能町みね子は思う 愛猫の小町は「血のつながった我が子」

コクハク編集部
更新日:2023-03-04 06:00
投稿日:2023-03-04 06:00

 私は、もう一生、海外旅行には行けないかもしれない。うちで、かわいいかわいい猫の「小町」が待っているからです。──そうは言っても、3泊くらいの国内出張であれば出かけて行きます。ただ、その間毎日、同居人に小町の写真を送ってもらわなければ居ても立っても居られません。

 かつては起床したらなるべく早く家を出て、深夜まで帰ることのなかった私が、「小町が待ってる、さみしがってきっと泣いてる、悪いから早く帰らなきゃ」と考えるようになりました。仕方ない。だって自分が産んだ子なのですもの。

私は「妖怪猫ババア」に成長

 そう、私は小町を「産んだ」と思っています。生物学的にゆがんでいようが、小町は私の「血のつながった我が子」なのです。私は小町によって一皮むけ、完全な「妖怪猫ババア」に成長したのです。

 とにかく、小町はかわいい。うちの猫だからかわいいんじゃなくて、客観的に世界一かわいい猫が、たまたま私のところに来たんですよ。

 人が小町を見て「かわいいですね」と言ってくれるけれど、どれだけ褒められても謙遜はできません。だって、本当にかわいいのですから。

 そして小町はよくしゃべります。それも、「にゃ~」「あ~お」なんてもんじゃない。単語だけじゃなくて、2語文をしゃべるんです。「ニャ、ニョ。」って、ね。「ニャ」と言った後、半拍あけて「、」を入れ、それから「ニョ。」って言うんです。もちろん会話が成立します。

 そこで私は小町に聞きます。「こまにゃんは将来、何になりたいの?」。すると小町は答えます。「ニャ」とか「ニャー」とか。ね、かわいいでしょう?

 本当に困ったもんだ。小町について「かわいい」以外に言うことがありません。「小町以前」は武闘派だった私のSNSも、いまや猫のことばかり。人はかわいい猫を前にすると、語彙の9割と知性が奪われます。

 それにしても、小町のことを考え「こまにゃん」と呼ぶだけで、びりびりとしびれるほどの快感が。私の愛の出口は、猫のもとにあったんですね。

▽能町みね子 (のうまち・みねこ) 文筆家・自称漫画家。著書に、猫と暮らす以前からのことをつづった「私みたいな者に飼われて猫は幸せなんだろうか?」、恋愛感情抜きでサムソン高橋と暮らすに至るまでをつづった「結婚の奴」、幼少期の自身をなぞらえた私小説「私以外みんな不潔」など。猫インスタ:@komachinomachi

(日刊ゲンダイ臨時特別号「日刊ニャンダイ2023」記事を再編集)

※「日刊ニャンダイ2023」はAmazonでも好評発売中!コチラからご購入いただけます!

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


業界人「あの子、お気に入り枠だから」の噂。芸能界に渦巻くタレント達の“自尊心と屈辱”のはざま
「この子、社長のお気に入りだから」  そういう一言を、私は何度となく耳にしてきた。現場に漂う空気は一瞬で変わる。誰...
ストレスとは「心のコップ」がたまること…自分からのSOSに気付く意外なヒント【専門家監修】
 2012年に59歳で亡くなったロック歌手・桑名正博さんとアン・ルイス(68)の長男でミュージシャンの美勇士さんや、タレ...
公園でのケガも学校のせい! ラスボス級“モンスター保護者”のヤバすぎる行動6選
 学校などに対し、自己中心的な要求をしたり理不尽に怒鳴り込みに行ったりするモンスターペアレント。そんな保護者に悩み、現場...
“イケにゃん”の貴重な大胆ポーズ♡ テレビ番組に夢中なプリンスの休日
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
部下の妻に恋をして…不適切な関係に焦がれた男の末路。色恋沙汰のスキャンダルの恐ろしさ
 職場や近所、SNS界隈に現れる「残念な人」、いますよね。実は今から約2000年前から現在に伝わる「聖書」にも「残念な人...
昼寝中の我が子がいない! 育児の恐怖体験エピソード。前世の記憶にゾッ…
 今回は、育児の恐怖体験エピソードを集めてみました。これらは誰にでも起こり得る出来事。育児真っ最中の方はぜひ参考にしてく...
【漢字探し】「嫁(ヨメ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
“クレクレ”ママがご降臨! 金持ちなのに「ランドセルもらえない?」って引くわ…ケチすぎLINE3選
 今回ご紹介するのは「ケチだな」と思ったLINE。ケチなのか、ケチではなくフェアなのか、人それぞれ基準は異なりますが、あ...
それ入れちゃう!?  我が家の「かさ増し食材」を大公開。節約×ダイエットにもベストな10選
 メニューの定番の食材を、別の食材で「かさ増し」させたことはありますか? 食費の節約、栄養バランスの調整、ダイエットなど...
「じゃ、誕プレとデート代返して」ってケチすぎない!? 相手の“本性”に幻滅したLINE3選
 あなたが信頼している彼氏や親友は、別の顔を持っているかもしれません。  もしも、そんな相手の本性を目の当たりにし...
「大金に手が震えた」若手芸人が打ち明ける“営業”の実態…VIP相手の席で抱いた違和感の行方
 世間を揺るがす芸能界の黒い噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われている芸...
推し活ロス、将来の不安…独女にこそ「サウナ」を勧めたい。暑苦しい場所が“居場所”に変わった理由
 外出もままならず、仕事も減り、推しにも会えない――そんなコロナ禍の真っ只中、アラフィフ独女の私が偶然出会ったのが「サウ...
媚びない女は憧れる女性へ、スナックママが「一匹狼を目指すな」と伝える真意
 スナックのママといえば、たいがい激動の人生を歩んできたことが多く、その会話は含蓄に富んだものばかり。  今回はつ...
換毛期が来る~! 愛するペットと飼い主のサバイバル術。ガチで“使える”のはコロコロだけじゃない
 春と秋。年2回の犬や猫の換毛期…飼い主は抜け毛に悩まされる時期です。いくら掃除をしても追いつかず、頭を抱えてしまう飼い...
洗練されすぎぃ! モデル級“イケにゃん”のクールな佇まいにズームイン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
その手があったか! 正直しんどい「オンライン飲み会」、 賢いオトナの“断りテクニック”7選
 コロナ禍、スタンダードになったオンライン飲み会。家から気軽に参加できる分、誘いを断るハードルが高いと感じる人も多いはず...