「授乳するの気持ち悪い」と落ち込んだ日 2022.11.25(金)

コクハク編集部
更新日:2022-11-25 06:00
投稿日:2022-11-25 06:00

「気持ち悪い」これって母親失格?

 そうこうしているうちに、「コット」と呼ばれる透明のプラスチックでできた新生児を入れたベッドが私の病室にやってきました。

 まだ目をつぶっていて、肌は赤くてしわくちゃ、抱っこしてもふにゃふにゃで、なんだか頼りない存在に見えるけど、ポットで沸かしたお湯で溶かして人肌に冷ました粉ミルクを口に持っていくと、予想に反して吸いつく力は強く、目をつぶったまま「んぐっ! んぐっ!」と喉を鳴らしながら飲むんです。

 そんな様子を見て、母乳指導で習った通りに授乳をしてみることにしました。入院着の前を開けて赤ちゃんを抱き寄せ、口元を乳首のところに持っていくと……吸いついた!

 先ほどまでの哺乳瓶の感触と違うことに戸惑っているように見える赤ちゃん。ちゃんと飲めていないのか、さらに深く吸いついてきて痛いっ! そして、この感触、ちょっと……というか、かなり気持ち悪いんだけど……。

 背中を冷や汗が伝うような、全身の毛が逆立つような、今までに感じたことのない不快感。

 10カ月ものあいだ、お腹の中で育てて、数日前に産んだ子が必死におっぱいに吸いついているのに、それを反射的に「気持ち悪い」と感じてしまった自分は母親失格で、これから始まる育児もうまくいかないんじゃないか? という思いが頭をよぎりました。

産後の回らない頭で考えたこと

 赤ちゃんがまた寝入ったので、産後の回らない頭で、改めて授乳を続けるメリットとデメリットについて考えました。

 自分の中の嫌悪感に気付いてしまった今、このまま嫌な気持ちを引きずりながら授乳を続けて、新生児期の思い出が「嫌だった、やりたくなかった」という記憶になってしまうのは避けたい。
 
 一方で、出産2日目から5日目ごろまで分泌される「初乳」は栄養価が高く、生まれたばかりの赤ちゃんを守る免疫成分も豊富と聞いていたので、できればこの期間だけでもあげたい。

 期間限定であれば取り組めるかもしれないと思い、この2つの理由を夫にLINEで説明して、初乳期間が終わったらすぐに授乳をやめるつもりでいることを伝えました。

 母乳指導を担当してくれた助産師さんには伝えることができませんでした。せっかく色々と熱心に教えてもらったのにと、なんだか申し訳ない気持ちがあったからです。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


仕事一筋の私が『対岸の家事』詩穂に共感した理由。くだらない「専業主婦vsワーママ」対立してる場合じゃない
 多部未華子さん主演のドラマ『対岸の家事』が6月3日に最終回を迎えた。毎回放送されるたびに話題になり、SNSを中心に視聴...
ストゼロでも消えない死への恐怖。介護に離婚…友人それぞれが歩む人生に救われた夜。人が最後に行きつく先は
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
48歳、乳がん検診の「要精密検査」に衝撃。独居暮らし男の孤独死に重なる…誰にも看取られない恐怖
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
40代は“知人の訃報”がくる年齢だ。憎んだ男の「死亡通知書」で20年ぶりに集う同級生、独身の私はどう映る?
 板チョコのような重い扉を百恵が開けると、真っ赤な口紅を施したママさんがいつものように明るく出迎えてくれた。 「い...
「20年モノのフライパン」がかっこいい? 貧乏戦線に異状あり!
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
お酒の席の“あのルール”に物申したい! グラスに注ぐベストタイミングは…
 働く側としても、お客さんとしても大好きなスナック。今後も良いところをどんどん書いていければと思っているのですが、今回は...
若者が『めおと日和』の“昭和な恋愛”に胸キュンするのは何故? タイパ重視じゃないもどかしさ
 アラフィフ独女ライターのmirae.です。前回のコラムでは、「50代の恋愛にときめきは必要なのか?」というテーマについ...
婚活に介護…もう頑張れない。アラフォー女性が抱えがちな問題、6つのケースを聞いた
 今回ご紹介するのは、アラフォー女性の悲鳴。「もう頑張れない」と思っていることを教えてもらいました。同じ悩みを抱えている...
怒った中年の顔は「ブス」だと知った。更年期世代がイラついた時にするべき大事なアレ
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ゴロンする一瞬♡ 奇跡のモフモフ“にゃんたま”とプニプニ頬っぺが尊すぎる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「現金がよかった」ってそりゃないよ~!『母の日』のガッカリエピソード
 日頃の感謝を伝えるために贈った母の日のプレゼント。なのに微妙〜な反応をされたら悲しいですよね。今回はそんな“母の日のガ...
女性の「理想の顔」ランキングが発表。石原さとみや新垣結衣を抜いた第1位は、上品なイメージのあの女優!
 もしも憧れの芸能人の顔に近づけるとしたら……あなたは誰を「理想」だと感じますか?
好きならやってよ…って、それ「やりがい搾取」されてない? 職場で警戒したい言葉5つ
 ここ数年でよく見聞きするようになった「やりがい搾取」。仕事や日常生活で相手のやる気を利用して低賃金で働かせるような言動...
ぷにぷに肉球が愛おしい♡ 青空に映える癒しの“にゃんたま”爆弾
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第98回「先日のお礼です!パワー!」
【連載第98回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【11万いいね】横澤夏子の“ママチャリ”写真がリアルすぎ!「うちの保育園にいそう」「ママ友になりたい」と共感の嵐
 こんな人、いるいる〜!と共感せずにはいられない「ちょっとイラっとくる女」ネタでブレイクして以来、テレビで大活躍のお笑い...