金継ぎは習うべきか、独学で突き進むべきか 2023.4.29(土)

コクハク編集部
更新日:2023-04-29 06:00
投稿日:2023-04-29 06:00

かたちあるものは壊れるのが常

「民藝運動の父」こと柳宗悦氏の著書に感銘を受け、陶器をちょこちょこ集めるように。大好きなセブンイレブンのお惣菜も、お気に入りの器に移し替えれば、おいしさ“ましまし”ですが、かたちあるものは壊れるのが常。どんなに注意しながら使っていても、割れたり、欠けたりするんですよね……。

人生初の金継ぎ講習会に参加

 そのたびに金継ぎに最低限必要な材料などもついた「はじめての金継ぎBOOK」(光文社)を参考にしながら見よう見まねの自己流でなんとか直して復活させてきたのですが……。ド派手にやらかしてしまった器を前に、さすがに自分だけでは無理じゃね? と、弱気になり、以前から興味のあった金継ぎのワークショップに参加することにしました。

 申し込んだのは「うつわ 御結」(東京・南青山)さんのギャラリーで行われている、日本金継ぎ協会監修の「プロに学ぶ現代風金継ぎ体験と和食器講座」。2時間半のコースで、料金は8800円(税込み、道具使用料や材料費、お茶・菓子代など含む)です。

金継ぎってなあに?

 金継ぎど素人が、大胆に割れた器の修復をたった2時間半で行うのは無謀ともいえますが、講師のかたの「がんばってみますか」の優しいお言葉に甘え、なかば強引にトライしてきました(苦笑)。

 金継ぎは、うるしの木の樹液を使って、壊れた器を修理する日本独自の古来からの伝統技法のこと。起源でいえば、縄文時代から行われているとか!

 表面の塗装には「金粉(または他の金属粉)」でお化粧を施しますが、その前のくっつけたり、埋めたりするのは、「伝統的金継ぎ」や「簡漆(かんしつ)金継ぎ」と呼ばれる2種類の手法があります。

 ただし、いずれもど素人には到底無理。ワークショップでは、合成接着剤や合成うるし(新うるし)を使った「簡易(簡単)金継ぎ」を教えていただきます(「はじめての金継ぎBOOK」を片手に自己流で挑んだ金継ぎも簡易金継ぎです)。

ど素人の金継ぎ“実況中継”

「欠け」「割れ」「ひび」の“症状”の中で、大胆に「割れ」てしまった平皿。

 修復のざっくりとした流れは、割れた部分の器の断面すべてをやすりで削って、接着剤をつけて、マスキングテープで仮止めして、欠けている部分にパテで埋めて、はみ出した接着剤をペーパーのやすりで研いで、新うるしと金属粉をブレンドしたものでつなぎ目をなぞるようにメイクしていく……といった工程を踏むのですが、集中すると楽しくて。

 講師の方にフォローしてもらいながら、徐々に直っていく器を見ていると、テンションが上がるあがる(笑)。

一辺ずつ、やすりをかけて

 まずは、すべての断面のエッジをやすります。なかなか根気のいる作業。

 マスキングテープの山、山、山。

 かなりざっくりとした説明ですが、「テレピン」で器の表面の油分をふき取り、2液性の接着剤を混ぜ、ヘラを使って断面に塗り、マスキングテープで固定して……。

 動かないよう裏側もしっかりと固定。大ケガしちゃったからね……。

ワークショップに参加して実感したこと

 講習時間をオーバーし(申し訳ありませんでした……)、なんとか完成までこぎつけました。

 まねごとで金継ぎにトライしてきましたが、実感したのは、一度はこうしたワークショップに参加し助言を仰ぐのはいいな、ということ。

 金継ぎキットのついた本やYouTubeの動画など、金継ぎにまつわる情報は手軽かつ気軽に収集できますが、間近で見て触れて体験してわかることがあるのも事実。ワークショップでゲットした情報や知識などをもとに、おさらいを兼ねて自宅で“ひとり金継ぎ”を行い、また頃合いを見て、ワークショップに参加し、ブラッシュアップしていくのはアリだなと思っています。

