「らんまん」ウラの見所!小卒にも怯まない万太郎の「金色の道」に期待

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-04-14 16:30
投稿日:2023-04-14 16:30

NHK朝ドラ「らんまん」~第2週「キンセイラン」#7

 隣国のさるお方のせいで、13日8時からの地上波放送はお休み。翌日、第9話、第10話と2話続けて放送することに。私も含め、1日の始まりに朝ドラ視聴をルーティンとしている人は、朝ドラのない朝がいかに寂しいものか実感したのではないでしょうか。

 学問所「名教館」に通い始めて3年。万太郎(小林優仁)も12歳になりました。学問、特に語学では万太郎の右に出る者はいない、と一目置かれる存在になっています。

武家のボスといつの間にか仲良しに

 ところが新政府により、身分の関係なく誰もが学べる小学校が開講されるため、学問所は廃止に。万太郎の師、池田蘭光(寺脇康文)も佐川を離れることとなり、万太郎と佑一郎(岩田琉生)を連れて最後の課外授業をする蘭光。佑一郎といえば、入学初日、万太郎に“かわいがり”をした武家の子のボス的存在でした。

 その2人がいつの間に仲良くなったのか。そのあたりは描かれませんでしたが、佑一郎とはのちに再会するわけで、その際に、回想シーンとして描かれるのではないか、と期待。ちなみに、大人になった佑一郎を演じるのは中村蒼です。

 いよいよ小学校開校。女性も学べるようになり、姉・綾(高橋真彩)とともに小学校に通う万太郎。「いろはにほへと……」などという授業に満足するわけもなく、教室の前に貼っていた植物図を外して写生し出します。

勉学はどこでも続けられる

 植物の世界に浸る万太郎を教師が叱咤。「わからないことがあれば質問しろ」と言う教師に、流暢な英語で、「ここは退屈、もっと学問がしたい」と訴えます。「今、辞めると小卒だになってしまう。せめて小学校は卒業したほうがいいよ」と助言するも、「勉学はどこでも続けられる、わしの先生がそう教えてくださいましたき」と清々しく答えて、小学校を去った万太郎。

 いつもの神社の草花のふとんに寝っ転がり、植物の絵を眺め、次の瞬間、大人になった万太郎になりました。神木隆之介、志尊淳、いよいよ来週から登場します。

【本日のツボ】

「心が震える先に金色の道がある。その道を歩いて行ったらええ!」by池田蘭光

 課外授業の帰りにキンセイランを見つけた万太郎。「おまんはキンセイラン? 金色にも見える花の色。ゾクッときたき」と話し掛ける万太郎に、池田蘭光が贈った言葉。小学校を自主退学した万太郎が「先生、わしの金色の道はどこじゃろか」と、どこかにいるであろう蘭光に向かって話し掛けていましたが、いよいよ「金色の道」を歩く万太郎の冒険のはじまりはじまり~。

 12歳の万太郎を演じた小林優仁くんは、大河ドラマ「青天を衝け」で、渋沢栄一の幼少期も演じていました。黒目がちな瞳が印象的です。

 英語の台詞もパーフェクト。それにしても、当時、英語を学んだとしても、読むのはともかく、発音はもっとカタカナ訛りになるのでは、と思ったり。これまで数々の幕末ドラマでそのような英語を聞いたような……。「名教館」には優秀な英語教師がいたのかもしれません・ジョン万次郎とか!?

 1週、2週とチビ万太郎くん大活躍でした。昨今の朝ドラは子役時代がピークだった作品もいくつかあったので、ドキドキの週末です。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


ラランド・サーヤは「名誉男性」なのか? お笑い界の“女すぎる”という悪口に思うこと
 ラランド・サーヤが参加するバンド「礼賛」が大阪で行ったライブで、痴漢行為が発生。被害女性がSNSで被害を訴えたことで発...
帽子田 2025-04-20 06:00 エンタメ
「あんぱん」松嶋菜々子の“毒”さえチャーミングにする厄介な美しさ。ドキンちゃんにも見えてしまった
 8年間音沙汰のなかった登美子(松嶋菜々子)が突然帰ってくる。登美子に対してわだかまりが残ってはいるものの、自分の漫画を...
桧山珠美 2025-04-19 06:00 エンタメ
「あんぱん」登美子(松嶋菜々子)の登場が不穏…色っぽいけど。貴島中尉(市川知宏)は“あのキャラ”を意識?
 新聞社に出した漫画で賞金をもらい、ご機嫌の嵩(北村匠海)。一方のぶ(今田美桜)は、パン食い競走で転びそうになったところ...
桧山珠美 2025-04-17 16:02 エンタメ
カトパンへの嫌味に物議…新井恵理那は承認欲求のカタマリか、悪役を演じる聖人か?
 昨年3月、8年間出演して総合司会も務めていたテレビ朝日系の朝の情報番組『グッド!モーニング』を降板したフリーアナウンサ...
堺屋大地 2025-04-17 06:00 エンタメ
【募集】春ドラマ何見る? 面白かった&ガッカリを教えて!『最後から二番目の恋』『あんぱん』etc
 コクハクでは2025年春ドラマを対象としたアンケートを実施します。4月よりスタートした春ドラマ、「期待している」「面白...
笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー
“この村では、人が喰われているらしい……”    2022年の年末にディズニープラス スターにて独占配信がスタートす...
望月ふみ 2025-04-15 06:00 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)の“ジェラシー”がなんとも可愛い! 寛(竹野内豊)の診察シーンが見たかった
 昭和10年、高等女学校の5年生になったのぶ(今田美桜)は、ある日、貴島中尉(市川知宏)と再会。祭りのパン食い競走で使う...
桧山珠美 2025-04-14 19:03 エンタメ
15分の朝ドラで高揚感を得られるんだ! のぶ&嵩の“子役最終回”が見せた未来の夫婦関係
 久しぶりに登美子(松嶋菜々子)の顔を見て胸がいっぱいになる嵩(木村優来)だったが、登美子は困惑した表情を浮かべる。のぶ...
桧山珠美 2025-04-12 06:00 エンタメ
旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