更新日:2023-09-15 06:00
投稿日:2023-09-15 06:00
「東京に帰したくない」
――続けてください。
「シャワーを浴びて、2人でベッドで抱き合いながらまどろんでいると、彼は私の髪を撫でながら言ったんです。
――ミクさんを東京に帰したくない……。
――ありがとう……私も帰りたくないわ。
彼のたくましい胸の中で囁きました。時刻は午前2時を回っていたと思います。
――本当なんです……。お客様に対してこんな気持ちになったのは初めてで……。
思わず『ユウマ君はまだ若いから』と彼の経験不足を揶揄する言葉を発しそうになったのですが、
――私も……同じ気持ち。
そう返しました。実際、会ったばかりの男性に一目ぼれし、その日のうちに関係を結ぶなんてありえませんでしたから。
神様が与えてくれたプレゼント
――明日は夕方まで仕事が入っていますが、そのあとはご一緒できますから。
――分かったわ。楽しみにしてる。
私は顔を上げ、月明かりに照らされたユウマ君の端整な顔を見つめました。目が合うと、どちらからともなくキスをして……泣きたいくらい嬉しかったですね。
たとえ刹那的な恋だとしても、神様が与えてくれたプレゼントだと思いたい自分がいました。
その後、彼は私の部屋を出て行きました。沖縄の中部、読谷村(よみたんそん)に一人で暮らしているようです」
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