菜の花を食べると「いけないこと」をしている気分がする

小原玲 動物写真家
更新日:2024-01-31 06:00
投稿日:2024-01-31 06:00
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。
 動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナガの写真とともに、勉強に仕事に恋愛に、毎日をがんばる私たちの背中を押してくれる、きょうのシマエナガちゃんの“ひとこと”です。

 菜の花ってほろ苦い。だけど、ほんの少しだけ甘い香りがするのは気のせいかな。

 花って愛でるものだと思っていたから、生まれて初めて食べた時は正直、抵抗があったんだ。なんだか「いけないこと」をしている気がしちゃって。

 歯と歯の間ですり潰しながら、他の食べ物とともに食道を通って胃の中に落としながら…。柔らかなつぼみと若い葉のことを考える。

 ただ一時の快楽のため、これから咲くかもしれなかった花の可能性を奪ったんじゃないかと。

 ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」じゃないけれど、お腹の中から花が生えてきたらどうしよう? なんて心配したり。

 この季節になると同じことを考えるけど、やっぱり毎年必ず食べている。

小原玲
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動物写真家
1961年、東京都生まれ。茨城大人文学部卒。写真誌「フライデー」の専属カメラマンを経て報道写真家として国内外の雑誌での活動後、動物写真家に転身。近著に写真集「シマエナガちゃんの日々 - ぼくはここにいるよ -」(ワニブックス)や「Kiss!」(小学館)や「アザラシの赤ちゃん かわいいのヒミツ」(講談社)などがある。2021年11月、永眠。
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