TKO木下、神田愛花…発言や投稿の前にひと呼吸おいて考え、事実や詳細を確かめるべき
【2025年 芸能界ネット炎上事件簿 】#3
昨今の炎上には、大まかに3つのパターンが見られる。好感度ギャップ、非常識やマナー違反、そして「やって(言って)いいこと、悪いこと」の一線を越えることだ。最後の典型が9月にTKO木下隆行(53)がSNSに投稿した、移住先のタイでの僧侶のコスプレ画像である。
タイでは国民の約90%が仏教徒であることから僧侶は尊敬の対象とされ、不用意に近づかない、女性は接触しないなどのマナーがある。法律でも「僧侶や聖職者を装う行為」は、侮辱行為として1年以内の禁錮刑と規定されるほど宗教に対して厳格なのだ。
旅行や出張でも気をつけるように呼びかけられているこれらのことを、移住した日本人が堂々と破ったのだから炎上は必然。移住でテンションが上がっていた、自らの容姿をうまく使ってボケたつもりだった──そうしたことはすぐに見透かされ、「恥ずかしいから日本人と名乗るな」「タイから出ていけ」などと散々な言われようとなってしまった。
現地の事情に疎いからと、慣習を破ったりマナーに違反して知らぬふりをするのは、日本でもオーバーツーリズム批判のなかでとりわけ問題となっている。いい年をした大人が仏教国で僧侶を揶揄するとは、知らなかったで済まされることではない。
神田愛花(45)は、テレビ番組のなかで米大リーグとコラボしたバービー人形を紹介する際の発言が「自分が知らなかったからとはいえ失礼すぎる」と炎上した。
神田は大リーグのカブス、ドジャース、ヤンキースのコスチュームを着た人形を持参、お宝度の判定前に「(カブスは)そんなに日本では有名じゃない」「(カブスのコスチュームに)なりたいと思わないでしょ」とコメントしてしまう。かつてダルビッシュ有らレジェンド級の日本人選手が在籍し、最近でも、鈴木誠也、今永昇太の両選手が活躍する球団をクサすような発言には厳しい批判が集まった。
テレビ番組、SNSとも、言わずもがな公の場である。知らないからと何も考えずにやってしまう、言ってしまうのは、「好感度ギャップ」につながるばかりか、「非常識・マナー違反」となることもありえる。発言や投稿の前にひと呼吸おいて考え、事実や詳細を確かめるべきなのは、芸能人も一般人も同じことだ。
移住や旅行をするなら、現地の事情を調べておくのは基本であり、宗教に関してはなおのこと。また、発言が予定されることについて詳しく知らないのなら、正直に知らないと言う、詳しい人に教えを請うなどの処し方があるはずだ。
知らないことを知らないままにせず、自分で確かめようとする。芸能人であれ一般人であれ、炎上を防ぐリテラシー向上の初めの一歩である。(おわり)
(井上トシユキ/ITジャーナリスト)
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