 どれだけ、器を割るつもりなのかって? かたちあるものは壊れるのが常だもの。

(編集O)

「プロに学ぶ現代風金継ぎ体験と和食器講座」の詳細はこちら

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


婚活疲れの最終手段、 “地方移住”は希望だったのに…女性が見た厳しい現実「介護要員は嫌」と嘆き
 このまま婚活や恋活をしていてもいい人が見つからない……そう感じる女性は、別の方向性を模索します。特にアラフィフは焦るあ...
すみません、汚れがごっそり取れました!「100均お掃除グッズ」でベランダすっきり大作戦、スタート♪
 ようやく涼しくなり網戸をして1日中窓を開けたくなる季節になりました。夏の間放置していたベランダを見て、思わずため息……...
“大人の社交場”ってなんだ? ホステスが「高級クラブも場末スナックも本質は同じ」と思うワケ
 大人のみなさんは“大人の社交場”という言葉に対してどんな印象をお持ちですか? 秘密の会合っぽい・リッチな雰囲気など、わ...
ヒィッ!私の生活が記録されていた…怖~い隣人エピソード5選。子どもへの詮索はなに?
 これからご紹介するのは“怖い隣人”の話。男女5人に、恐怖体験や悩んでいることを教えてもらいました。隣にどんな人が住んで...
これぞ「国宝ω」 “にゃんたま”に宿る聖なるパワー、みんなに届け~!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「あの人、闇ルートだよ」AD時代に聞いた芸能界のウラ事情。実力だけじゃ残れない“生々しい”駆け引き
 世間を揺るがす芸能界のさまざまな噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。現在は清浄化が行われて...
い、いらねえ! 謎の置物にチャイナ服…困った“ご当地土産”3選。「お土産何がいい」にはどう返すのが正解?
 友人やご近所さんからもらうお土産。もらって嬉しいものもある一方、「一体なんでこれを選んだの?」と思ってしまうような「い...
中年女の増えた「抜け毛」これも更年期のせい? いやしかし…美容師からの“言葉”に反省した秋
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
「私は親なんだから!」実母のワガママに限界…40代女性が心を守るために選んだ“思い切った決断”
 結婚をしてからも、実母との関係に悩む人は決して少なくないもの。「実の親子なのだから、分かり合えて当たり前」と思いがちで...
35歳すぎたら肌課金すべき? 美容部員が教える「正解スキンケア」。高級コスメとプチプラの“リアルな実力”
 35歳を過ぎてから、急激に容姿の衰えを感じるようになった筆者。SNSは数多のコスメ情報で溢れかえり、美容医療も治療法が...
ランチ6500円が普通だと…? 金銭感覚がおかしい衝撃LINE3選。240万稼いだってマジか
 あなたはどんな金銭感覚の持ち主に「おかしい」と感じるでしょうか? 金銭感覚の違いにより、相手との関係がこじれたり疎遠に...
「あの子、消されたらしいよ」“噂”が立った瞬間、表舞台には戻れない。芸能界に漂う“沈黙のルール”
 世間を揺るがす芸能界のさまざまな噂。ニュースとして報じられ、真実が明らかになることも増えました。  現在は清浄化...
仕事したくな~い! 連休明け、仕事中にこっそりやってる “現実逃避テク”7選。これでメンタル保ってます
 長い連休が終わった翌日の仕事…。朝からやる気が出ず、つい現実逃避したくなるものです。そんなとき、みんなはどんな方法で気...
もっと高く!ジャンピング“にゃんたま”を見よ。躍動感あふれる猫から目が離せない♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
親の介護、孤独死のニュースで実感…私が40代で「終活」を始めたリアルなきっかけ
「終活」というキーワードを聞いて、何歳から始めるものだと思いますか? 実は近年、特に健康に問題がなかったり、若年層であっ...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第104回「夢でもいいからアエルトイイナ」
【連載第104回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...