私を忘れないで…「ワスレナグサ」は涙を誘う悲恋の愛の花

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-03-03 06:00
投稿日:2021-03-03 06:00

 ある暑い夏の日の夕方のお話でございます。猫店長「さぶ」率いる我がお花屋さん。さぶ店長だけが涼しい場所で悠々と寝ていらっしゃる横で、忙しいワタクシたち平社員は汗をかきながらクルクル働いておりました。

 そんな中「あの……お花屋さんですか?」と、不安そうに話す女の子からのお電話がございました。

「何時までやってますか?」と聞くその女の子のご要望は、ちょっと切ない神話の中に登場するお花でございました。ですが、春が旬のその花は、暑い夏には残念ながらご用意することができません。

女の子 「実は、猫のお墓にお供えしたいのです。数カ月しか一緒にいられなかった子猫が死んで、今日でちょうど一年になります。『さよなら』から一年経ったけれど、私の気持ちを死んだあの子に伝えたいのです。一緒にいた時間が少なくても、私はあなたを忘れないよって」

 お電話いただいた時には、ご用意できなかったあのお花。春を迎える今、花市場で見かけるたびに、あの電話口の女の子を思い出すワタクシ。その花は、奥ゆかしい姿で話しかけてくるようでございます。

「私を忘れないで」——。

 ということで、今回の「笑う花には福来たる」は「愛の花 ワスレナグサ」の解説でございます。

「ワスレナグサ」ってどんな花?

 お花屋さんの店先には、春先の2月あたりからガーデニング商材として青く小さな「ワスレナグサ」が流通しはじめます。

 本来ならば多年草ですが、暑さに弱く花の後に枯れるので、日本では一年草のカテゴリーでございます。「ワスレナグサ」と一口にいっても実は他種あって、色も青や紫、ピンクや白と一種ではないのでございます。

 ポット苗のほかに切り花も流通しております。小さく奥ゆかしい花姿の割には、ピンポイントで指定なさる方も多い人気者。

「Forget-me-not」「忘れな草」「勿忘草」と、曲名にこの花の名前をつける方のなんと多いことか… …。亡き尾崎豊さんの歌う「街に埋もれそうな小さな忘れな草〜♪」を聴きながら、「オザキ〜!」と号泣していたワタクシの青春はご説明するまでもございません。

 3月から暑くなる前の6月あたりまで咲き、園芸品種として流通している「ワスレナグサ」は、おもにエゾムラサキの雑間交配種が多く、涼しい高原の湿地帯で野生化しているもの。そのため、園芸種もやはり湿地を好み、水切れを大変嫌うのでございます。

 一度でも水切れを起こすと葉の一部が茶色く変色してしまうので、もしアナタがお花屋さんでワスレナグサのポット苗を選ぶなら、

1. 青々とした葉の株を選ぶこと
2. あまり成長していない花の咲いていないものを選ぶこと

 が、ポイントでございます。

 実はワスレナグサは、“一番花”とよばれる最初の花が咲く前の「青いだけ」の苗を選ぶことがオススメ。花が咲く前、ポットの中で根が張る前のものを植えつけた方が、根がキッチリ張ってたくさんの花が楽しめるのでございます。

 根っ子は浅いけど、土の上で株が横に旺盛に育つワスレナグサは、肥料もそんなに好まず、こぼれ種で増えてくれるお利口さんなお花でございますのよ〜。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


台無しなんですけど!家族旅行なのに「夫のイライラ言動」と4つの予防策
 世の女性の中には、せっかくの家族旅行中、「夫のイライラする言動」によって、楽しい雰囲気が台無しになってしまうケースも…...
“頑張り屋のメンヘラ”が「セルフラブ」という人生の処方箋を知りました
「セルフラブ」という考え方は、確実に私の人生に大きな影響を及ぼしています。  セルフラブについて学び始めた時「世界...
【にわか呑み鉄】電車とビール好きにたまらない「流鉄BEER電車」に参戦
 さる9月2日(土)、千葉県流山市で「電車好き」と「ビール好き」垂涎の1日限りのイベントが開催されました。  通常は入...
かつて入り浸った店も 横丁の思い出も時代と共に変わってゆく
 昼間の細い路地を軽装の観光客が闊歩する。  誰かにとってはノスタルジーでも、また違う誰かにとっては新鮮に映るんだ...
にゃんたま写真の成立には“たまたま”への愛のピントがマスト
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「才色兼備」は女性だけに使われる不適切表現?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ずーっといい子ちゃんとか無理!「笑える悪口LINE」で上手に息抜きを
 友達や同僚から人の悪口を聞かされたらあまり良い気分にならないでしょう。でもそれがユニークな悪口だとしたら、思わずクスッ...
ほっこり読み切り漫画/第57回「隣りの芝生はオーノー」
【連載第57回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、...
これって良心ですか、マウントですか?「おまいう」説教LINE3選
 説教をされて、いい気分になる人はあまりいませんよね。でも、いつもどこか偉そうで、何かと説教をしてくる人はいるもの。 ...
相棒のぬいぐるみは無理! 大人になっても捨てられないもの6選と対処法
 物や情報に溢れた現代では、断捨離やミニマリストに憧れる人が多いですよね! でも、大人になってもどうしても捨てられないも...
40代で振り返ると納得!いろいろあった人生の転機、思い出してみない?
 人生の転機とは、その時には気がつかず、後になってから「転機だった」と気がつくもの。特に40代を過ぎると、人生の前半を振...
今年はお日様が大きく見える そろそろ落ち着いてくれるかな
 この数年で男性の日傘がすっかり定着したのも納得の暑さ。  日陰に逃げても、どこまでも太陽に追いかけられている気が...
記事読んだらソワソワ♡ 予定がない週末は寝溜めより楽しい6つのことを
 子どもの頃は暇さえあれば遊んでいたのに、大人になると週末は「予定もないし、寝溜めしておくか〜」と何もしない1日を過ごし...
人生これで正解? “30代からの思春期”ミッドライフクライシスに勝つ法
 大人のみなさん、「私の人生、これで良かったの?」と考えて不安になる時はありませんか? そしてその不安、名前がついている...
マジで買ってよかった! 猛暑に活躍&まだまだ使い倒す涼感アイテム3選
 8月の東京はなんと31日連続真夏日! いやー、暑かった。9月になったらちょっとは涼しくなるかなと思いきや、まだまだ厳し...
モフらずにはいられない!無防備すぎる“たまたま”にメロメロ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...