スーパー店員から人妻探偵に転身!「壊し屋」なる依頼が #1

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2023-03-17 10:31
投稿日:2023-03-10 06:00

初めての“任務”は女性美容師の尾行

勤務先から帰宅するまで…(写真:iStock)
勤務先から帰宅するまで… (写真:iStock)

――出だしからいいスタートですね。続けてください。

「最初に与えられた任務は、ある女性美容師の尾行でした。あ、仕事じゃなくて任務っていうのが探偵になったんだなあって、嬉しくもあり、責任も感じましたね。

 ただ、ドラマのように依頼人と会うことはなく、社長から『明日、○○という住所に住んでいる《対象者Q》の女性を尾行し、勤務先から帰宅するまでの一連の流れをLINEで報告すること。その際、動画と静止画の盗撮画像も提出すること』と指示がありました。

 ターゲットの女性美容師の自宅をあらかじめ教えてもらい、彼女の玄関が見える位置に、バレないように小型カメラを設置するんです。外壁やガスメーターなどと同じ色のマスキングテープを貼って。

頑張れるのは社長のおかげ

自腹で高性能カメラを購入(写真:iStock)
自腹で高性能カメラを購入 (写真:iStock)

 そして、バッグの中にハンディカメラを忍ばせ、時おりスマホで彼女を撮影しながら尾行。私の洋服は目立たない黒やグレーのパンツスタイルが多いですね。

 尾行がバレないよう、時々、ヘアを一つに束ねたり、マスクの色を変えたりと結構気を遣いました。

 そうそう、カメラのアプリはシャッター音が鳴らない『無音アプリ』が便利です。これは自動的に日付も記されるので重宝します。

 このように尾行から始まった探偵業ですが、毎日が『失敗は許されない』と緊張の連続。尾行の際は対象者を見失わないよう、常に気を張っていなければいけませんし、長時間労働のうえ、自宅の入り口に設置したカメラを取り外す作業もあったりと、とにかく一日の歩行数、待ち伏せ時間、トイレさえも行けない過酷な労働です。

 何とか頑張れるのは、ひとえにA社長のおかげです。

 A社長は褒め上手で『新人なのにT子さんは頑張ってるな。その調子!』とか、私が自腹で高性能のハンディカメラを購入した際は『すごい意気込みだよ。君を雇って本当に良かった』と喜んでくれるので、私はますます気合を入れて仕事に励むようになったんです」

蒼井凜花
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官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
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