ジュリー社長“知らなかった”の代償…芸能界のハラスメント問題どう変わる

コクハク編集部
更新日:2023-05-26 06:00
投稿日:2023-05-26 06:00

ジャニーズ、歌舞伎、宝塚歌劇団…相次ぐハラスメント問題

 人々に夢や感動を与える芸能界において、ハラスメント問題が相次いで発覚している。ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏(2019年死去)の未成年への性加害は、3月に英BBCがドキュメンタリー番組を放送。その後、元ジャニーズJr.が開いた記者会見が議論を巻き起こし、今月14日、同事務所の藤島ジュリー景子社長は謝罪に追い込まれた。

 それから4日後の8日には、歌舞伎俳優の市川猿之助(47)と両親が東京目黒区の自宅で倒れていた事件を巡り、同日発売の週刊誌で報じられた猿之助による弟子や俳優、スタッフへのセクハラ・パワハラ疑惑に注目が集まる。

「一部報道にありましたハラスメントに関しましては、今まで猿之助に関わった複数のマネージャーに聴き取りをしましたところ、弊社管轄の現場において、そのような事実は現在出てきておりません」

 と、所属事務所は否定しているが、歌舞伎界の“闇”がクローズアップされた格好だ。

宝塚歌劇団の元脚本家は古巣を提訴

 若手スタッフへのハラスメント報道がきっかけで、昨年末に所属していた宝塚歌劇団を退団するに至った脚本家で演出家の原田諒氏(42)は月刊誌に“反論手記”を寄せ、古巣を提訴。

 歌劇団は今月11日、公式HPで声明文を発表するなど対応に追われているが、SNSでは《今こそJKT(※)の闇を暴く時。膿を出せ》といった投稿が散見されるなど、真相解明を期待する声は日に日に高まっている。

(※)…ジャニーズ事務所(J)、歌舞伎界(K)、宝塚歌劇団(T)を差す隠語

芸能界の大きな転機になる

 そして、ジャニーズ問題を筆頭に当初は自主規制していた大手メディアも報じはじめた。芸能界はどうなっていくのか。芸能リポーターの川内天子氏が言う。

「これまで芸能の世界では性的強要が蔓延(はびこ)っていても、プロデューサーや先輩からの要求に応じないと役を与えられないなど、泣き寝入りさせられたケースがたくさんあったと聞きます。ただ、今回のジャニーズ問題は海外で報じられたのが大きく、性加害問題や性的マイノリティーへの理解が広がり、視聴者はハラスメントに『不快』の意を示しています。タレントを使う側のテレビ局や映画関係者も配慮せざるを得ないでしょう。相次ぐ告発は芸能界の大きな転機になっています」

「知らなかった」発言の代償は計り知れない

 なかでも最も影響を受けるのはジャニーズ事務所だと、前出の川内氏は続ける。

「1980年代から週刊文春で報じられ、裁判になっていたにも関わらず、ジュリー社長が性加害の実態を『知らなかった』と発言したことで世間からクレームが出ています。所属タレントが相次いで退所している現状も踏まえ、ファンだけでなくジャニーズタレントを起用する企業や世間一般の、事務所への不信感は膨らむ一方。出口はまったく見えません。

 一方、映画監督や俳優、歌舞伎界は所属先のイメージというより個の力量が評価された結果として、いまの地位や仕事がある。問題を起こした当事者のポジションは他の人に取って代わるだけ。残念ながら、長年根付いたパワハラなども簡単にはなくならないでしょう。ただ、性的なトラブルはスポンサーが敏感になりますから、今後もセクハラが発覚すれば“一発退場”は免れません」

 実際、共演女優へのセクハラを報じられた俳優の木下ほうか(59)やホステスへのセクハラが問題になった香川照之(57)は、一瞬にして休業状態だ。膿を出しきる日は来るのか、その行く末を見届けたい。

コクハク編集部
記事一覧
コクハクの記事を日々更新するアラサー&アラフォー男女。XInstagram のフォローよろしくお願いします!

