「ジャストミート!」「ファイヤー!」 福澤朗が求めた熱狂と明快さ

更新日:2025-12-14 17:03
投稿日:2025-12-14 17:00

【今週グサッときた名言珍言】

「ちなみにジャストミートはギャグではないんです」 
(福澤朗/テレビ東京系「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評」12月2日放送)

  ◇  ◇  ◇

「ジャストミート!」が代名詞のアナウンサー・福澤朗(62)。彼がそれを「決めギャグ」と紹介されたことに対して補足した一言を今週は取り上げたい。

 そもそも「ジャストミート!」は、福澤が「全日本プロレス中継」(日本テレビ系)で使っていたフレーズだ。だが、当時のプロレスファンは、福澤の実況を嫌う者が少なくなかった。

 当時は、プロレスで人生を語るようなファンが大半だった。対して福澤の実況は軽かった。うるさかった。そして、どこかプロレスを小バカにしているようにも聞こえた。だから「プロレスを冒涜するな」「福澤を降ろせ」といった声も上がり、脅迫まがいの手紙が届いたりもしたという。

 福澤がプロレス中継担当を命じられたのは、日テレ入社2年目の1989年4月。「暗雲たれこめる、といったレベルではなく、いきなりの豪雨といった感じ」(福澤朗著「昭和最後のアナウンサー」弘文堂=2003年10月1日発売)だった。それまで一度もプロレスを見たことがなかったからだ。

 今まではプロレス好きのアナウンサーが担当していた。その人たちのマネをしても絶対に勝てない。だったら、「プロレス者」でないことを武器にしようと考えた。自分のようなプロレスに興味がない人にどうやったら興味を持ってもらえるか。「血なまぐさい」「ドロドロしてる」「因縁関係が複雑」「スカッとしない」……。プロレスファンにとってのプロレスの長所は、そのままプロレスの欠点でもあった。だったら、自分は「カラッと、明るく、因縁関係がなくて、カッコいいプロレス中継をやろう」(早大マグネットプラス「MAG!」11年秋号)と決心した。

 そうして生まれたのが「ジャストミート!」という分かりやすいフレーズだった。

 その「ジャストミート」に“禁止令”が下ったこともある。それは「全国高等学校クイズ選手権」(日テレ系)。91年に先輩アナの福留功男の後を引き継いだ彼は当然、自分の代名詞を武器にしようとしていた。だが、スポンサーのライバル社が「ジャスト」という商品を発売していたため、“自主規制”されたのだ。

 当初は、福留の「燃えているか?」をそのまま引き継げばいいのではないかという意見も出たが、福澤は納得しなかった。自分なりの言葉でないと魂がこもらない。だから、自ら「燃えているか?」をアレンジした「ファイヤー!」を生み出したのだ。

 芸人でも「決めギャグ」を複数定着させるのは難しい。しかし、福澤は、いかに分かりやすく、いかに熱狂を生むかという一心で、複数の決めフレーズを生み出したのだ。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

エンタメ 新着一覧


国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】 「やはり持つべきものは良き友だ」  テレビ界から“追放”された国分太一(51)...
2025-12-14 17:03 エンタメ
TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり
 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(TBS系)は14日が最終話。ロイヤルファミリー号は、有馬記念優勝という夢を果たすの...
2025-12-14 17:03 エンタメ
新会長を迎えるNHKにやってほしいこと 自局番組の宣伝やCM、再放送が多すぎる
【桧山珠美 あれもこれも言わせて】  NHKの新会長に井上樹彦氏が決定した。NHK出身。報道記者として入局、政治部長、...
2025-12-14 17:03 エンタメ
芦田愛菜"好感度トップレベル”でも女優で空振り続きのナゾ…映画「果てしなきスカーレット」が危険水域
 芦田愛菜(21)が主人公・スカーレットの声を務めた11月21日公開の映画「果てしなきスカーレット」が、事前予想を大きく...
2025-12-14 17:03 エンタメ
松任谷由実「納税額が最高時から8000万円もダウン」のナゾ…今年も「恋人がサンタクロース」の季節到来
 どうしてこれまで“無傷”で来られたのか。今年も松任谷由実(71)の「恋人がサンタクロース」が流れる季節がやって来た。松...
2025-12-14 17:03 エンタメ
草彅剛がもったいない!「終幕のロンド」鬱展開に感動の押し売り…それでも1つだけ“再確認できた”こと
 多くの作品が最終回に向けクライマックスを迎える2025年の秋ドラマ。その中でも、屈指の演技派・草彅剛さん(51)主演作...
こじらぶ 2025-12-14 11:45 エンタメ
【芸能クイズ】2025年「今年の漢字」は熊! クマは訓読み、では“音読み”では何と読む?
 テレビやネットでふと耳にした、あのひとこと。記憶の片隅に残る発言の背景には、ちょっとした物語があるのかも?  ネ...
【エディントンへようこそ】コロナ騒動で現代アメリカの病理を描いた問題作
【孤独のキネマ】  エディントンへようこそ   ◇  ◇  ◇  原題は「EDDINGTON」。日本の関係者は「エ...
2025-12-13 17:03 エンタメ
由美かおるさんに「全編関西弁でいきません?」と提案すると頭を下げられて…
【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#270  由美かおるさん   ◇  ◇  ◇  元祖「美魔女」といえば由美かおる...
2025-12-13 17:03 エンタメ
手越祐也は小6で12時間の猛勉強の末に明大中野中学に合格 =大学は早大人間科学部eスクール
【続続・あの有名人の意外な学歴】#3  手越祐也   ◇  ◇  ◇ 「ヤンチャなイメージが先行している手越祐也(...
2025-12-13 17:03 エンタメ
国分太一の活動再開とTOKIO復活のための起死回生の一発
【城下尊之 芸能界ぶっちゃけトーク】  元TOKIOの国分太一(51)のコンプライアンス違反による日本テレビの番組降板...
2025-12-13 17:03 エンタメ
羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評
 オリコンニュースによる「好きな男性アナウンサーランキング2025」が12月12日発表され、1位になったTBSの南波雅俊...
2025-12-13 17:03 エンタメ
やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒
 お笑い芸人やす子(27)の毒舌芸が、またもや物議を醸している。12月8日放送の「呼び出し先生タナカ」(フジテレビ系)で...
2025-12-13 17:03 エンタメ
横浜流星は自作の小説でプロデューサー業を宣言…佐藤健や岡田准一は? 俳優が続々と進出する“裏方業”の成否
 俳優の横浜流星(29)が12月11日に都内で行われた「2025 小学館DIMEトレンド大賞」に出席し、「20代も今年最...
2025-12-13 17:03 エンタメ
渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る
 2025年も残すところあとわずか。そんな中、騒動から5年以上たっても“許してもらえない芸人”がいる。アンジャッシュの渡...
2025-12-13 17:03 エンタメ
「ばけばけ」吉沢亮、“国宝”俳優の本領発揮。錦織の“一瞬で見せる表情”が素晴らしかった
 リヨ(北香那)の恋が終わった。翌朝、出勤するトキ(髙石あかり)の前にリヨが今までの応援のお礼に現れる。お礼のついでに発...
桧山珠美 2025-12-13 11:09 エンタメ