熱狂する韓国コスメブームに違和感。顔につけるのに、低価格、パケ買い、なんとなく…だけで買って大丈夫?

並木まき ライター・エディター
更新日:2025-02-25 06:00
投稿日:2025-02-25 06:00

店頭に並ぶ化粧品が様変わりしている違和感

 つい先日、資生堂の最終赤字が100億円超との報道がありました。主な理由は中国での事業不振にあるそうですが、実際のところここ数年で急速に、日本のコスメブランドの勢いが衰えているのを痛感します。

 街中のバラエティショップには今や海外メーカーのプチプラコスメがずらりと並び、そのほとんどは韓国メーカーによるものです。

 実際、矢野経済研究所が発表した化粧品市場に関する調査によれば、2023年には韓国からの化粧品輸入額が前年比123.8%の959億6,200万円にも達しているそうです。

 国内メーカーによるコスメを探すのも大変といった陳列のショップも多く、明らかに数年前とはコスメを取り巻く環境が様変わりしているのを感じざるをえません。

 筆者と同じような感想を抱いている人も少なくないのではないでしょうか。

【読まれています】えっ、フェイスマスクは毎日しない方がいいの?【美容のウソ・ホント】医師3人の意外な回答/専門家監修

韓国コスメへの異常な熱狂は正しいのか?

 アジアのコスメメーカーの勢いは目覚ましく、韓国コスメや中国コスメ、タイコスメなどアジア各国のメーカーが次々と日本に上陸しています。

 特に韓国コスメは「安くて性能がいい」というSNSや越境ECサイトを中心としたマーケティングによるイメージ戦略、低価格帯のブランド戦略などが成功し、日本においても「コスパ良し(なイメージ)」を理由に、熱狂的に買い漁っている人をよく見かけるようになりました。

 しかし昨今、筆者は強烈な疑問を抱きつつあります。

 ECサイト、特に越境ECに書いてある情報を鵜呑みにするのは危うい解釈です。日本メーカーにおける歴史と伝統ある研究能力は、隣国にあっさりと負けてしまう程度のものなのでしょうか。

 食品に関しては「安心・安全の国産」にこだわっていても、なぜか化粧品となると「安さ」と「かわいさ」に加えて「なんとなく良さそうだから」や「流行っているから」だけで手に取っている傾向も強くうかがえます。

 もちろん韓国コスメもさまざまですから、全てがダメ、またはその逆に全てが優秀といった雑なくくりをしたいわけではありません。

 どの国のメーカーが作っているものでも、いいものもあれば悪いものもあるというのが実態でしょう。

化粧品を「安心」や「信頼」で選ぶという選択肢を

 現在でも日本の国内メーカーが手掛ける化粧品の品質は、世界トップクラスを誇っています。しかし化粧品を買うきっかけとなる“高揚感”については、残念ながらも他国のブランドの勢いに負けてしまっているのも一つの現実。

 顔に継続して塗るものなのに、食品のように「品質で選ぶ」、「信頼で選ぶ」といった感覚が消費者側に薄れていて、パケ買いならぬ「イメージ買い」や「価格だけで選ぶ」といった傾向も強まっているように感じます。

 また今、日本国内の経済に元気がないと耳にする機会が増えていますが、一方では2024年における国内の化粧品市場自体は前年比約4%増と拡大をしています。

 コスメの価格帯によっても「私たち消費者が求めるもの」は異なり、流行なのか品質なのか、それともブランドイメージなのか…と違いがありますが、熱狂的な広告やSNSで見る投稿を鵜呑みにせず、食品同様に品質や信頼で選ぶ心がけがより真剣に求められている過渡期のような気がしてなりません。

「自分の肌に直接塗るもの」は「自分が口に入れるもの」と同じように、品質や信頼で選ぶべきというのが筆者の考え方。この機会に、化粧品の選びかたを考えるきっかけにしていただければ、これ以上の喜びはありません。