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


太陽とシスコムーンとの共通点にザワッ Z世代に人気のIS:SUEがたまらん
 6月7日、太陽とシスコムーンの楽曲がサブスク解禁され、40代を中心としたお祭り状態になっていましたね。懐かしすぎて私も...
よねと轟の新「相棒」爆誕!男と女“くっつく思考”に冷や水を浴びせた
 花岡(岩田剛典)が違法である闇市の食べものを一切拒否して栄養失調で亡くなったと聞き、衝撃を受ける寅子(伊藤沙莉)。花岡...
桧山珠美 2024-06-10 16:20 エンタメ
“マッチ先輩”近藤真彦がうたコン降臨!ヤンチャ返上?謙虚な発言に驚き
 4日放送のNHK「うたコン」は「作曲家 筒美京平特集」。尾崎紀世彦「また逢う日まで」、太田裕美「木綿のハンカチーフ」、...
花岡死す「栄養失調で死亡」見出しの衝撃…“甘党男子”桂場は和洋イケる口
 穂高(小林薫)は法の道へ導いて不幸にしたと寅子(伊藤沙莉)に謝罪し、新しい仕事を紹介すると言い出す。しかし寅子はむしろ...
桧山珠美 2024-06-07 15:30 エンタメ
公園ランチの約束は叶うのか? 花岡の“しょんぼり言動”が不穏すぎる
 ホーナー(ブレイク・クロフォード)から子供たちにとチョコレートをもらった寅子(伊藤沙莉)は、公園で花岡(岩田剛典)に再...
桧山珠美 2024-06-06 17:00 エンタメ
いよいよ裁判官編。NHK制作陣の遊び心、8時14分過ぎに見たり
 昭和22年3月。新しい日本の憲法に希望を見出した寅子(伊藤沙莉)が向かったのは法曹会館。そこには空襲で被害を受けた司法...
桧山珠美 2024-06-03 16:05 エンタメ
「虎に翼」お宝物件!三山凌輝はピアスにアクセジャラジャラの“チャラ”男
 先週のNHK朝ドラ「虎に翼」第9週「男は度胸、女は愛嬌?」は、ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)にとって、悲しみの連続でした。...
刮目!伊藤沙莉“静”の演技、「佐田優三 仲野太賀」表示も期待は泡沫に…
 これまでの後悔と秘密をすべて打ち明けて、直言(岡部たかし)は安らかに亡くなった。  寅子(伊藤沙莉)は何事もなか...
桧山珠美 2024-05-30 19:10 エンタメ
古谷徹は“あの役”降板?声優不倫騒動の後始末、カギは「キャラの私物化」
 レジェンド声優・古谷徹(70)の不倫報道が世間を騒がせている。 『文春オンライン』よって報じられた37歳年下女性...
優三も草葉の陰で苦笑い? 前代未聞な別れの“懺悔”は直言らしい名場面に
 直言(岡部たかし)は栄養失調と肺炎でもう長くはないと診断される。直言が大事なことを隠していたと知った寅子(伊藤沙莉)の...
桧山珠美 2024-05-30 18:50 エンタメ
「見るんじゃない」と直言。ダチョウ倶楽部の“押すなよ、押すなよ”を彷彿
 直言(岡部たかし)の体調が優れない。寅子(伊藤沙莉)と直明(三山凌輝)はマッチ製造の仕事を紹介してもらい、はる(石田ゆ...
桧山珠美 2024-05-28 15:30 エンタメ
視聴率苦戦だから失敗に物申す!山下智久と錦戸亮、5年ぶり民放作の意義
 山下智久(39)が主演を務める「ブルーモーメント」(フジテレビ系)、錦戸亮(39)がキーマンとして出演する「Re:リベ...
こじらぶ 2024-05-25 06:00 エンタメ
「おいしいものは一緒に」出征前の河原デート。はて?初回を思い出すと…
 寅子(伊藤沙莉)は訪ねてきた後輩の小泉(福室莉音)から、女子部が閉鎖されることになったと知らされる。  今年は高...
桧山珠美 2024-05-24 15:30 エンタメ
優三の優しさシャワー全開!寅子のゴロゴロ床入り作戦も大成功だった神回
 昭和17年3月。直言(岡部たかし)の工場は軍からの注文が途切れず、順調に稼働を続けていた。戦時下で食べ物が貴重になる中...
桧山珠美 2024-05-21 15:30 エンタメ
朝ドラヒロインは「大日本国防婦人会」と揉めるのがお約束
 結婚した寅子(伊藤沙莉)は弁護の依頼も来るようになり順調な日々を送る。  ある日、手伝いとして働くよね(土居志央...
桧山珠美 2024-05-20 15:30 エンタメ
角界一の美容力士・翔猿らが明かした脱毛&モテ事情、全力で推したいのは
 圧倒的な強さと精神力、鍛え抜かれた筋肉美、昭和の名横綱“ウルフ”千代の富士、整った顔立ちと沸き立つ色気がたまらない“各...