万太郎と寿恵子が仲良く朝食タイム、東大植物学研究所には不穏な空気が

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2023-07-10 14:30
投稿日:2023-07-10 14:30

NHK朝ドラ「らんまん」~第15週「ヤマトグサ」#71

 仲睦まじく朝ごはんを食べる万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)。「こうやってたまには植物採集に行かない朝があってもいいんですけど」と言う寿恵子に、「話がある」と万太郎。

「身分も何もない自分が植物の名づけ親になるには、ちゃんとした学者だということを世の中に認めてもらう必要がある」と植物図鑑づくりを宣言。

 応援するものの、昼間は大学、夜は大畑印刷所に詰めることになり、「帰れんようになる」と話す万太郎の言葉に、「いつ眠るの」と万太郎の体を心配する寿恵子。

 一方、万太郎不在の東大植物学研究所はなにやら不穏な空気が……。田邊教授(要潤)は、部会帰りに、動物学教授の美作(山本浩司)に自慢&嫌味を言われ、イライラを大窪(今野浩喜)にぶつけて八つ当たり。

【本日のツボ】

「どうやってここに来たかは問わない。だが、そこから変わっていけるかどうかだ」(徳永助教授の台詞)

 ※※以下、ネタバレあります※※

 植物の標本をいやいや作成する新2年生の山根(井上想良)と溝口(犬飼直紀)。

 そのことを先輩の波多野(前原滉)&藤丸(前原瑞樹)に咎められると、東大の学生である自分たちは頭を使うのが役目、標本づくりは草を触るのが好きな槙野さんがやればいいと言い放つ。

「植物が好きで来たわけではないんですね」と嘆く波多野に、「君たちだってそうじゃないか」と声を掛け、こんなふうに諭します。

 万太郎を「虫けら」呼ばわりし、今度は講師の大窪を「口先だけのゲスな連中」呼ばわり。どんどんダークサイドに落ちていく田邊教授とは対照的に、当初、あれほど万太郎を毛嫌いしていた徳永助教授(田中哲司)の変わりっぷり。変わること恥ではない、ということを体現してくれています。

 すっかりいいひとになった徳永。きっと万太郎の味方になってくれることでしょう。

【おまけのツボ】

山本浩司

 田邊教授の天敵、美作教授を演じる山本浩司。立派な髭を蓄えていて、よく顔がわからないうえに、今野浩喜に、クールポコの小野まじめと芸人俳優もちらほら出演していることから、美作教授役の山本浩司を、タイムマシーン3号の山本と勘違いしている人もいるようですが同姓同名の俳優さんです。

 お間違いなきよう。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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