しい。
しかし「電マの新井」のために買ったものといえば、ピンクの電マ2本(Amazonで最安値)、ラブホテルみたいな安っぽいタオル2枚、マツキヨのコンドーム1箱くらい。
あとは手持ちの服や道具を活用する。これで夢のような低コストが実現した。
私の役柄は、肩こり・腰痛に効く電動マッサージ機を売り歩く、営業の新井。彼女は「ピンクの電マ」が思ったように売れないことに悩んでいた。
営業という仕事は、自分に向いていないのかもしれない。落ち込んで歩いていると、ラブホテル清掃スタッフ募集の看板が目に入った。
そして、その場で転職を決める。
電マの“真の需要”に気が付いて…
場面は変わり、ラブホテルの客室。シーツを交換し、箱ティッシュとコンドームの補充。そして、あの売れなかった「ピンクの電マ」を枕元にそっと置くのだ。
全室電マ完備。電マ用の特大コンドームまである。肩凝りをほぐすために使われていないことは明らかだ。あれほど売れなかった商品の需要は、こんなところにあったのである。
営業先のオヤジがニヤニヤ笑っていた理由が今更わかった。ちくしょう、あいつら知ってやがったな!
バカ正直に健康器具として売り込もうとしていた自分がむなしい。むしゃくしゃした新井は、自分が清掃した客室に忍び込み、裸になって電マを手に取った――。
拍手をもらえれば大成功
――という、シンプルでわかりやすい演目だ。なんだ、この三文小説みたいなストーリーは。
それが思いのほかヒットして、書き手のはしくれとしては複雑な思いはあるが、私は楽しんでもらうために服を脱いでいるのだった。
拍手をもらえれば大成功である。電マだって、当初の健康器具としてではない需要で売り上げを伸ばしたが、売って利益を得るために作ったのだから、大成功なのだ。
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