なぜ月経不順になるの?それって「多嚢胞性卵巣症候群」かも

西史織 卵子凍結コンシェルジュ
更新日:2023-01-26 20:42
投稿日:2019-12-01 06:00
 日本は不妊治療の件数は世界一なのに、体外受精で赤ちゃんが産まれる確率は最下位。そんな状況を変えるために、ミレニアル世代の私たち自身にもできることがあるというお話から前へ進み、今回は、いざ「妊娠したい」と思った時にやっかいな「多嚢胞性卵巣症候群」についてお話していきます。

自覚症状はほとんどない

【09_卵子凍結】

 多嚢胞性卵巣症候群という疾患を知っていますか? 一見読みづらくてなかなか頭に入ってこない名前ですが、「たのうほうせい」と読みます。これは若い女性の5~10%(「MSDマニュアル 家庭版」より)に見られる、排卵障害のひとつです。過去にはタレントの神戸蘭子さんや女優の大和田美帆さんなどが公表しています。

 死に至るような病気ではないのですが、症状としては主に月経不順や無月経が起こります。悪化すると子宮内膜増殖症や子宮体癌のリスク、不妊などの原因になるともいわれています。

「妊娠したい」と思った時にやっかい

 多嚢胞性卵巣症候群は、体に急激な異変を感じたり、分かりやすいサインが無いともいわれ、気づかない方も多いのですが、いざ「妊娠したい」と思った時にやっかいなのです。

 というのは、卵巣の中で卵胞は育つにもかかわらず、上手く排卵できないため排卵日にいくらタイミングをはかっても妊娠しづらいのです。

 妊娠できないことに不安になり、クリニックへ行ってようやく原因が分かった、という方も少なくありません。

 多嚢胞性卵巣症候群の診断方法は、エコーで卵巣の状態を確認したり、血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の数値を測れば簡単に分かります。

根本的な治療法はない

 現在のところ、残念ながら、この病気に対する根本的な治療法はありません。そのため、妊娠を望む場合や卵子凍結をしたい方は注意が必要です。

 多嚢胞性卵巣症候群の疑いがある人は、医師の指導や排卵薬の処方が必要になってきます。

 医師が凍結前の適性検査で多嚢胞性卵巣症候群かどうかを診断しますが、多嚢胞性卵巣症候群の方は「排卵誘発剤」に強く反応する傾向が見られ、卵胞が育ちすぎて過剰刺激症候群になりやすいのです。基本的には1万人以上に1人の確率といわれていますが、医師が最新の注意を払って誘発剤を投与するため、入院するほど悪化することは万人に1人と言われています。

 ですが、若い方ほど強く反応しやすいことから、20代で多嚢胞性卵巣症候群の傾向がみられる方は注意して医師と相談しながら行いましょう。そういう私も、卵子凍結する際に過剰反応し、採卵できなかった経験があります。私の場合は当時、適性検査の際に医師から多嚢胞性卵巣症候群であることを伝えられておらず知りませんでした。

 もしこれから卵子凍結や妊活をしようと思っている方は、事前に自分の体に問題がないかどうかをきちんと確認しておくことをおすすめします。

西史織
記事一覧
卵子凍結コンシェルジュ
金融業界で営業、IT業界で事業開発に従事後、27歳のときに将来のことを考え卵子凍結をする。その経験から、女性のライフステージと仕事の両立についてをライフテーマに活動。妊活をしている方や卵子凍結をしたい方へ向けたクリニック検索サイト「婦人科ラボ
」を運営。Xでの情報発信や、日刊ゲンダイ、日経xWOMANでの執筆も行う。

ライフスタイル 新着一覧


なぜおばさんは“早朝ウォーキング”するのか? 運動音痴の私が中年になって実感した朝
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ふわぁ~眠すぎる…でも寝ちゃダメ! 一瞬で覚醒できる「私の目覚まし対策」6選
 仕事中、急な眠気に襲われて意識が飛んでしまう…。社会人なら誰しも一度は、もしくは日常的に経験しているのではないでしょう...
不安体質は性格のせいじゃない、変えられない自分を責めないで。穏やかな生活を送るコツ【専門家監修】
 2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
なぜ『鬼滅の刃』は心に響く?ボロボロだった女が“ある台詞”で救われた話「雷に打たれたような衝撃でした」
 最終決戦が描かれる映画三部作の第一章が公開され、アニメの歴史を塗り替える伝説を打ち出し続けている『鬼滅の刃』(フジテレ...
SNSだらだら、安物を爆買い…全部やってる! やめらない“ムダ習慣”7つがじわじわ刺さる
「やめたいのに、なぜか続けてしまう」そんな“惰性の習慣”に心当たりはありませんか? 毎日の行動の中には、「なんとなく」「...
生きる伝説、“スター★にゃんたま”の貫禄あふれるポージングを見よ!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「自慰行為」の語源になった人物の悲劇。“悪いこと”と罰された本当の理由
 職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
「イラつく顔ね」にグサッ…義母が放った“ひどい言葉” 5選。離婚すればってそりゃないよ~
 嫁姑の関係が悪化する原因の1つに、姑の悪意ある発言があるのかもしれません。こんなことを言われたら、姑への憎悪が膨らむの...
【動物&飼い主ほっこり漫画】連載特別編「ハルちゃん 幼少期の思い出」
【連載特別編】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場!  11月下旬発...
「うちはもっとヤバいよ!」え、不幸話で勝負してる? 聞いてて疲れる“愚痴LINE”3選
 人に不幸話をするときは、いくつか気をつけるべきポイントがありそう。なぜなら「それって不幸自慢?」とウザく感じる人が少な...
「着飾るのは何もないから」偽セレブがマウントを取る理由。“本物の令嬢”の前で見つけた本当の自分
 綾乃は千代田区の高級マンションから武蔵小杉に2年前に引っ越して来た。セレブ気取りの綾乃は同じマンション住人でさえない ...
「あの人が…なんで?」地味ママの“富豪人脈”に呆然。勝ち組を演じていた女の勘違い
 綾乃は千代田区の高級マンションから武蔵小杉へ2年前に引っ越して来た。以前の土地では、富裕層中心のママ関係に居づらさをお...
「世帯年収1500万じゃ恥ずかしい」御茶ノ水からの“都落ち”…武蔵小杉のタワマンを選んだ女のプライド
 リビングの大きなガラス窓の向こうには、大樹のようなマンションがいくつもそびえている。  その景色はまるで都会の森...
ママ友の悪口を誤爆!「このLINE、共有しますね☆」やっちまった…恐怖の誤爆エピソード3選
 子どもを介した友達“ママ友”。それぞれ性格が違うので、合う合わないがあるのは当然です。でも裏で悪口や愚痴を言っていると...
昭和や平成にいた“カタカナ職業”とは何だった?バブルを生きた男が思う「総クリエイター時代」の清々しさ
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
長渕剛に20代女性との熱愛報道。60代や70代を好む「桶専女子」の生態とは?“枯れ専”との微妙な違いも
 芸能界ではシニアの恋愛・結婚が話題になっている。8月27日配信の文春オンラインはシンガーソングライターの長渕剛(68)...