魂が“ナチュラル”を求める毎日でございます
ワタクシ、お花屋さんという仕事柄、毎日お花に触っております。
それこそ「ぎゃー!」と叫びたくなるほどの花束も毎日、たくさんお作りしていますが、それでも何気ない野辺の花を摘んで束ねたくなる衝動に駆られます。
初夏の今、カントリー風情たっぷりの立地に構えた我がお花屋さんの周りには、野生の花というか雑草(?)というか、我らが猫店長「さぶ」のパトロールエリアにもワイルドな草花が旺盛に生えており、仕事に疲れるとボーっとワイルドにもほどがある草花を眺めに一旦、避難いたします。
そんな魂の癒しとなる「ナチュラルな草花ブーケ」に欠かせないアノお花。個性的な花姿でありながら、でしゃばらずに全体のまとめ役と風情出しの役割をきっちり務めてくれます。
風にゆ~らゆらと揺れて可愛らしいアノお花とは一体……。今回は「個性派だけど、主張度低めなの♡ スカビオサ」の解説でございます。
スカビオサってなんですか?
スカビオサは、花の真ん中がこんもりと盛り上がり、フリルのような花弁の縁取りが可愛らしい、南ヨーロッパ等が原産地のお花でございます。
切り花はもちろん、園芸品種としても人気で種類も豊富。多彩な花姿で楽しませてくれ、開花時期は1月~6月、9月~10月頃。花色は自然界には珍しい紫や青、水色などが定番ではありますが、白やピンク、赤など青系とは違う印象で、風情がある佇まいと品種により変わる繊細な顔が人気でございます。
スカビオサは「西洋松虫草」という別名でも知られており、日本にも秋の高原に咲く「松虫草」というスカビオサの仲間が自生しております。
名前の由来は諸説ございますが、コオロギによく似た松虫が鳴く秋頃になると咲き始めることから、「松虫草」と名付けられたといわれております。
また、スカビオサの仲間が皮膚病の一種「疥癬病」の薬として使われていた経緯から、ラテン語で疥癬の意「scabies(スカビエス)」が派生し、スカビオサとなったようですな。
日本と西洋で異なる「紫色」の意味
ギリシャ神話にも登場しており、医術に優れていた川の妖精・フィチアの生まれ変わりとしても知られております。薬草を取りに行った先で出会った羊飼いに一目惚れ。叶わぬ恋に苦しんで死んじゃいますが、慎ましく美しいスカビオサに生まれ変わるという……鋼鉄女のワタクシには全く理解不能なお話でございます(苦笑)。
スカビオサは高い山や高原に多く自生し、風にゆらゆら揺れながら群れて咲くさまはなんとも可憐で可愛らしく、花の色にしては珍しい紫色などが特徴です。
紫は日本では高貴な色とされておりますが、西洋では悲しみの色。特にスカビオサは紫色やブルーの印象が強いせいか、未亡人に贈られる花やお悔やみの花として知られているため、花言葉も「未亡人」「悲哀の心」「不幸な恋」など悲しいワードが並びます。
その一方で、スカビオサの大きな特徴でもある風情のある咲姿を彷彿とさせるような「魅力」「風情」という花言葉もあるのが、スカビオサなのでございます。
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