いくつになっても、誰かに褒められるのはやっぱりうれしい

小原玲 動物写真家
更新日:2023-10-18 06:00
投稿日:2023-10-18 06:00
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナガの写真とともに、勉強に仕事に恋愛に、毎日をがんばる私たちの背中を押してくれる、きょうのシマエナガちゃんの“ひとこと”です。

 インフルエンザで病院に行って、処方された粉末の吸入薬。薬局の窓口の老眼鏡をかけたグレーヘアのマダムが「ここで吸っていく?」というので、言われた通りに薬を吸い込んだら、「あら、おじょうず! 肺活量があるのね」と褒めてくれた。

 またいつかのある日、銭湯でマッサージを予約して台の上で寝転んで待っていたら、髪を頭の上でまとめた筋肉質なマダムに、「あなた体の力を抜くのがうまいね。こんなにうまい人もなかなかいないわ!」と褒められた。

 無防備な瞬間に見知らぬ人に褒められるのって、素直にうれしかったりする。それが取るに足らないことでも。

 だから、旅行先の外国の街で素敵な服を着た女性とすれ違ったとき、勇気を出して「その服すてきね」って声をかけてみたんだ。緊張して思ったよりも小さな声しか出なかったけど、相手にはちゃんと聞こえたみたい。

 女性は現地の服飾学生で、私が褒めたのは彼女が自分で作った服だった。「ありがとう」と何度も言われて、なぜか連絡先まで交換した。

 連絡先を書いてもらった紙はもうなくしちゃったけど、相手を喜ばせる言葉はもう少し気軽に発したり、受け取ったりしてもいいのかもね。

小原玲
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動物写真家
1961年、東京都生まれ。茨城大人文学部卒。写真誌「フライデー」の専属カメラマンを経て報道写真家として国内外の雑誌での活動後、動物写真家に転身。近著に写真集「シマエナガちゃんの日々 - ぼくはここにいるよ -」(ワニブックス)や「Kiss!」(小学館)や「アザラシの赤ちゃん かわいいのヒミツ」(講談社)などがある。2021年11月、永眠。
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