日本の夏…受け継がれる大事なしきたり「盂蘭盆会」って?

斑目茂美 開運花師
更新日:2021-08-04 06:00
投稿日:2021-08-04 06:00

お盆って何ですか?

 お盆とは、日本古来の祖霊信仰と仏教が融合した行事のことで、あの世(浄土)からこの世(現世)に里帰りした故人の魂を自宅にお迎えして、冥福を祈り供養する期間のことでございます。

 主に7月ならば「新盆(しんぼん)」、8月ならば「旧盆」がございますが、いずれも15日を中心とした3日ないし4日間の短い里帰りでございます。

 また、沖縄地方では月の満ち欠けにより暦を決める旧暦方式のお盆を採用しているので、年によって大きく日程がずれますが、令和3年は8月20~22日の3日間がお盆でございます。

 ただし、これは四十九日を迎え仏様となった故人をはじめ、「亡くなって年月のたった故人」に対して行うもの。亡くなって間もない仏様は、来年のお盆まで持ち越されます。

 また、亡くなって四十九日の忌明けの故人に対しては「新盆(にいぼん)」や「初盆」といい、友人なども招いた「新盆法要」を盛大に執り行うご遺族もいらっしゃるほど、ご先祖供養イベントのなかではなかなかの重要イベントなのでございますのよ。

都会は新盆、田舎は旧盆

 これはワタクシがお花屋さんになって初めて聞いた言葉でございます。そもそもワタクシ、若かりしころは、お盆とお彼岸の区別もつかず、お盆休みは会社が休めてラッキーぐらいにしか考えていなかったのでございますが、都会と田舎の狭間にございます我が花屋の立地は、「新盆」「旧盆」どちらも存在するお土地柄で、前述の初めて聞いた言葉は、都会から移住なさったお客様から伺うお言葉でございます。

 1カ月違いのお盆の理由は明治時代にさかのぼります。

 それまでの日本が採用してきた太陽陰暦は1年を13カ月としておりましたが、近代化を進めた明治時代に、欧米と同じ1年を12カ月とする太陽暦に変更いたしました。そのために日本の暦が1カ月ずれ、突如として明治5年12月3日が明治6年1月1日になってしまい、師走に集金するはずの借金が帳消しになり借金取りが大騒ぎした……というこぼれ話もございます。

 太陽暦になった日本のお盆は7月になりましたが、旧暦のお盆なら農閑期でございます。農家さんにとって繁忙期の7月ではなく、1カ月遅れの8月にお盆をなさるのが農家さんの多い地域というわけでございます。

お盆って何すればいいの?

「お盆って世の中的にはお休みだから遊ぶこと以外に何かあるの?」というアナタ。

 それは確かにそうでございますが、アナタにもいらっしゃる「ご先祖様」の里帰りを親族みんなでお迎えする、というのが本来の形でございます。

 お盆の正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、仏教の経典「盂蘭盆経(うらぼんきょう)」が由来でございますが、そもそも「盂蘭盆」とはサンスクリット語「ウラバンナ(逆さ吊り)」が起源。お盆の由来も含め「盂蘭盆経」の中に、釈迦の弟子・目連(もくれん)のちょっとコワいお盆の始まりのお話が書かれているのでございます。

 ある日、目連の神通力により、彼の亡くなった実母が餓鬼の世界で逆さ吊りにされて苦しんでいる様子が見えてしまいました。どうにか助けたいと思う目連にお釈迦様が「多くの僧侶が夏の修行を終える7月15日に、彼らを招いて食べ物や飲み物を献上すれば、その功徳により母親を極楽浄土へ送ることができる」と説きます。

 このお話がもとになり、精霊棚(しょうろうだな)と呼ばれる特別な棚をしつらえてご先祖様をお迎えする、というのがお盆にするべきことなのでございますのよ。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


女同士の嫌味合戦に終止符を! 相手を黙らせる冴えた返し方
 女同士の嫌味の言い合いは、いつだって熾烈。 相手が職場の上司や同僚だと、言い返すことができずストレスになってしまう場合...
また!snsのアイコンコロコロ変えるの何で?4つの心理&注意したいこと
 あなたはsnsのアイコンをどのくらいの頻度で変えますか? snsを始めてから一度も変えたことがない人もいれば、月に一度...
義母「唐揚げは?」嫁「そうですね」義母「明日は鍋」献立確認もやもや!
 義母から送られてきたLINEでもやもやした経験はありませんか? 嫁いびりをするような義母であれば、不快なLINEに何度...
信頼の証じゃない 身内に“八つ当たりする”人の心理と対処方
 今回はお悩み相談回です。職場に好きな人がいる男性の方なのですが、よく想い人の女性から八つ当たりされるのだとか。 「信...
派手な集団に遭遇 ざわついた飲み屋で包まれる昭和の空気
 とある飲み屋で派手な集団に遭遇。チンドン屋さんのお出ましだ。  年末にしんみりしても仕方がないから、ここは景気よ...
ぎゃああ! 暖かいところで越冬するカメムシ(涙)、安全な捕まえ方は?
 家の中に出る虫で、ゴキブリを怖がる人はたくさんいますよね。でも、実はゴキブリと同じくらい不快度が高い虫がいます。  ...
口づけしたくなっちゃう♡ 真っ白な“たまたま”にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
なぜお正月の飾りに竹?めでてぇ年賀の最強アイテムはSDGs的にも超優秀
 猫店長「さぶ」率いる我がお花屋にも、まもなくお正月がやってきます。  今年の暮れも嵐が過ぎ去った後のように荒れ放題に...
知人「やさしいたい焼き屋のおじさん」私「あれ母親」地雷踏んだLINE
 人にはそれぞれ絶対に踏んではいけない「地雷」があります。でも、それが何かはわからないケースがほとんど。今回は、LINE...
クリスマスを「自分へのご褒美」の口実にしてもいいかしら?
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ギャラ飲みとラウンジで荒稼ぎも…まともな恋愛ができない29歳港区女子
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
再婚しても元夫・家族に子どもを会わせる?本音は「面白くない」だけど…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
「こっちに付いてきて」広島で“たまたま”が秘密基地にご案内
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
枕元にプレゼントがなくても…満天の星空に心奪われる特別な夜
 出雲の国の満天の星空を眺めていた。  日付が変わった頃、天の川を切り裂くように飛行機が音もなく飛んでいった。 ...
ほっこり読み切り漫画/第64回「みんな揃って、メリークリスマス」
【連載第64回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
「不倫」と「浮気」の違い、知ったかぶりしてませんか?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...