民藝って? 井浦新にナビしてもらう幸福♡ 2021.11.10(水)

コクハク編集部
更新日:2021-11-10 06:00
投稿日:2021-11-10 06:00

「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」に行ってみた

 今年の抱負は?

 達成できたためしはこれっぽっちもないのに、新年になると懲りずに掲げるのは一体なぜでしょうか。私事で恐縮ですが、ここ9年ほど「一年365日、ていねいな暮らし」を目標としていますが、案の定、実現できず、2021年も残り2カ月足らずとなりました。。

 そんな“学びのない者”の荒みがちな心を癒し、寄り添ってくれるのが「民藝」だったりします。もっか、民藝運動の父とも呼ばれる柳宗悦(やなぎ むねよし)の没後60年を記念した「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」が東京国立近代美術館(千代田区)で開催されており、急行してまいりました。

「民藝(民衆的工藝)」ってなんですか?

 民藝とは平凡で当たり前に使う品に「美」を見出す思想のこと。民藝ということばを生み出した柳らは、民衆が日々の生活に必要とする品の美しさこそが美の本流ではないのかという考えのもと、ほれ込んだ各地の民藝品を多くの人々に伝える活動をしていました。すばらしい!

 その活動は今からおよそ100年前、1920年代(大正時代)に始まりました。この企画展では、宗教哲学の思想家だった柳宗悦が文芸誌「白樺」の同人となり、濱田庄司や河井寛次郎ら“粋な仲間”と日本全国を回り、その土地土地に根ざして生きる無名の人々の手でつくられた仕事を讃え、紹介していくさまを時系列で追っているわけですが。これがまた民藝の歴史的な変化と社会との関係が貴重な品々とともに解説されていて、とても分かりやすい。

 琴線に触れるものやコトは観る人によって異なりますが、筆者は仕事柄からか、第四章の「民藝は『編集』する」というコーナーに強く感銘を受けました。柳らは民藝運動の機関誌として創刊された「工藝」を発刊し、各地の工芸品を紹介していきます。そして彼らはそれらを身に付け、“歩く広告塔”としても注目を浴びていたそう。いまでいうところのインフルエンサー? その発信力とアイデア、漲るパワーがガンガン伝わってきます。

ナビゲーターは俳優の井浦新さん!

 美術館や博物館などでは音声ガイドも楽しみのひとつですが、同企画展のナビゲーターは俳優の井浦新さん。吉高由里子さん主演の話題作「最愛」では弁護士役を演じ、持ち前の演技力をいかんなく発揮されていますが、美術や歴史に大変造詣が深いかたでもありますよね。Eテレ「日曜美術館」のキャスターを長らく務め、「じゅん散歩」にゲスト出演した際には子どものように目を輝かせながら、はにわの魅力について力説する姿はチョーかわいらしかった(笑)。

 そんな井浦さんのナビに導かれるように鑑賞すると理解が深まり、より多くの知識が得られるかと。ここはぜひ音声ガイド(600円)を借りて、井浦さんに“教えてもらいながら”鑑賞することをオススメいたします。

 平日午後に訪れたのですが、感染対策で入場規制がなされていることもあり、過度な人混みはなく、2時間かけてゆっくりと回れました。が、気が付けば閉館の15分前……。同時開催の「MOMATコレクション」も同観覧料(一般1800円)で鑑賞することができたのに、あえなく“タイムオ―バー”となってしまいました。残念!

鑑賞後はお買い物タイム♡

 それでも駆け足で特設のポップアップストアをチェックし、小ぶりなロックグラスを購入しました。

 美術館の外に出ると、あたりはすっかり真っ暗。お堀に沿って有楽町方面まで散歩しながら帰ったのですが、ひんやりとした夜風がまあなんとも心地よく。

 そして懲りずに、2022年の元旦には少しずつ集めている民藝品に囲まれ、「一年365日、ていねいな暮らし」を抱負に掲げちゃったりするんだろうなあ、ワタシよ……(苦笑)。

 同企画展の会期は22年2月23日まで。ご興味のあるかたは足を運んでみてはいかがでしょうか。空気の澄んだ季節、天気のいい日は皇居付近のお散歩もセットでどうぞ。

(編集O)

東京国立近代美術館
address:東京都千代田区北の丸公園3-1

※「柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年」特設サイトはこちら

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

ライフスタイル 新着一覧


手のぬくもりとともに
 自然と手を合わせるときの気持ちって、  みんな、おんなじだよね。
実りの秋! 澄みわたる青空の下“たまたま”狩りに出かけませんか?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
女と水がいっぱいだ…『娑婆』は何て読む? ヒント:「娑婆はいいな」
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり癒し漫画/第83回「迷いインコ歌をうたう 前編」
【連載第83回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
中目黒「ダコー」はまだ大混雑? 代官山「無印良品」新店はオサレな店員さんだらけだった!【秋の東京散歩】
 8月のオープン時には話題を呼び、大行列をなしていた中目黒のパン屋「ダコー(dacō)」。あれから2カ月が経ち、やっぱり...
下世話な仕事がバレた? 夫や息子の「意外な反応」で主婦が気づいたこと
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
地味な女に負けた? 夢を諦めた“こたつライター”の「プライド」が砕かれるまで
 大崎の高層マンションに暮らす華は、テレビ局に勤める夫・大輔と二人の子供に囲まれ悠々自適な専業主婦生活を送っている。毎日...
私の「仕事」は夫に内緒。専業主婦が下世話なゴシップにのめり込むワケ
 夫を仕事に、ふたりの息子を小学校に送り出してからが、自分の時間だ。  長時間かけて丁寧に淹れたブルーマウンテンを...
プロ作家・村上龍先生をリスペクト。64歳のプロ童貞が語る「自己啓発本を好きなこれだけの理由」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
「#男児ママ」トレンド入り 小学校低学年の息子が大浴場で誰かに触れて問題になったら?【弁護士解説】
 9月末、X(旧ツイッター)で「男児ママ」がトレンド入り。これは男児を銭湯や温泉、または女子トイレに連れてくる男児の母親...
え、これだけで? 爆速で人と仲良くなれる「超簡単」なテクニック
 みなさんは距離を縮めたい人にはどんな風に接していますか? 私はミリ単位でジリジリ近づくことが多いのですが、スナックでの...
ボサ髪にギョッ! 100均ヘアグッズで「ちゃんとした女」に変身できる?
 写真や動画を見返した時、自分の髪がボサボサすぎてギョッとしました。「いい加減ヘアセットくらいしようよ」と出かける前の自...
最近の小学校で教わる「ふわふわ言葉」って何? 大人こそ大切にしたい心地よい言葉6選
 皆さんは「ふわふわ言葉」を知っていますか? 最近の小学校の教育現場で教材になっている、子供だけでなく大人こそ改めて大切...
プー太郎君の「ほよよ顔」に癒される~♡ 猫カフェで至福のひと時
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「リンドウ(竜胆)は仏花」と決めつけるのはもったいない! “花が咲くリンドウ”を楽しんで
 日中は冷房、夜は毛布をかけて寝る不思議な時期です。これを秋と呼んでいいのかは迷いますが、季節の移ろいを感じる今日この頃...
「あー家が狭い!」4つのイライラ解消法。プチ優雅な暮らしを諦めない
 家が狭いとイライラしてストレスが溜まりますよね。物にあふれた部屋を見るだけで、どっと疲れが押し寄せてきます…。でも、ち...