 ひとり一人の行動は小さくても、その行動の積み重ねが日本経済を支える大きな力にもつながるのではないでしょうか。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ビューティー 新着一覧


一晩に何度起きたら頻尿ですか?【医療従事者解説】頻尿のセルフチェック&トイレによる寝不足改善法
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
990円の“プチプラ化粧水”1本だけで10日間過ごしてみた。乳液&クリーム不使用で意外な結果が…
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
「妊活を始めたものの、なかなか授からない…」《男性不妊》って知ってる? 意外と多い“精索静脈瘤”の話
「妊活を始めたけど、なかなか授からない…」そんなとき、多くの女性が婦人科に行く。でもちょっと待って。実は不妊の約半数は「...
今夜もぐっしょり…寝室温度をめぐって夫と大喧嘩!【医療専門者監修】寝汗は更年期だけじゃない?
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
40代が「垢抜け顔」になれないワケは?【美容家が使って実感】激推し最新コスメ3品
“垢抜け顔”になりたいけど、思いどおりの仕上がりにならない…。そんなお悩みは、選ぶコスメで解決!  40代の時短美容家...
生理前に限らず些細なことでイライラ!【医療従事者監修】アラフォーが注意したいPMSではない意外な理由
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
春先の紫外線も乾燥も怖くない!【美容家厳選】アラフォーに激推ししたい“二刀流”UV対策
 春の陽気を感じる日も増えてきましたね。日差しが強くなってくると気になるのは、UV対策です。春夏は特に紫外線量が増えるた...
加齢で増えがちな「ほくろ」はシミと何が違う?【美容外科医が解説】電気メスで削ると? 保険適用の条件は?
 この連載では美容医療“若葉マーク”の方々に向けて、テッパンの不安や疑問を分かりやすく“一発回答”。今回はお悩みの多い「...
うさぎ舌リップってなんぞ? 40代でも挑戦できる作り方と色選びのコツ
 純欲メイクや白湯メイク、地雷メイクなど、これまでいろいろなメイクがトレンドに上がってきましたが、もっかSNSで話題なの...
寒暖差疲労の原因と対処法【医療従事者監修】季節の変わり目はイベントてんこ盛りで休めない…どうする?
 寒暖差が激しい季節は、いつもと同じように睡眠時間を確保したつもりでも、なんだか疲れてしまいがち。そんな「寒暖差疲労」を...
40代がやりがちなNGメイクとインナーカラー全8選。痛いおばさんは回避したい…
 アラサー・アラフォー女子は、メイクやヘアカラーというパーソナルなことですら、常に厳しい目線を向けられてしまうから大変で...
長財布はダサい&時代遅れとされる3つの理由。令和におすすめの財布は?
 最近、長財布を使っている人をあまり見かけなくなってきましたね。今でも長財布を愛用しているものの、「もしかしてダサい? ...
女性は30代以降、筋肉量が年間1%ずつ減!?【医療従事者監修】今すぐ試せる“ぽっこり下腹”引き締め術3選
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...
【検証】メイクしたまま寝ると汚肌一直線?20代美容ライターが3日間オフなしで過ごしたら意外な結果に…
「メイクを落とさないと肌が荒れる」とはよくいったもの。メイクをしたまま寝ると毛穴に詰まった汚れや皮脂が酸化して、肌荒れや...
「美容医療」反対派と賛成派の意見。トライする前の参考にしたい
 いつの時代も、女性は美しくなりたいと思うもの。そして、今の時代、美容医療や美容整形がより手軽になり、挑戦する人も増えて...
更年期の“意外と知らない”基礎知識/更年期症状は遺伝する? 出産経験の有無は影響する?【医療従事者監修】
 彼女の名は、えりの。女性の心を癒すためにはじめたサロン「コクハク」のオーナーで、界隈では「えりのボス」の愛称で知られ、...