TBS日曜劇場「御上先生」は“意識高めの金八先生”か? 教養レベル問われて疲れた視聴者の離脱も
松坂桃李(36)主演のTBS系日曜劇場「御上先生」が最終回に向けて佳境を迎えている。
今作は文科省官僚の御上孝(松坂)が、有名私立進学校に教師として赴任し、担任として受け持ったクラスの生徒たちとともに、さまざまな問題を考え、改革していく大逆転教育再生ストーリー。
これまで、詰め込み式テストや偏差値重視の教育の弊害、教科書検定、ディベートが根付かない背景など、今の日本教育の問題点に切り込むだけでなく、ヤングケアラーや生理の貧困、日本の相対的貧困率の高さなどの社会課題も、ドラマの主軸として描かれてきた。
社会派ドラマの一面を持つ意欲作として評価が高い一方、取り上げられるテーマの重さや視聴者の理解力が求められる難解な内容に対し《御上先生、なんか難しい… ついていけなくなってきた…》《最初はおもしろい気がしてたけど、先生も生徒も意識が高すぎて、共感できなくなったので離脱》と、回を重ねるごとに視聴離脱を宣言する声も散見されている。
「特に視聴者が離脱する要因となったのが、第6話で描かれた“生理の貧困”の描き方でした。この問題を取り上げることに社会的意義を感じる視聴者は多かったものの、生理の貧困は、単に生理用品を買えないというケースだけではありません。たとえばシングルファーザーの家庭など、生理やPMS(月経前症候群)に理解のない環境に身を置いているという状況も含まれます。ヤングケアラーと相対的貧困の問題が必ずしも生理の貧困につながるわけではないため、《問題の本質からややズレてるように感じる》という冷静な指摘もSNSで見受けられました」(ドラマ制作関係者)
「御上先生」は、社会問題を取り上げるだけでなく、新聞記者の息子である神崎拓斗(奥平大兼)が、校内新聞で報じた教師同士の不倫と国家公務員殺人事件のつながり、そして文部科学省と隣徳学院の不正を暴くというストーリーも同時進行している。
「第9話では、隣徳学院に怪文書を送っていた“ヤマトタケル”の正体が明かされますが、日曜劇場の特徴の一つである考察を楽しみたい視聴者にとってここ数話は、謎が明かされる展開が進まず、イライラする内容だったことは否めません。また第2話では、“生徒のために奔走するスーパー熱血教師以外は教師にあらず、という空気をつくってしまった”と御上が、金八先生を揶揄するセリフもありましたが、『御上先生』も世論を反映した作中で描かれる問題に対し、教師が立ち上がり、生徒たちを一致団結させるという金八先生と似たような構図になっています。《結局は、意識が高い金八先生》とシラけてしまった視聴者もいるようです」(同)
初回の世帯平均視聴率は12.2%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)でスタートし、2023年7月期のTBS系日曜劇場で大ヒットとなった「VIVANT」の初回視聴率を超える好調ぶりを見せ、TVerのお気に入り登録者数も今期ドラマトップの121万を誇る「御上先生」。
視聴者の教養や社会的関心の高さが求められる今までにないタイプのドラマともいえるが、このまま、有終の美を飾ることができるか?
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