5人全員で退所し再スタートを切る選択
3人の脱退については海外挑戦についてジャニーズ現社長とのトラブル等が報じられているが、脱退発表から半年、事務所を取り巻く状況は創業者の性加害問題で大きく変わっている。社名や事務所そのものの存続すら危惧されるほどだ。
それならば、ジャニーズJr.内グループから全員退所しグループ名を改め、同じメンバーのまま活動している7ORDER(旧Love-tune)や、5月25日に全員退所し新天地で活動を続けると見られるIMPACTorsのように、キンプリも5人全員で退所し再スタートを切ることはできなかったのだろうか。
「初めて会った時と印象が違うメンバーは?」
3人が脱退する直前、5月19日に5人で最後の出演となった「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)で、神宮寺はMCのタモリ(77)に「初めて会った時と印象が違うメンバーは?」という問いを投げかけた。タモリは「(CDデビュー5年は)人間が一番変わるとき」で、「全員違うよ、やっぱり」と返した。
平野主導のもと「6人でデビューしたい」と直談判し願いを叶えたキンプリだったが、5年の歳月がそれぞれの目指す方向性を変えたのだろう。
平野は退所発表以降、テレビ誌などで“王子様路線は恥ずかしかった”、“退所後はやりたい仕事をしたい”といった主旨の本音を打ち明けている。退所日に投稿した最後のブログでは、キンプリから離れる寂しさを綴りつつ、「できないといわれたら仕方がない」とも記した。
一方、残る側となった永瀬は21年に日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞して以降、俳優業に重きを置いているように思える事務所でその後も連ドラ出演が続いている。現在もTBS系日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」に出演中だ。
また、幼少の頃からダンスエリートだった髙橋が事務所に残ったのは意外だったが、数々の人気ドラマに出演後、22年に「未来への10カウント」(テレ朝系)で事務所の大先輩・木村と共演。アイドル業と俳優業を長年両立した木村の存在は、彼の選択に少なからず影響を与えたのではないだろうか。
仲の良さ、結束力は最後まで
脱退組と残留組に分かれる形とはなったが、目指す方向性が違うだけで、その仲の良さは最後まで随所に垣間見られた。5月20日、「King & Princeる。」の最終回となったゴールデン2時間SPでの5人旅でも、はしゃぎあい、「一生忘れない」と誓い合った5人の絆は本物に見えた。
5人のキンプリとして最後の露出となった同日の「Venue101」(NHK総合)では、本格派アーティスト路線となったキンプリの代名詞「ichiban」で圧倒的成長を見せつけ、続いて原点である「シンデレラガール」を披露。
岩橋退所後も、5人は岩橋のポジションを空けて同曲を披露してきた。そのことに否定的なファンもいたが、岩橋を想う5人はそれを最後までやめなかった。
目に涙を浮かべ歌い切った「Beautiful Flower」
最後の歌唱曲となった「Beautiful Flower」は3人脱退発表後に発売されたベストアルバムで唯一の新曲で、5人からのファンへの想いが込められている。これまでたくさんの“最後”を経験してきた中でも気丈に振る舞い、一見やんちゃで負けん気が強く見える平野が、歌い出しから号泣した。
それにすぐ両隣の神宮寺と岸が気づき、肩に手をやったり微笑みかける。涙で歌えない平野に2人が歌を重ねフォローした。歌唱中、どのメンバーも目に涙を浮かべ、髙橋は顔を覆い涙を流していた。
泣き顔を見せないようにしばしば後ろを向く平野と、自身のパートを歌えず同じく後ろを向いた岸。最後のパート「ありがとう」を平野がなんとか歌い切り、5人並んで深々とお辞儀。永瀬は自身の両サイドにいる平野と岸の背中に手を添えた。
事務所で何があったか、本当のところは分からない。ただ、この5人ならそれぞれ自身の力で新しい道を切り拓いていくだろう。彼らに素晴らしい未来が待っていることを願ってやまない。
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