子供は無条件にかわいい…でも保育園の現場は大変なんです

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2019-04-05 02:09
投稿日:2019-02-01 06:00

 こんにちは、小阪有花です。ご存じの方もいるかと思いますが、私は2009年に芸能界(旧芸名:小阪由佳)を引退後、引きこもり期間を経て自分自身と向き合い、大好きな子供たちのために何かできないかと、保育園の門を叩きました。

 保育補助のアルバイトから再出発し、現在はチャイルドカウンセラー・保育コンサルタントとして、子どもたちに愛情を伝え、自尊心と自己肯定感を育むための活動をさせていただいています。

 この連載コラムでは、約9年間の保育園での現場経験を通じて感じたことや思い、そして保育業界の課題や最新情報をお伝えしたいと思います。

  ◇  ◇  ◇
 
 私はコンサルタントとして保育園をプロデュースしたりもしてきましたが、この数年は園側の希望もあり、実際に0~3歳のクラスを担当していました。保育園の先生の立場から、いま取りざたされている保育士の大量退職問題の原因など、多くのことを知りました。

 保育園の生活はざっと以下のような流れです。

 朝7時に開園し、9時30分まで自由保育と朝の会。その後、10時45分までは外遊び。11時に給食。12時就寝。15時おやつ。15時30分から帰りの会。以降は自由保育――。

 年齢ごとにばらつきはありますが、園のタイムスケジュールはだいたいこんな感じです。単純に見えるかもしれませんが、このスケジュールを大勢の子どもたちが同じリズムで過ごすのは容易なことではありません。

 自由遊び中、おもちゃの貸し借りがうまくきない子供同士のケンカや、お散歩に出かける際、順番が待てず置いていかれたと勘違いして泣いてしまう子。お友達と手をつなぐのを拒む子もいれば、公園から帰りたくないと駄々をこねて逃げ出したり、それにつられてまた公園に広がっていく園児たち。

 スプーンでお皿をカンカン鳴らして遊ぶ子や、寝る時間になっても寝たくないと起き上がろうとする子もいます。

 子供たちのお昼寝中、保育士は園に必要な資料を作るのですが、みんなが同じ時間に寝て同じ時間に起きてくれるはずもありません。寝つけない子が寝ている子を起こしてしまうなどして、資料作りに集中する時間が取れないまま、一日が終わってしまうこともしばしばです。

 最近では通常保育以外のアクティビティも充実しているため、午後には英会話や体操の時間もあります。保育士も一緒に英語を覚えたり、体操中は子どもたちが集中できるようサポートしたり。夕刻、帰りの時間が近づくころには、一日の疲れや寂しさからか、園児たちの気性も荒くなりがちなんです。

 子供たちは無条件にかわいいのが救いとはいえ、大変なものはやはり大変。毎日作成する資料は監査でチェックされるため手を抜けないし、何より、子どもたちの成長記録なので正確に記さなくてはなりません。加えて、毎月の行事のための制作物もあるのです。まさに、息をつく間もありません。

 私は保育園の先生としてめまぐるしい日々を過ごしながら、積極的に子供たちと向き合ってきました。同時に、保育園の仕事がいかに重労働で、かつ大きな責任を伴うかを身をもって経験しました。

 保育士さんの退職が増えている理由はいろいろありますが、私自身、過重労働が原因で体を壊してしまったので、ある意味では当事者でもあります。

 それでも、子供たちと触れ合い、成長を共にできる時間は何よりも尊く意味があるものです。近ごろは、あらゆる仕事がAI=人工知能に置き換えられる、なんていわれていますが、AIでは絶対に代わりがきかない、人間にしかできない職業が「保育士」だと私は思うのです。

 退職問題がクローズアップされがちですが、どんなに大変でも情熱を持って、日々仕事に取り組んでいる保育士さんはたくさんいます。私は彼らを心から応援したいと思っています。

 さて、そんな保育士さんたちの熱い思い、プレゼンテーションを聞ける場があることを皆さんはご存じでしょうか? 毎年開催されている「保育ドリームプラン・プレゼンテーション」。通称“保育ドリプラ”です。

 第5回目となる今年は、保育にかかわわる5人のプレゼンターが今の保育業界に必要だと思うことや夢を語ってくれます。保育士の退職が相次ぐ時代だからこそ、保育士さんたちがどんな気持ちで子供たちと向き合っているか、向き合いたいと思っているのかを一緒に考え、学べるいい機会になると思います。

 次回は、このイベントをリポートさせていただきますので、楽しみにしていてくださいね。

■保育ドリームプラン・プレゼンテーション2019
日時:2月3日(日)
場所:宮地楽器 小金井ホール
詳細は、https://www.hoiku-drepla.net/

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「写ルンです」が流行る若者のレトロブームは、何を写しているのか
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
寂しがる親との距離感、よい解決策は?大人になるほど複雑に
 みなさんは、親との距離感って考えながら付き合っていますか? ベタベタしすぎず、ドライすぎず、お互いを尊重し合えるのが理...
親ガチャにハズレた! 5つの苦い思い出とそこから一歩を踏み出す方法
 生まれる時、私たちは親を選べません。どんな親のもとに生まれるかは、ガチャガチャのごとく運次第。  大人になるにつれ「...
何が起こった? 街にあふれる人に少し違和感を抱いて
 いつも、穏やかな参道にただようちょっと物々しい雰囲気。  何があったかは分からないけど、思わずカメラを構えた。 ...
40女開運が気になるお年頃!金運UP「雑誌付録の財布」どう活用する?
 今回ご紹介する雑誌付録は、人気キャラ「マムアン」のインテリアBOXとフォーチュンアドバイザー・イヴルルド遙華さん監修の...
キッチンに馴染む 無印良品の「真っ白な消火器」買いました
 突然冷え込んで、一気に冬っぽくなってきました。この時期になると我が家の近所では見回りの小さな消防車が「カンカン」と音を...
ニャルソック発動中!カメラバックに夢中な“たまたま”の後姿
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
花にも高温の後遺症!パンジービオラ「茎がビローン」をバッサリde解消
 いきなりの寒さです。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、まぁまぁ暖地の神奈川にございますが、ここにきて例年通りの...
モテないのは「太ったから」ってさぁ 女友達の素直すぎるLINEにグサッ
 自分にも人にも素直な人は魅力的ですよね。言葉に計算や嫌味が隠れていないため、付き合いやすく感じるはずです。 ...
なぜ独身女性は性格に難ありと思われるの? “訳あり女”回避に大事なこと
「いいトシして独身の女性は性格に難あり」なんて言葉を聞くことがありますよね。独身の女性は「私も周りからそんな風に思われて...
すべてはそこから 人も食べ物も「相手を知る」と好きになる
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
子供も自分も波風立てずに守りたい! モンペア級要注意ママ友の見分け方
 子育て中はママ友との付き合いは少なからず避けられません。もちろん、気の合う人もいるでしょうが、中には要注意人物やモンス...
発達障害疑惑の長男が知能テストで高得点…医師の診断に母の心は晴れない
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
戦いごっこの兄弟を激写!純白のツー“たまたま”はまさにお宝
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
マウント地獄は住んでから…ゴミ捨て顔作りは当然!タワマン住民あるある
 華やかなイメージのあるタワマン生活。誰よりも高い場所から街の景色を見下ろせるのだから、とてもいい気分だろうなと想像して...
生活感がない世界が一閃切り開かれる瞬間をみた
 生活感がない世界が一閃切り開かれるよう。  巨大な建築物と、血管のように張り巡らされた路線と、時間に正確な鉄道と...