高橋一生演じる哲雄からの愛が羨ましい…
映画封切り前から話題になっていたベッドシーンは、生々しさは皆無。哲雄が園子を大切にする気持ちが伝わる情事として描かれているので、「男性から、こんなふうに抱いてもらえたらうれしい」と思う女性がいるかもしれません。また、ラスト近辺で哲雄がラブドールを完成させていく過程で、園子が告白後のベッドシーンを思い起こすと、切ない情景として胸がしめつけられます。儚くて悲しく、筆者はハンカチなしには鑑賞できませんでした。
ただし、「大胆なベッドシーン」と銘打っているだけあり、ドキドキすること必至。ほかにも胸の型取りシーンでは、女性である筆者ですら「横から見えるのでは?」と、画面を斜め横から観てしまいました(反省)。
ピエール瀧や渡辺えり…共演者にも注目
作品のクオリティーを底上げしている、実力派俳優たちの芝居にも注目を。哲雄の上司役を演じたきたろうさん、ラブドール制作工場の社長役であるピエール瀧さんと高橋さんは、もしかしたら現場ではアドリブを連発していたかもしれません。時折見せるコミカルな芝居に一笑します。ベテラン女優の渡辺えりさんは、たった数言のセリフで観る人の感情を揺さぶります。
「ラブ」ではなく「ロマンス」
個人的には、ラブドールの「ラブ」を「ロマンス」に置き換えた原作・脚本・監督を務めたタナダユキ氏のセンスを敬慕しました。女性が鑑賞するハードルを、何段も引き下げてくれる言葉選びが素敵だと感じたからです。ロマンスには、「男女間の愛情に関する話、または事件」という意味があります。ラブドール、夫婦愛、性愛のすべてを包括させた言葉である事実が、作品を鑑賞するとわかるはずです。
本物のラブドールが何度も登場するので耐性のない女性は驚くかもしれませんが、制作のプロセスを観られるのは貴重な機会かもしれません。おうち時間の充実に一役買ってくれるので、鑑賞してみては。
出演:高橋一生、蒼井優、きたろう、渡辺えり、ピエール瀧、浜野謙太、三浦透子、大倉孝ニ 脚本・監督:タナダユキ 原作:タナダユキ「ロマンスドール」(KADOKAWA刊)
エンタメ 新着一覧