“エビちゃんOL”で台頭したブランドの凋落
これも時代か…。かつて若者の人気ブランドだった「Samantha Thavasa(サマンサタバサ)」の経営危機が報じられた。8期連続の最終赤字に陥って、閉店する店舗が増えている。ヒルトン姉妹や世界の人気モデルを起用し、日本でも大学生や20~30代の会社員で流行っていた。
さらに、ネックレスやリングなどの宝飾品ブランドとして知られる「4℃(ヨンドシー)」も業績悪化し、不採算のブライダル店を大量閉店するなどの改革が話題に…。
いずれも共通点は2008年前後にピークを迎えたエビちゃんOLブームで重宝されたブランドだ。
ファッション雑誌「CanCam」(小学館)の専属モデルだった、エビちゃんこと蛯原友里(44)をはじめ、山田優(39)、押切もえ(44)が表紙を飾っていた頃の大学生や20代OL(現在の30代後半から40代)にウケていたブランドで、サマンサタバサはエビちゃんがCM起用されていた。
ちなみに同時期に流行っていた渋谷109の象徴だったギャルブランド「CECIL McBEE(セシルマクビー)」も、2020年11月に全店閉店。
エビちゃんOLを中心に「フェミニン」で「コンサバ」なスタイルがブームだったが、これらのブランドの大量閉店のニュースを受けて、SNSでは《今は合コン服とか、女子っぽいのは流行りじゃないし》などの投稿もある。
「枠」にとらわれないのが好き
神戸情報大学院大学客員准教授で印象戦略コンサルタントの乳原佳代氏が言う。
「今の高校生から大学生の女性は30代以上の大人に比べて、ジェンダーに敏感です。男女はもちろん、女性っぽいとか、かわいいとか、○○系といった枠にとらわれるのを嫌がる傾向にあり、彼女たちの間には、10年以上前のようなカテゴリーがありません。
それでも、いわゆるギャルやエビちゃん系ファッションの子もいますが、一大ブームを巻き起こすような土壌はないといえます。これが大量閉店の背景ではないでしょうか」
最近は、「WEGO(ウィゴー)」や「GU(ジーユー)」のようにユニセックスで安価に購入でき、ほかのブランドとの組み合わせでかわいい系やギャル系、スポーティーなど個性的かつ自由にアレンジしやすいシンプルなブランドが人気だという。
お金をかけずに真似る
また、経済事情や若者の韓国ブームも影響している。若者の流行に詳しいウェブマーケターがこう言った。
「10代から20代の女性に人気なのが、オーバーサイズまたはピッタリと身体のラインが分かるファッション。韓国のアーティストやタレントからブームが来ています。情報収集は圧倒的にInstagramかTikTok。特定のファッション誌を参考にする人は減っていて、代わりにインフルエンサーが、お金をかけずに似たファッションができるよう、ジーユーやユニクロなど安価なブランドから組み合わせなどをまとめています」
中国発のファストファッションサイト「SHEIN(シーイン)」で、ハイブランドの類似デザインの衣類やアクセサリーを購入。それを個性に合わせてアレンジするのも、もはや定番だ。
赤文字系や青文字系などもはや死語。それでも、判をついたようなエビちゃんブームがちょっぴり懐かしい…。
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