かたちあるものは壊れるのが常
「民藝運動の父」こと柳宗悦氏の著書に感銘を受け、陶器をちょこちょこ集めるように。大好きなセブンイレブンのお惣菜も、お気に入りの器に移し替えれば、おいしさ“ましまし”ですが、かたちあるものは壊れるのが常。どんなに注意しながら使っていても、割れたり、欠けたりするんですよね……。
人生初の金継ぎ講習会に参加
そのたびに金継ぎに最低限必要な材料などもついた「はじめての金継ぎBOOK」(光文社)を参考にしながら見よう見まねの自己流でなんとか直して復活させてきたのですが……。ド派手にやらかしてしまった器を前に、さすがに自分だけでは無理じゃね? と、弱気になり、以前から興味のあった金継ぎのワークショップに参加することにしました。
申し込んだのは「うつわ 御結」(東京・南青山)さんのギャラリーで行われている、日本金継ぎ協会監修の「プロに学ぶ現代風金継ぎ体験と和食器講座」。2時間半のコースで、料金は8800円(税込み、道具使用料や材料費、お茶・菓子代など含む)です。
金継ぎってなあに?
金継ぎど素人が、大胆に割れた器の修復をたった2時間半で行うのは無謀ともいえますが、講師のかたの「がんばってみますか」の優しいお言葉に甘え、なかば強引にトライしてきました(苦笑)。
金継ぎは、うるしの木の樹液を使って、壊れた器を修理する日本独自の古来からの伝統技法のこと。起源でいえば、縄文時代から行われているとか!
表面の塗装には「金粉(または他の金属粉)」でお化粧を施しますが、その前のくっつけたり、埋めたりするのは、「伝統的金継ぎ」や「簡漆(かんしつ)金継ぎ」と呼ばれる2種類の手法があります。
ただし、いずれもど素人には到底無理。ワークショップでは、合成接着剤や合成うるし(新うるし)を使った「簡易(簡単)金継ぎ」を教えていただきます(「はじめての金継ぎBOOK」を片手に自己流で挑んだ金継ぎも簡易金継ぎです)。
ど素人の金継ぎ“実況中継”
「欠け」「割れ」「ひび」の“症状”の中で、大胆に「割れ」てしまった平皿。
修復のざっくりとした流れは、割れた部分の器の断面すべてをやすりで削って、接着剤をつけて、マスキングテープで仮止めして、欠けている部分にパテで埋めて、はみ出した接着剤をペーパーのやすりで研いで、新うるしと金属粉をブレンドしたものでつなぎ目をなぞるようにメイクしていく……といった工程を踏むのですが、集中すると楽しくて。
講師の方にフォローしてもらいながら、徐々に直っていく器を見ていると、テンションが上がるあがる(笑)。
一辺ずつ、やすりをかけて
まずは、すべての断面のエッジをやすります。なかなか根気のいる作業。
マスキングテープの山、山、山。
かなりざっくりとした説明ですが、「テレピン」で器の表面の油分をふき取り、2液性の接着剤を混ぜ、ヘラを使って断面に塗り、マスキングテープで固定して……。
動かないよう裏側もしっかりと固定。大ケガしちゃったからね……。
ワークショップに参加して実感したこと
講習時間をオーバーし(申し訳ありませんでした……)、なんとか完成までこぎつけました。
まねごとで金継ぎにトライしてきましたが、実感したのは、一度はこうしたワークショップに参加し助言を仰ぐのはいいな、ということ。
金継ぎキットのついた本やYouTubeの動画など、金継ぎにまつわる情報は手軽かつ気軽に収集できますが、間近で見て触れて体験してわかることがあるのも事実。ワークショップでゲットした情報や知識などをもとに、おさらいを兼ねて自宅で“ひとり金継ぎ”を行い、また頃合いを見て、ワークショップに参加し、ブラッシュアップしていくのはアリだなと思っています。
どれだけ、器を割るつもりなのかって? かたちあるものは壊れるのが常だもの。
(編集O)
「プロに学ぶ現代風金継ぎ体験と和食器講座」の詳細はこちら
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